寄稿

嚥下体操とは|安全に食事を楽しむために取り入れたい口腔の運動

【理学療法士監】ご年齢を重ねるにつれて、飲み込む力が弱まり誤嚥のリスクが高まることも。そこで日々の口腔ケアが大切です。この記事では嚥下機能を維持するためのトレーニング「嚥下体操」について紹介します。

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松本健史

この記事の監修

松本健史

合同会社松本リハビリ研究所 所長

理学療法士。佛教大学大学院社会福祉学修士課程修了。専門は生活期リハビリテーション。病院・デイサービス勤務後2014年合同会社松本リハビリ研究所設立。全国の老人ホーム、デイサービス、介護施設でリハビリ介護のアドバイザー、生活リハビリセミナー講師、雑誌・書籍の執筆など活動中『転倒予防のすべてがわかる本 』(講談社)など著書多数。
YouTubeチャンネル「がんばらないリハビリ介護」/オンラインサロン「松リハLAB

嚥下(えんげ)とは、食べ物を飲み込むことです。舌や口の周り、首などの筋肉を使い、口に含んだ食べ物や飲み物を喉、食道へと送り込むまでを「嚥下」といいます。

嚥下機能を維持するためのトレーニングの1つが「嚥下体操」です。嚥下体操をする目的、手順について解説します。

高齢になるにつれて嚥下機能は衰える

嚥下とは「食べ物・飲み物を飲み込むこと」です。高齢になると口や喉の動きが衰えて「食べづらさ」や「飲み込みづらさ」を感じることが増えます。

スムーズにものを飲み込めないことで誤嚥のリスクが高くなります。誤嚥とは食物が胃ではない内臓器官に入ってしまうこと。誤嚥性肺炎という重大な疾患につながる可能性もあります。

また嚥下機能が衰えてしまうことで、食べることに苦痛を感じ、食欲の減退にもつながります。すると間接的に栄養が不足する原因にもなります。

これらのネガティブな影響を避けるためにも、嚥下機能の維持に取り組むことは大切です。

嚥下体操とは

嚥下機能を維持するための運動の1つが嚥下体操です。簡単にできるため自宅でも気軽に取り入れられます。介護施設をはじめとした介護の現場では食前によく実践されています。

嚥下体操の手順

嚥下体操の手順について解説していきます。自宅でもできるため食前に取り入れてみてください。

STEP1:リラックスした姿勢をとる

まずは、リラックスした姿勢をとります。椅子に腰かけて取り組みますが、あまり背もたれにもたれすぎないようにするのもポイントの1つです。両足を床につけて、背筋を伸ばすことを意識します。

STEP2:深呼吸をする

お腹に手を当て、深呼吸をします。ゆっくりと鼻から吸って、口から吐くことを意識してください。

STEP3:首の体操をする

まず首を首を傾けて肩に耳をつけるようなイメージで左右に倒します。次に前後に動かします。またゆっくりと振り返るように左右に回します。その後、左右に1回ずつ首を回してください。これを3~5セットおこないます。

STEP4:肩の体操をする

両手は下におろしたままで肩だけを上にあげ、ストンと下に落とします。その後、肩を前から後ろ、後ろから前といったようにゆっくりと回します。肩の体操は5回を目安にします。

STEP5:口の体操をする

口を大きく開けたり、閉じた時に歯をしっかりとかみ合わせたりします。次に「う」の音を出すように口をすぼめたり、「い」の音を出すように口を横にひいたりします。

STEP6:頬の体操をする

頬を膨らませたり、すぼめたりします。口に空気をためることによって、口の周りにある筋肉のトレーニングになります。食べ物をしっかりと噛んだり、食べこぼしを防止したりするための体操です。

STEP7:舌の体操をする

「あっかんべー」の要領で舌を出し、喉の奥へと引きます。次に口の両端を舌で舐める動き、鼻の下や顎の先を触るような動きをします。それぞれを3回ずつしましょう。咀嚼や嚥下をする際に重要な役割を担う舌の動きを維持するためのトレーニングです。

STEP8:発音の練習をする

発音の練習も嚥下体操に取り入れられています。この時に、「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することが多いです。「パパパパパ、タタタタタ、カカカカカ、ラララララ」と各音を10~20回ずつ発生します。「パンダのタカラモノ」というフレーズを取り入れている介護施設もあります。

STEP9:咳払いをする

誤嚥してしまった場合、むせることで気管に入ってしまった飲食物を出せる可能性があります。そのため、咳払いも嚥下体操の1つとしておこなわれるのです。ただし、あまり無理にしてしまうと喉を傷めかねないので注意しなければいけません。

嚥下体操によって誤嚥性肺炎を防ぐ

誤嚥によって誤嚥性肺炎のリスクが高まります。誤嚥性肺炎とは食べ物をうまく飲み込めなかった結果、唾液や食べ物と一緒に最近まで肺に入ってしまい、発症する肺炎です。最悪の場合、死に至ります。

嚥下体操によって口腔機能を維持することで、身体を守る効果があります。介護施設では主に食事前に嚥下体操を実践しています。簡単ですので、自宅でも取り入れやすいといえます。

自宅で介護をしている方は、早いうちから嚥下体操を生活に取り入れ、誤嚥のリスクを少しでも軽減できるよう工夫してみてください。

介護のほんね編集部

この記事の寄稿者

介護のほんね編集部

年間1万件以上の老人ホーム探しをサポートしている介護のほんね編集部です。介護に関する情報を、認知症サポーターの資格を持つスタッフが正しく・分かりやすくお届けします。

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