サービスの軸は「家庭の困難を希望に変える」
これは運営元の社会福祉法人 三幸福祉会の理念でもあるのですが、「家庭の困難を希望に変える」を施設のミッションに掲げています。介護をする方にはさまざまなご事情があります。そのなかでご両親や親族を「老人ホームに入れてしまった」と後悔するのではなく、「ここに入居させてよかった!」と思っていただけるような施設になることを日々目指しています。
ーー実際に「家庭の困難を希望に変えたエピソード」を教えてください。
以前、とあるご家族から急ぎで入居のご相談をいただいたことがありました。お話を聞くと認知症状がある親御さんを介護していたそうなのですが、親御さんの口調が荒く、お子さんのほうが精神的にかなりダメージを受けられていたんです。それで急いで施設を探していらっしゃったなかで、当施設に連絡が来ました。幸いご入居者様の症状の情報が分かっていたため、すぐに準備をして、お電話をいただいた翌日にご入居いただくことができました。
ーーそんなに早急な対応ができるものなのですか。
「家庭の困難を希望に変える」という思いは現場のスタッフたちにも通じているので、何とか早くご入居を受け入れようということで施設内で協力体制ができていました。翌日にご入居いただいた例は何度かあります。
ーー「ここに入居してよかった」という方も多いのでしょうね。
こちらに3年ほど入居いただいていた入居者様で、施設に入ったあとに一度入院することになり、その後お看取りで戻ってこられた方がいらっしゃいました。病院にいる間に、自宅と施設のどちらに戻りたいか尋ねられたとき「施設に帰りたい」と言ってくださったそうなんです。これは大変嬉しかったですね。
ーーその入居者様にとって施設は「帰る場所」なのですね。
そう思っていただけたことが嬉しいですね。その方にとって施設が「安心できる自宅のような場所」になっていたということだと思うので。
ーー入居者様の生活はご家族も気になるところだと思います。施設からの連絡は月にどれくらいしていますか?
入居者様の体調の変化や症状については、変化があった都度、ご家族にご連絡しています。例えば「今日は体調が優れなさそう」「ご飯を戻してしまった」というような場合ですね。ご家族のご要望にあわせて電話、またはメールで連絡していますが、大半は電話です。
また月に1回、居室担当から写真つきのお手紙をお送りしています。
ーーえっ! 全員分ですか?
はい。他の施設では季刊誌にして施設全体の様子を伝える形が多いと思います。ですが、当施設では居室担当がいるので、入居者様お一人ずつのご家族に向けてお手紙を書いています。そのほうが施設での暮らしの温度感が伝わると思うんです。お写真は、入居者様がお菓子作りや外出などのレクリエーションに参加している様子を撮って同封しています。
ーー入居者様の生活を垣間見ることができて、ご家族は嬉しいでしょうね。
親御さんが楽しそうにしている写真を見るのはやっぱり嬉しいと思うんです。お手紙を受け取ったご家族が「あっ!お母さんお菓子作りしてる」なんて喜んでいただけるのが一番ですね。個別のお手紙なので、お一人おひとりについて細かく書かれていますし、写真も大きいです。こういったこまめな連絡をすることがご家族との信頼関係を築くと思っています。
1日のスケジュール
ーー杜の癒しハウスひらいの1日の生活スケジュールを教えてください。
先にご紹介した通り、基本的に入居者様の行動制限は設けていません。大まかには6~7時ごろに起床、7~8時ごろまで朝食の時間になります。9時~昼食前までが午前の入浴の時間です。入浴介助は週2回していますが、介助がいらない方のなかには毎日お風呂を楽しまれる入居者様もいます。
また10~11時くらいまではレクリエーションの時間になります。ホーム内のレクリエーションではお菓子作りやカラオケ、ラジオ体操などさまざまなイベントをおこなっています。ときどき施設の駐車場に移動水族館や移動動物園が来てくれることもあります。あとは近所の公園にお花見に行ったり、コロナ禍以前はいちご狩りやスカイツリー見学などの外出もしていました。
12時から昼食となり、15時からおやつの時間です。昼食の後から16時くらいの間に午後の入浴の時間があります。17時30分ごろから夕食を召し上がっていただき、19時過ぎに就寝となります。
ーーちなみに、入居者様がよく過ごされている場所などはありますか?
1階のエントランスホールで施設備え付けの新聞や雑誌を読んでゆったり過ごされる方もいらっしゃいます。あとは屋上からスカイツリーが見えるので、入居者様によってはスタッフが付き添って外の景色を楽しまれています。夜景もきれいですよ。もちろん自室で過ごすのがお好きな方もいますので、本当に自由にお過ごしいただいています。
ーーまさにそれぞれ「自宅のような暮らし」を送っているんですね。
入居者様にそう感じていただけていたら嬉しいです。
今後は理学療法にも注力
ーー今年度から施設に理学療法士の職員が入られたと伺いました。
入居者様の生活の質を向上させるために、理学療法士に入ってもらいました。2021年に介護報酬が改定され「科学的介護推進体制加算」が追加されたこともありますので。
ーー入居者様の生活や健康状態などについてのデータをケアプランに反映していく取り組みですね。
はい。そのため当施設でも理学療法士による集団レクリエーションの実施、また各入居者様に対しての個別のアセスメント(入居者様にとって必要な介護・要望などをヒアリングするもの)を作成していく予定です。
ーーますます生活しやすく、元気に過ごせる施設になりそうですね。最後に、杜の癒しハウスひらいへ入居を検討していらっしゃる方へメッセージをお願いします。
まずは当施設を見に来ていただきたいです。冒頭でもお伝えした通り、当施設は介護士たちの平均年齢が若いので明るい雰囲気が漂っています。施設の空気を肌で感じ、その場でご入居を決めていただくことも多いです。ご家族がお仕事でお忙しい方、なかなか往診に付き添えないとお困りの方のご入居も受け付けております。先程ご紹介した通り、お問い合わせいただいた翌日にご入居となったケースもありますので、お急ぎの方も一度ご相談ください。
また当施設では重度の方から自立の方まで、なるべくどんな方もお受け入れできるよう努めています。介護士、看護師、ケアマネジャー、理学療法士などが一丸となってサポートさせていただきます。杜の癒しハウスひらいで「自宅の延長線上」のような暮らしを送っていただければ幸いです。
インタビューを受けてくださった主任生活相談員・入居担当の堀内さん。「お気軽にご連絡ください!」と笑顔で話してくれました。
この記事の寄稿者
石橋
介護のほんね編集部です。老人ホームや介護にまつわることを丁寧にお伝えしていきます。