寄稿

リバースモーゲージとは|制度の概要やメリット・デメリット、利用する流れをわかりやすく紹介

自宅を担保にして住みながら融資を受ける方法が「リバースモーゲージ」です。今回はリバースモーゲージについて制度の仕組み、メリット・デメリットや利用する方法を紹介します。

リバースモーゲージとは|制度の概要やメリット・デメリット、利用する流れをわかりやすく紹介 | 介護のほんねニュース
辻本由香

この記事の監修

辻本由香

つじもとFP事務所 代表

CFP®認定者、CDA、相続手続きカウンセラー。大手金融機関での営業など、お金に関する仕事に約30年従事。乳がんを発症した経験から、備えの大切さを伝える活動を始める。2015年2月に金融商品を販売しないFP事務所を開業。子どものいない方やがん患者さんの相談、介護資金などの終活にまつわる相談、医療従事者へのセミナーなどをおこなっている。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、自宅を担保にすることで、住み続けながら老後資金を借り入れられる制度です。主に金融機関や社会福祉協議会などが商品として取り扱っています。

「資金を得たいが住まいは売却したくない」というケースで役に立ちます。

リバースモーゲージの仕組み

毎月利息のみ返済、元金は借入人の死後に自宅売却で補う

リバースモーゲージでは自宅を担保にします。借り入れた元金は借入人・配偶者が死亡した際に自宅の売却で補うため、契約後も住み続けられます。ただし利息分は毎月支払う必要があります。

リコース型・ノンリコース型の2種類がある

リバースモーゲージは「リコース型」「ノンリコース型」の2タイプから選べます。

リコース型とは、自宅の売却後に残債があった場合に、相続人が完済する必要があるタイプです。一方、ノンリコース型は残債があったとしても返済する必要がありません。

ただし、ノンリコース型はリコース型より毎月の金利が高く設定されている場合が多いです。金利が高くなれば毎月の返済額が高まったり、借入限度額が少なくなったりします。それでも配偶者や子どもになるべく負担を掛けたくない場合はノンリコース型がおすすめです。

住宅ローンの借り換えができる

住宅ローンの支払いが残っていても、自宅をリバースモーゲージの対象にできます。住宅ローンだと「元金+利息」の支払いが必要ですが、リバースモーゲージで借り換えることで支払いは利息のみとなり、負担を軽減できます。

リバースモーゲージはこんな人におすすめ

リバースモーゲージが「どんな方におすすめできるのか」について紹介します。どういった状況の際に利用すべきなのでしょうか。なお、基本的には前提として老後資金に不安がある方が用いる制度になります。

「老後資金が不安だが持ち家の売却はしたくない」という方

貯金額や年金額が少ない場合に「持ち家に住んでいるが、老後資金は不安」と感じることがあると思います。

その際に「子どもの住まいに引っ越して二世帯住宅として暮らす」「今の自宅を売却して資金を得てから、家賃のリーズナブルな賃貸物件に引っ越す」といった選択肢ではなく「慣れ親しんだ自宅で最期まで過ごしたい」と考える方にリバースモーゲージはおすすめです。

同居する夫婦のうちどちらかが老人ホームに入ることになり入居費用を捻出したい方

夫婦のどちらかが老人ホームに入ることになった場合、もう一方は自宅に住み続けなければいけません。そのため「売却」という選択肢が外れます。老人ホームの月額費用を含めて資金に余裕がない場合、リバースモーゲージを利用することで自宅を残せますし、老人ホームの費用を捻出できます。

住宅ローンの支払いが不安な方

例えば遅くに住宅を購入した場合「住宅ローンを完済するのが定年退職後」となるケースもあります。車など他のもののローンも同時に返済していく場合も同様に老後の家計を圧迫することがあります。リタイア後に住宅ローンを支払うことに不安がある方はリバースモーゲージで借り入れることで、月々の返済が利息のみとなり、負担が軽減されます。

リフォーム資金がほしい方

「住まいが老朽化してきてリフォームをしたいけど資金がない」といった場合にリバースモーゲージを利用することで、リフォーム資金をつくれます。特に老後の生活で怪我のリスクを回避するために「手すりの設置」「段差の解消」といったバリアフリーリフォームをする方も多いです。

相続人がおらず、家を残す理由がない方

子どもがいない場合は、死後に住まいを残す必要がありません。リバースモーゲージを利用することで、収入を得ることができます。相続人がいない場合は残債があったとしても支払わなくていいのでメリットが大きいです。ただしこの場合は「売却とどちらがお得か」について調べておく必要があります。

リバースモーゲージを使うメリット・デメリット

メリット

毎月の支払いは利息分のみ

例えば住宅ローンを返済する場合、基本的に毎月の返済額は「元金+利息」から構成されています。リバースモーゲージでは借入人の死後に元金の返済をまとめておこなうため、毎月の支払いは利息分のみです。

元金の返済は自宅売却・現金一括・繰上返済から選べる

元金の返済手段を「自宅の売却」「現金での一括払い」「繰上返済」から選べます。自宅を売却するだけではなく、借入人が亡くなった後に現金一括で元金を返済することが可能ですし、借入人が生きている間にも返済できます。

例えば、借入人が亡くなった後に子どものために自宅を売却したくない場合は現金での一括支払い繰上返済をします。引き継ぐ人がおらず空き家になる際は自宅売却がおすすめです。

契約内容によっては借入人が亡くなった後に契約を配偶者が引き継げる

リバースモーゲージについて、契約内容によっては契約していた借入人が死亡したとしても配偶者がそのまま契約を引き継いで住み続けられるケースがあります。

デメリット

金利変動の影響を受ける

リバースモーゲージは金利の変動によって借入金が変わってしまいます。契約時より価値が下がってしまう場合、差額が生まれてしまい残債が生まれます。長く利用するほど、景気の上がり下がりを経験しますので影響を受けやすいです。

不動産の価値によって上限額に到達してしまうことがある

借入人の死亡時までに自宅の評価額の上限まで融資額を使ってしまう可能性があります。例えば不動産評価額が3,000万円の自宅を担保にして、限度額が5割の1,500万円だったとします。年間で300万円を借りたとすると、5年で限度額に達してしまうことになります。

また、金融機関ではあらかじめ返済リスクを回避するために、期限付きで販売している場合があります。20年契約の商品であれば、もしご存命でも20年後に一括返済をしなくてはいけません。

リバースモーゲージの注意点

続いてリバースモーゲージを利用するうえで注意したいことを紹介します。

事前に推定相続人全員の同意が必要

トラブルを避けるために、契約の段階で推定相続人全員からの同意を求められます。本来、住まいは資産であり亡くなった後は遺族に権利が引き継がれるものです。そのため以下の第3順位の親族までの同意がないと利用できません。

リバースモーゲージの推定相続人
  • 配偶者
  • 第1順位(子ども)(子どもがなくなっている場合は孫・ひ孫)
  • 第2順位(両親)(両親がなくなっている場合は祖父母)
  • 第3順位(兄弟)(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪)
参考:三井住友銀行「法定相続人の範囲

提供元の規約をクリアしないと利用できない

リバースモーゲージは提供元の会社ごとに条件が設けられており、クリアしないと利用できません。「不動産の評価額が◯円以上であること」「対象エリアとしているところに住居を構えていること」「子どもの同居がないこと」が主な例です。

リバースモーゲージの借入可能額の目安

リバースモーゲージの借入可能額は、利用する金融機関や不動産評価額によって異なります。借入可能額の目安は不動産評価額の5~8割程度と商品によって幅があります。1回の借り入れ可能額は10万円以上(1万円単位)で設定している金融機関が多く見られます。

また提供元ごとにリバースモーゲージを利用するために最低限必要な不動産評価額が設定されています。

例えば、みずほ銀行の「みずほプライムエイジ」では戸建てで2,000万円以上、マンションで1坪あたり250万円以上かつ総額5,000万円以上の物件になります。また三井住友銀行の「SMBCリバースモーゲージ」は6,000万円以上の評価額が必要です。

参考:みずほ銀行「みずほプライムエイジ」/三井住友銀行「SMBCリバースモーゲージ

リバースモーゲージを利用する流れ

リバースモーゲージを利用する流れについて紹介します。

資料請求・窓口での相談

リバースモーゲージの提供元ごとに資料請求をして、商品の特徴を比較・検討するのがおすすめです。その際に気になることがあれば直接窓口で相談します。借入人だけでなく連帯保証予定者や法定相続人(代表者)が同席すると、話がスムーズに進むでしょう。

申し込み手続き

申し込み手続きに入ります。必要な書類は提供元の機関ごとに若干異なるものの、一般的なものは以下の通りです。

  • 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
  • 収入証明資料(源泉徴収票、前年度の確定申告に使った資料、ねんきん定期便など)
  • 物件証明資料(登記簿謄本など)

提供元の機関の審査・契約

必要書類を提出したら審査に入ります。審査期間は大まかに2週間~1カ月程度です。審査を通過したら融資内容を確認したうえで契約します。このタイミングで借入限度額が分かります。

融資の実行

融資の手続きに入り、金融機関が第一順位の不動産抵当権(※)を設定します。その後、融資額が振り込まれていきます。

ただし、融資が実行されれば終わりではなく、定期的に現況確認の連絡が入ります。万が一、借入人と連絡がつかなくなったら法定相続人へ連絡がいくようになっています。

※「第一順位の不動産抵当権」とは、万が一、債務不履行となった場合に最初に弁済を受けられる権利です。

リバースモーゲージはメリット・デメリットを知ったうえで利用する

老後の生活において資金があると安心して生活ができます。特に老人ホームに入居することになった際にはまとまった資金が必要です。そこでリバースモーゲージはとても役に立ちます。

ただし先述したようにデメリットもあります。「自宅の売却」や「賃貸に出すこと」などの代替案もありますので、どちらが適しているかを冷静に考えたうえで判断をしましょう。

介護のほんね編集部

この記事の寄稿者

介護のほんね編集部

年間1万件以上の老人ホーム探しをサポートしている介護のほんね編集部です。介護に関する情報を、認知症サポーターの資格を持つスタッフが正しく・分かりやすくお届けします。

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