「グートハイム」は東京都杉並区、JR中央線・総武線「西荻窪」駅から徒歩3分と利便性に優れた場所に位置しています。
グートハイムの入居者様は、ほとんどが寝たきりで医療ケアが必要な方です。今回は施設長の田中 政春(たなか まさはる)さんに、要介護度の重い方が多い施設ならではのこだわりや強みを伺いました。
地域の受け皿として医療ニーズに応える
――グートハイムの特徴を一言で表すとどんな施設でしょうか?
医療ケアが必要な方が多いですね。
平均要介護度は4以上、平均年齢も90歳以上、車いすを利用されている方が7~8割です。看護師は8名在籍しており、24時間常駐です。日中・夜間・早朝を問わずに医療行為に対応できることから、病院の延長線上にあるような施設、と言えるかと思います。
――どういう経緯で入居される方が多いですか?
退院後の次の住まいとして、グートハイムを選ぶ方が多いです。病院は長期間入院できず、国は在宅介護を推進していますが、在宅介護は実際には家族の負担が大きく難しいケースも少なくありません。そうすると、介護医療院、老人保健施設とともに当施設のような介護付き有料老人ホームが選択肢にあげられるのだと思います。
ほかに、医療依存度が高くなったことがきっかけで、他の老人ホームから転居される方もいらっしゃいます。私たちとしては、施設選びに苦労されることの多い医療依存度が高い方などの入居先として機能したいという想いがあります。都内には、そういった方を受け入れる有料老人ホームはまだ少ないようです。
信頼できる往診医がいる心強さ
――医療依存度の高い方を受け入れるために、こだわっていることはありますか?
はい、4つのクリニックによる往診をおこなっています。内科が往診医の老人ホームが多いと思いますが、グートハイムでは精神科・脳神経外科・内科・整形外科からお選びいただき、往診を受けることができます。その方の症状に合うクリニックをご紹介できることは大きなメリットだと考えています。
――精神科医の往診がある施設は珍しいと思いました。
精神科の先生が、往診してくださっています。精神疾患は特に薬の微調整が大切ですが、処方後の変化を丁寧に診てくださっているので、施設としての安心感も大きいです。
――往診に力を入れていることで、良い変化はありますか?
最近うれしいことがありました。胃ろうの入居者様が、ラーメンを召し上がれるまでになったんです。その方は入院されていたころ、「口からは水を少し飲めるだけ」という状態だったんですよ。
ここまで回復できたのも、内科の先生のおかげだと思います。先生の指導のもと、リハビリの方法も変更したんです。この調子でいくと、胃ろうを外せるようになるのでは……と、期待をしつつ、無理のないようにリハビリを続けております。
私自身、介護の仕事に20年以上携わっているなかで、胃ろうが外れるまで回復した方に出会えたことがありません。希望をもって、今後もスタッフと力を合わせてサポートしていきたいと思います。
経過観察は細かく、的確に
――入居者様との生活にあたり、スタッフのみなさんが気にかけていることはありますか?
医療依存度の高い方が多いということもあり、看護師によるバイタルチェックも含めて、日々のご様子を細かく観察しています。定期的な往診があるとはいっても、毎日の様子を見ているのはあくまでも私たちスタッフです。
例えば、経管栄養の方がおやつ(補助栄養剤)を召し上がった際の医師への報告も、できるだけきめ細かくおこないます。食べ物の形態について、どの程度にカットして提供したか。摂取量、その所要時間、嚥下の状態はどうだったか。吸引された内容物など。それぞれ詳しく、また数値化して報告をしています。
スタッフ間、また往診医とのきめ細やかな観察や連携が本当に大事です。日々の積み重ねが、入居者様の体調の維持や回復をもたらしてくれるものと思っています。
――重介護者が多い施設ならではの大切なポイントですね。経管栄養の入居者様はどのぐらいいらっしゃいますか?
入居者様の約3割が経管栄養の方です。当施設では胃ろうはもちろん鼻腔経管栄養、中心整脈栄養の方も受け入れています。
また、夜間早朝の喀痰吸引が必要な方も多いですね。吸引器は各フロアに1つぐらい常備していると思いますが、グートハイムでは必要な方のお部屋それぞれに専用の吸引器をご用意しています。
本音は「もっと面会してもらいたい」
――重度の方が多い施設ということで、看取りにも対応していますか?
はい、看取りケアも実施しています。
今はコロナ禍なので通常の面会時間は15分ですが、看取り期間に入られた入居者様には1階の居室に移動してもらい、ご家族がいつでも会えるように対応しています。夜間の訪問も可能です。コロナの心配がなくなれば、どのご家族にももっと面会していただきたいですね。
また、ご家族と会うことは、入居者様にとって良い刺激になります。たとえ看取り期間でも、ご家族が来訪されると入居者様のご表情は明るくなったり、やわらいだりと変わるんですよね。
――ご家族との連絡頻度はどのぐらいですか?
連絡の頻度はそれぞれですが、体調がすぐれない入居者様のご家族には毎日報告することもありますね。病状やご様子については、ありのままをご家族にできるだけ丁寧に説明しています。それが当施設への信頼につながると思っているからです。
――最後に、現在施設をお探しの方に一言お願いします。
はい。グートハイムは医療依存度の高い方に対応できる老人ホームという特徴はありますが「こういう方針です」というモットーのようなものは掲げておりません。入居者様お一人おひとりの方針に施設側が合わせていきたいと考えているからです。
とはいえ、当施設は調理やお出かけをしたい方には向いていません。西荻から徒歩3分と利便性がよいので、たまに自立度の高い方がご見学にこられることもありますが、そういった方には、違う施設をおすすめしておりますのでご安心ください(笑)。
都内の看護師24時間常駐の施設としては比較的安価との評価をいただくことがよくあります。私たちは、ただ「要介護度が高いために入居できる施設探しに困っている」という方のご要望にお応えすることで、地域のよき社会資源となるように、これからも努めていきたいと考えています。みなさまのご相談・ご見学をお待ちしております。
この記事の寄稿者
井上
介護のほんねニュース編集部。
認知症サポーターです。介護に関する今話題のトピックや疑問を、分かりやすくお届けします。