寄稿

認知症ケアパスとは|施策の概要・市区町村ごとの取り組みなどを紹介

認知症ケアパスとは在宅で介護をする方をサポートする制度です。「年を重ね家族が認知症になったとしても、生涯自宅で暮らせるように」と作られたのが認知症ケアパスになります。今回はその施策概要と市区町村ごとで違う特色についてご紹介します。

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介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、認知症ケア上級専門士、認知症介護実践リーダー、米国アクティビティディレクター、他。介護職として働く傍ら、レクや認知症、コミュニケーションに関する研修講師も務める。2014年米国アクティビティディレクター資格取得。レクリエーションを通じ、多くの高齢者に「人と触れ合う喜び」を伝え、「介護技術としてのレクリエーション援助」を広める一方、介護情報誌やメディアにおいて執筆等を手掛けている。『認知症の人もいっしょにできる高齢者レクリエーション 』(講談社)など著書多数。

認知症ケアパスとは

認知症ケアパスは、認知症の方とその家族が、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受けられるのかを示すものです。認知症の方の生活機能障害の具合によって変わる適切なサービスが紹介されており、認知症の人と家族にとって有益な情報が詰まっています。

認知症ケアパスは2012年6月に厚生労働省で発表された「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」の1つで、作成しているのは各市区町村です。そのため、認知症の方が地域で身近に受けられるサービスがより詳しく分かるようになっています。

認知症ケアパスを知ることによって認知症の方とその家族が、住み慣れた地域でより安心できる生活を送るためのヒントを得られるでしょう。地域と医療、介護に携わる人にも貢献し、さまざまな恩恵を作り出しています。

認知症ケアパスの各市区町村ごとの5つの事例

認知症ケアパスは各市区町村が作成し、場所によっては内容が違い、地域が持つ特色を活かされていることもあります。ここから、5つの場所の事例を見ていきましょう。

各地方自治体の認知症ケアパスの特徴
茨城県 軽度認知障害(MCI)対策として認知力アップの取り組みを実施しています。筑波大学附属病院の協力により認知力アップ基礎研修・認知力アップデイケアをした市町村担当者や専門職種の人が、認知力アップに関するプログラムや教材などを作成しています。 出典:
認知症ケアパス/茨城県
名古屋市 名古屋では各区や街で異なる認知症ケアパスであるのが特徴的です。ページにアクセスし詳しい情報を見たい区や町をクリックすると詳細へ移動でき、それぞれ特色を生かしたサービスや相談窓口が知れる内容となっています。 出典:
各区の制度やサービス一覧|なごや認知症あんしんナビ
町田市 認知症の症状を分かりやすく記載し、利用におすすめするサービスを複数紹介しています。加えて、自分でできる「認知症の気づきチェックリスト」を掲載し、家族だけではなく高齢者自身が認知症をよく理解できる内容です。 出典:
認知症ケアパスを盛り込んだパンフレット「知って安心認知症」
京都府 京都式認知症ケアパスとして公表しており、独自の概念に基づいて作られた図を使って京都の介護・医療サービスを説明しているのが特徴です。分かりやすくまとめられた図を見ながら認知症の進行具合に合わせて利用すべき適切なサービスを知れます。 出典:
京都式認知症ケアパスとは?
杉並区 認知症の診断を受けた後や症状が出始めた頃の人を対象にしています。認知症ケアパスを通して今後の生活の様子をイメージし、その不安や悩みを抱え込まずに相談するという狙いがあります。 出典:
杉並区認知症ケアパス「大丈夫 もの忘れなんて怖くない」

認知症ケアパスができた背景

認知症ケアパスができた背景は、当時の医療体制にあります。

2012年以前は、認知症になってしまった方は精神病院や施設の利用が絶対に必要という考えが強く、家庭での介護中心ではなく精神科での長期入院が求められる傾向にありました。

入院した人の一部は症状が改善する姿が見られないことから、退院の可能性が見込めないこともしばしばあったのです。そんな認知症の人の暮らしにもっと自由や選択の幅を広げるべきとして生まれたのが、認知症ケアパスとなっています。

居住先や支援が整えば入院せずとも充実した暮らしができるとして、多くの家族や医療・介護関係者が認知症の方に対するケアの見直しが必要だと声を挙げました。その結果、認知症ケアパスの作成が推進されているのです。

各市区町村ごとでケアパスを作成する

現在は「住み慣れた地域で暮らしていきたい」という多くの高齢者の声から、訪問介護やデイサービスといった、自宅での暮らしを充実化させている傾向にあります。ただし、認知症となると自宅介護やデイサービスのみを受けて生活していくのは簡単ではありません。

故に、各地域は認知症の人に優しいまちづくりとサービスを活性化していく必要があり、それに伴い家族にも嬉しいサービスであることがきちんと分かるよう、認知症ケアパスを作成することが求められています。

主導である各市町村が作成することで、より一つひとつのサービスを具体的に説明できます。そして各市町村は認知症ケアパスの作成から、どうして認知症ケアの見直しが必要になったのか、どうして適切なケアでできなかったのかといった原因を追究することも可能になるでしょう。

この見直しを含め、各地域の認知症の方に対するサービスが向上していくことも認知症ケアパスの狙いの1つになっています。

認知症ケアパスに登場する施設や職業

認知症の人や家族に有益な施設情報やサービスを紹介している認知症ケアパスは、どのような施設が登場するのか気になる人も多いでしょう。ここからは、認知症ケアパスの内容を詳しく知りたい人のために、登場する施設と関係してくる職業についてもご紹介していきます。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、介護予防支援を実施するケアマネジメントや介護の相談を受け付けている場所です。保健師や経験に富んだ看護師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが各センターに配置されており、介護の点だけではなく医療、保健など多くの領域の関係機関と連携することで、高齢者を悩ませるあらゆる生活課題に対応する目的で存在しています。

ケアマネジメントサービスを提供しながらも、地域包括支援センターでは申請のサポートも受けられます。在宅介護になくてはならない存在であり、高齢者に対する支援や社会の体制を整えるために話し合う地域ケア会議も定期的に開催することで、さらに充実したサービスを提供できるようにしています。

ケアマネジャー

先ほどの紹介でも登場したケアマネジャーはそもそもどういった人なのでしょうか。ケアマネジャーは正式名称を「介護支援専門員」といい、介護保険サービスを利用したい人と介護サービスを提供する事業者を結ぶ存在です。サービスを受けたい相談者の悩みにしっかり合った介護サービスを紹介できるように、介護・医療関係との連携が必須になってきます。

ケアマネジャーは介護・医療・福祉のいずれかの分野において1つ以上の資格を有し、実務経験が5年以上、かつケアマネジャー試験に合格した人のみがなれる仕事です。幅広い知識を持つ職種なので利用者の人も安心して相談できるでしょう。

認知症初期集中支援チーム

認知症初期集中支援チームは、専門家がチーム体制で認知症の方とその家族を支援しています。自宅に訪問して適切な医療や介護を受けられるように支援していき、認知症の進行を防ぐ目的があります。

認知症の症状が疑われる人にも支援をしています。早期に医療機関を受診しないことで悪化しやすい認知症の進行を防ぐためにも、認知症初期集中支援チームが一丸となって活躍しているのです。

居宅サービス事業者

居宅サービス事業者とは、訪問介護や通所介護、短期入所生活介護といった居宅サービスを提供する事業者のことを指します。居宅サービスを受けたい高齢者にとっては関わり深い事業者です。

居宅サービスの需要は年々増加している傾向にあり、認知症ケアパスでは居宅サービスが充実するように連携を図り、情報を漏れなく記載できるように努めています。

かかりつけ医

なんでも相談できる身近な医師であるかかりつけ医は、自宅で生活を希望する高齢者にとって欠かせない存在です。かかりつけ医という身近な存在がいることで、高齢者の健康状態を知り、適切な処置がいち早くできるようになります。必要な場合には専門医と専門医療機関を素早く紹介してくれるのも特徴です。

そんなかかりつけ医は他の医療機関と連携を図ることが大事です。地域とも密接な関係にあり、認知症ケアパスで紹介する施設やサービスにも関わる重要な職種です。

認知症疾患医療センター

認知症疾患医療センターは、認知症である人やその症状が見られる人の詳しい診断を実施し、行動や心理症状、身体の合併症への対応、専門医療相談なども担う医療機関です。この認知症疾患医療センターはかかりつけ医との連携、適宜介護や福祉施設、地方自治体とも連携しています。

物忘れの不安の相談や診断、治療、介護保険申請の相談まで一貫して手がけてくれるため非常に頼りになるでしょう。地域の中で認知症の方と家族が適切な専門医療が利用できるように、その役割を全うしています。

ショートステイなどの事業者

短期間、施設で介護サポートを提供するショートステイ事業者も認知症ケアパスでは重要です。本来ならば在宅介護をする場合でも、いつ・どんな時も家族が付きっきりというのは難しいでしょう。

場合によっては1日、1週間ほど家族に休息がなければ介護サポートを続けることも困難であるはずです。そんな時に利用したいのがショートステイと言えます。短期間の入所によって認知症の人は不自由のない生活を送れるほか、家族も自由な時間を得られるなどのメリットがあります。

自治会や老人会など地域支援

認知症ケアパスは、自治会や老人会、地域の方の存在は必要不可欠です。地域の交流の場へ出掛けることで、認知症予防にもつながります。

また、レクリエーションを実施するボランティア団体や認知症サポーターを推奨する団体など、地域の方と助け合うことで、より住み良い環境となります。

認知症ケアパスの元になった「オレンジプラン」とは

認知症ケアパスはオレンジプランの1つとして作成されたものです。これは超高齢化社会において認知症に悩む人が増えるなか、認知症に対する意識をより深めていくために厚生労働省が打ち出した認知症施策となっています。認知症ケアパスの作成以外にも幅広い取り組みがあります。

主なオレンジプランの取り組み
  • 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  • 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供
  • 若年性認知症施策の強化
  • 認知症の人の介護者への支援
  • 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  • 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発およびその成果の普及の推進
  • 認知症の人やその家族の視点の重視

上記の支援策を講じて高齢者に優しく、そして認知症の人の意思もきちんと尊重される社会になるよう目指しています。なるべく住み慣れた土地でより良い生活が送れる日々があるのも、このオレンジプランによるものです。

認知症を地域で支えるための地域包括ケアシステムとは

認知症の人を家族だけでなく地域全体で支えるためには、認知症ケアパスが各サービスを紹介する以外に地域包括ケアシステムによってサポートしていくことが大事です。地域包括ケアシステムとは、介護の将来像とも言われており、日常生活圏域で約30分以内に必要なサービスが提供されることを意味しています。

住まいを生活の中心として、病気になったらすぐに利用できる医療機関、介護が必要になったらすぐに介護サービスを受けられる施設、そしていつまでも元気に暮らすために生活支援と介護予防ができるといったように、地域包括ケアシステムの構築によってさらに暮らしが便利になります。

この地域包括ケアシステムがあることで、重度の要介護状態や認知症になったとしても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしが実現します。今後はより一層認知症高齢者の増加による不安が懸念されていることから、地域全体で高齢者の生活を支えるシステムの構築が必要不可欠だとされているのです。

認知症の在宅介護の際は認知症ケアパスによって無理のない判断を

認知症の高齢者を支える介護と暮らしは決して楽なものではないため、誰かの支えが必要だと感じることでしょう。

既に認知症の人の介護をしている人は、大きな負担を感じつつもずっと住み慣れた自宅で生活をさせてあげたいと願う人も多くいます。そんな人へぜひ利用してもらいたいのが、認知症ケアパスです。

今回ご紹介してきた認知症ケアパスによって身近に利用できる介護・医療サービスを知れるほか、支える家族のささやかな休息も与えてくれることでしょう。

お住まいの地域の認知症ケアパスにもぜひ目を通してみて住まいの近くで利用できる便利なサービスを活用しながら、家族自身も豊かな生活を手に入れてみましょう。

介護のほんね編集部

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