今回のケースは、お身体のこと。
元気なうちに、手厚い介護を受けられるホームへ入りたい!
普段よく頂戴するご相談で、「今はまだ元気だけど介護が必要になった時でもそのまま住み続けられる老人ホームに入居したい」というものがあります。このご相談の一番難しいところは、今スグにでも入居したいという点。しかし、ご本人はまだお元気な自立の方で、介護認定ももちろん受けていません。
「将来自分が要介護状態になった時に手厚い介護サービスを受けられて、今からでも安心して住めるホームに入りたい」ということは誰しもが考えることです。特に、現在一人暮らしで元気に過ごしているけど心細く感じている方や、少しずつ体が弱ってきている方が、今から介護体制がしっかりしているところを探したいと思うのはごく当たり前のことです。しかも実際に、介護保険の代わりに生活サポート費などの名目で実費を支払えば、介護認定を受けていない自立の方でもご入居ができる介護付き有料老人ホームもあります。
こうしたケースは、ご自身がお元気なだけにご自身で探され、私どものようなサービスを行っている紹介センターなどを利用しなかった場合にミスマッチを起こしやすいようです。
ケース:看護師常駐、認知症になっても安心と思ったら・・・元気なのは自分だけ!?
具体的にどのようなミスマッチなのかと言いますと・・・、仮にその方のお名前をAさん、男性の71歳の方としましょう。Aさんがご自身で探されてご入居された介護付き有料老人ホームは、全部で70室程度の老人ホームで、現在約90%以上のお部屋にご入居者の方がおられます。
現在ご入居されている方々の平均年齢は79歳、平均介護度は2.8。このホームは認知症ケアにも定評があり、24時間看護師が常駐をしている重い医療的ケアが必要な方でも受け入れが可能なとても素晴らしいホームです。
しかし、私どもにご相談を頂いたAさんは、こんなに素敵なホームを出てほかのホームに移り住みたいとのご相談をされました。なぜでしょう?
実はこちらのホームは、認知症の方や重い医療面でのケアが必要な方が多く入居されていて、自立の方でご入居されているのはAさん1人だけだったのです。
24時間看護師さんが常駐していて認知症になってもここなら安心と意気込んでご入居されたAさんでしたが、周りを見渡せば車いすに乗って生活されている方や認知症の症状をお持ちの方ばかりで、普段お話をする相手や一緒にいろいろなことを楽しめるお友だちが作れないという状況でした。
また、有料老人ホームではお食事などもほかのご入居者さんと一緒に食べるのが一般的なので、だんだん精神的にキツくなってこられ、日中はお部屋から出てこられなくなってしましました。
そしてどうしても住み続けることが苦痛になってきたAさんは、私どもにご相談をしてきたのです。
サービス付き高齢者向け住宅など、自分のライフスタイルに合った選択を
では、実際にはこのようなご要望の方にはどのようなホームがおススメなのでしょうか。状況は人によってさまざまなので、回答は1つではないかもしれません。昨今では「サービス付き高齢者向け住宅」が多く普及しており、どちらかというと自立の方向けの施設や、自立の方も介護の方も半数ずつのところ、どちらかというと介護の方向けのところ、など、サービスを比較的明確に分けて提供している施設があります。
例えば、お元気なうちはサービス付き高齢者向け住宅で過ごして介護が必要になったら介護付き有料老人ホームに住む、という風に段階的に生活の場を検討されたり、自立で自由に暮らせるサービス付き高齢者向け住宅を選択して介護が必要になってもある程度の要介護状態までは同じ部屋でそのまま生活される方も最近では増えています。
施設選びで必ず事前見学を行い、見学された施設では自分はどんなライフスタイルで生活できるのか、介護が必要になった時にはどうするのか、というイメージを持って選ぶ必要があります。老人ホームは「終の棲家」とも言われます。しっかりと入居後のライフスタイルをイメージして見学をしましょう。
「失敗から学ぶ老人ホームの選び方3 ~移住編~」はこちら!
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この記事の寄稿者
田中宏信
(株)エイジプラス 東京支社長兼関東有料老人ホーム紹介センター主任相談員。介護施設の紹介業をしつつ、プライベートでは全国の被災地へ出かけてボランティアをしてます。