増える介護離職
親の介護のために仕事を辞める、いわゆる「介護離職」。現在、仕事と介護を両立出来ないで離職してしまう人が、年間10万人いると言われています。少子高齢化と定年延長で介護離職予備軍が増えて、個人の問題だけでなくいずれ企業や社会にも大きく影響が出てくる問題の一つです。
実際、要介護者の発生率は、40~64歳では0.4%、65~69歳では2.8%ですが、加齢とともに急速に高まり、80~84歳では28.4%、85歳以上では58.4%となっています。(厚生労働省「介護給付費実態調査月報(平成24年3月)」 総務省「人口推計月報(平成24年3月)」より)
もし仮に両親が85歳以上まで健在の場合は、どちらかが要介護状態になる可能性は相当高いといえます。さらにはじまった介護は、いつ終わるかがわかりません。
いつまで続くかわからない介護であるがゆえに、介護する側、される側双方の暮らし、人生を大切にするスタンスが欠かせません。
離職は最後の手段
暮らしを維持する上で最も基本となるのが、経済基盤です。家庭の経済基盤が揺らぐと、介護にも影響が出てきます。経済基盤を維持するために一番大切なことは、「仕事を辞めない」ということです。一度仕事を辞めてしまうと、介護が終わった時に元通り復帰するのはかなり難しくなります。
また仕事を辞めて介護に専念する状態は、生活のすべてが介護一色になりがちです。こうなると社会との接点が少なくなっていき、だんだんと孤独を感じるようになったり、自分の人生の意義などに疑問を持ったりするようになってしまいます。そして没頭していた介護が終わった後は、“介護ロス”状態になってしまい、自分の人生の目標を見失うことにもつながります。
たしかに介護は楽なことではありませんが、介護が終わった後も自分の人生は続きます。自分の人生をより豊かにするためにも、離職は最後の手段であるべきです。
それ故に、「親の介護が必要なった→担い手は私だけ→だから会社を辞める」という二者択一に陥らないようにしたいものです。
-
関東 [12229]
-
北海道・東北 [6915]
-
東海 [4890]
-
信越・北陸 [3312]
-
関西 [6679]
-
中国 [3581]
-
四国 [2057]
-
九州・沖縄 [7729]
この記事の寄稿者
吉田 要
獨協大学経済学部経営学科卒業 ファイナンシャルプランナー(AFP)
平成25年6月より介護マネーに特化したファイナンシャルプランナー事務所 レイズコンサルティング株式会社を開設。また東京都江東区内にてデイサービスホーム(通所介護施設)も運営し、実際の介護の現場にて多くの高齢者の方々の 介護援助も行っている。