インタビュー

オリックス・リビングの入江 徹広報室長に聞く「介護の現場で本当に必要とされる介護ロボットってどんなもの?」

オリックス・リビングが考える「介護ロボット」とは?入江 徹広報室長にインタビューです。

介護の仕事は重労働。入居者のお世話はもちろんのこと、それに加えて事務処理などの仕事もひっきりなしに発生します。
そこで期待されているのが「介護ロボット」。世界でも他に経験したことがない超高齢社会を迎える日本では、介護の仕事に関わる人をサポートするための介護ロボットと、介護される人の自立を支援するための介護ロボット、両方の視点からの導入が求められています。

介護ロボットって、何?

ひとくちに「介護ロボット」といいますが、その定義について、実は明確には定まっていません。

ロボットと聞いて想像するのは、人型で、手足がついて、顔があって・・・というものが一般的かもしれませんが、こと介護の世界における「介護ロボット」となると、すべてがそのようなかたちをしているわけではありません。

現在、経済産業省と厚生労働省が「ロボット技術の介護利用における重点分野」を定めて開発を進めていますが、介護分野へのロボット導入については、大きく以下の様な区分けがされています。

  • 介護支援型
  • 移乗・入浴・排泄など介護業務の支援をするロボット

  • 自立支援型
  • 歩行・リハビリ・食事・読書など介護される側の自立支援をするロボット

  • コミュニケーション・セキュリティ型
  • 癒してくれたり、見守りをしてくれるロボット

    オリックス・リビングが考える「介護ロボット」とは?

    入江 徹広報室長 有料老人ホーム「グッドタイム リビング」を運営するオリックス・リビングさんでは、「介護の現場で本当に必要とされる介護ロボット」の開発支援および、実際のホームへの導入を積極的に行っています。介護ぱどでは、入江 徹広報室長に、オリックス・リビングの考える介護ロボットとは、いったいどういうものなのか、お話をおうかがいしました。

    オリックス・リビングの介護ロボット開発の原点は「ノーリフト」

    「オリックス・リビングでは、2011年にグッドタイム リビング 千葉みなと/駅前通で介護リフトを試験的に導入しました。介護リフトというのは、介護が必要な方を、機械を使ってベッドや車いすからの移動などに利用するものです。

    介護リフトの導入の経緯をさかのぼりますと、そもそものはじまりは、弊社の介護施設で働く職員からの『腰痛にならない介護を必要とする方の持ち上げ方はないか?』という要望でした。

    そこで腰痛にならない根本的な解決方法は何かないだろうかと思案していたところ、日本ノーリフト協会が設立されるという新聞記事を、弊社の教育担当職員がたまたま見かけまして、その講演会に行ったことが、介護リフト導入のきっかけとなりました。

    ノーリフティングポリシーというのは、『持ち上げない介護・抱え上げない介護』です。この考え方を、日本では保田淳子さんという方が初めて介護や医療の現場に紹介しました。そして、その考え方に共感した私たちは、ノーリフティングポリシーをオリックス・リビングの介護施設に導入したのです」

    介護リフト導入には現場の反発も

    「しかし、介護リフトを導入した当初、現場からは『介護される人をモノ扱いするなんて!』『介護する私の技術は、もう必要なくなるの?』という批判や抵抗がありました。

    しかし、導入からしばらくして、介護を受けられる高齢者の方々が、元気になってきた様子を見たスタッフは、徐々に考え方を変えていきました。また、介護をするスタッフ自身の肉体的な負担も軽減されたことから、その有用性を認めるようになったのです」

    進まない日本での介護ロボット導入

    入江 徹広報室長 「日本では介護ロボットの導入がほとんど進んでいません。

    その理由のひとつは、介護施設の側では、先の『人手の介護』が一番だと考えていること。また介護される方も、ロボットや介護装置を使った介護は望んでいないだろうという思い込みです。しかし、私たちが独自に行っている介護に関する意識調査の結果を見てみると、介護ロボットの導入に反対という方は少なく、介護職員による『人手の介護』は気を遣うからという理由で、逆に8割もの人がロボットによる介護の導入に肯定的という結果でした。

    介護現場へのロボットの導入を妨げているのは、介護をする側の意識の問題であるということがわかりました。介護の現場にロボットが入ると、そこで働く人の仕事が奪われるのではないかという心理が働くからです。また、効率化ばかりが追求されて、介護の現場が非人間的なものになるのでないかという心配もあるようでした。

    しかし、私たちが考える介護ロボットの役割は、そうしたことではありません。たとえば介護リフトも、介護にかかる時間や手間だけを考えるなら、人力でやってしまったほうがよほど効率よくできます。しかしそれは、介護する人、される人にも、大きな我慢と忍耐を要求するものなのです」

    オリックス・リビングの考える介護ロボットとは

    「介護"ロボット"というと、皆さん、顔があって、手があって、というヒト型のものを想像されるかもしれませんが、オリックス・リビングが考える介護ロボットはそうではありません。

    介護のサポートに必要な機能を持ったロボットは、何もヒト型である必要はありません。経済産業省が進めている介護ロボットの重点分野としては、『移乗介助』『移動支援』『排泄支援』『入浴支援』『認知症の方の見守り』がありますが、こうした分野に必要な介護機能を実現するためのロボットをヒト型にすることに、ほとんどメリットはないと考えています。なぜなら、介護の現場でヒト型のロボットは必要とされていないからです。

    介護する側が『楽ができる』というだけの視点で開発された介護ロボットはダメだと思います。使われている技術がいくら優れていても、それが介護される方の快適さや幸せに繋がるものでなくては意味がないからです。最終的に具現化されたもののかたちがなんであれ、介護される方のことを考えた介護ロボット開発のためのお手伝いをする。それが私たちオリックス・リビングのポリシーです」

    ※本インタビューについて、詳しくは
    オリックス・リビングの考える介護ロボットとは? ~ 介護ぱど突撃取材リポート
    をご覧ください。


    編集者の一言
    介護ロボットの導入は、介護をする人の負担を減らすだけでなく、介護される側の「こんなことを人にしてもらうのは申し訳ない」という心理的な負担や、無理な体勢での移乗などによる身体的な負担を軽減する効果もあります。

    介護の世界へのロボット技術の導入には、技術的な問題だけでなく、そこで働く人の意識改革など越えなければならないハードルがいくつもありますが、誰もが安心して暮らせる高齢化社会をしっかりと支えていくためにも、介護ロボットの今後のさらなる開発に期待したいですね。(介護ぱど)
    介護ぱど

    この記事の寄稿者

    介護ぱど

    フリーペーパーを発行するぱどが運営する介護情報ポータルサイト『介護ぱど』。全国20,000件以上の有料老人ホームの情報のほか、介護施設のホーム長への直撃取材、有料老人ホーム探しに役立つ基礎知識などを紹介しています。また、「有料老人ホーム・高齢者住宅ガイド 住まいるケア&介護ぱど」も発行しました。

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