寄稿

【2021年版】健康寿命とは|日本と世界のランキング・延伸プランなどを紹介

健康寿命とは2000年にWHOが提唱をしたもので「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」を指す言葉です。現在は寿命そのものも大事ですが、健康寿命がとても重要視されています。 今回は健康寿命に関しての日本と海外の現状や、延ばすために実践すべきこと、厚生労働省が定めている「健康寿命延伸プラン」の概要などについてご紹介しましょう。

健康寿命の定義とは

「健康寿命」という言葉が生まれたのは2000年です。世界保健機関(WHO)が提唱しました。

「寿命」という言葉は息を引き取るまでの期間を指す言葉です。例え寿命が長くても、実際は寝たきりになったり、認知症になったりと、健康ではない期間も含まれていました。そこでWHOがあらためて健康寿命という言葉を創出。人生において健康な期間をどれだけ延ばせるか、を考えるようにシフトしたのです。

健康寿命の定義としては「健康上のトラブルによって、日常生活が制限されずに暮らせる期間」となります。日常生活が制限されない、とはつまり「介護状態にならないこと」「自分の身の回りのことを自分ですること」といった意味合いです。明確に要介護◯以上などという詳細な定義に関しては、現在でも議論がなされています。

平均寿命と健康寿命の違いとは

平均寿命とは「誕生してから亡くなるまでの期間の平均」を指します。認知症になってしまったり、怪我をして寝たきりになってしまったりとしても、臨終するまでの期間を平均寿命と表します。

これに対して健康寿命とは前述したとおり、制限なく日常生活を送れる期間を指します。つまり疾患や怪我などで自立した生活を送れなくなった時点で、健康寿命は終わりを迎えることになるのです。

なぜ健康寿命が注目され始めたのか

健康寿命が注目され始めた背景には「寿命の質」という考えがあります。寿命は決して長さ(量)だけではありません。例えば100歳まで生きた方と90歳まで生きた方を比べてみましょう。「寿命」としては前者のほうが長いのはもちろんです。

しかし仮に前者の方が80歳からの20年間が寝たきりの状態であり、後者の方は亡くなる直前まで自立した状態だったとします。

この場合、後者の方のほうが寿命の質は高いといえます。医療分野が発達したことによって世界的に寿命が伸びているなか、単純に生命を持続させるのではなく、健康で自立した時間を伸ばそうという考えが発展しました。

健康寿命の延伸で医療・介護保険料の削減にも

特に日本では超高齢社会に突入しており、医療・介護保険料が問題になっています。若い世代で多くの高齢者の生活を支えなければいけません。健康寿命の延伸に取り組むことで高齢者一人ひとりが介護・医療サービスを使う機会が減り、日本全体の保険料問題の解決にもつながります。

世界の健康寿命ランキング

2000年から提唱されはじめて20年で、世界各国がそれぞれ健康寿命の延伸に取り組んでいます。ではどの国の健康寿命が長く、平均はどのくらいなのでしょうか。

順位 国名 2016年版
男女の平均健康寿命
1 シンガポール 76.2
2 日本 74.8
3 スペイン 73.8
4 スイス 73.5
5 フランス 73.4
6 キプロス 73.3
7 カナダ 73.2
7 イタリア 73.2
9 オーストラリア 73.0
9 アイスランド 73.0
9 ノルウェー 73.0
9 韓国 73.0
13 イスラエル 72.9
14 ニュージーランド 72.8
15 ルクセンブルク 72.6
16 オーストリア 72.4
16 スウェーデン 72.4
18 マルタ 72.2
19 アイルランド 72.1
19 オランダ 72.1
21 ギリシャ 72.0
21 ポルトガル 72.0
23 イギリス 71.9
24 デンマーク 71.8
25 フィンランド 71.7
26 ベルギー 71.6
26 ドイツ 71.6
28 コスタリカ 70.9
29 スロベニア 70.5
30 キューバ 69.9
31 モルディブ 69.8
32 チリ 69.7
33 パナマ 69.4
34 チェコ 69.3
35 クロアチア 69.0
36 ウルグアイ 68.8
37 中国 68.7
38 カタール 68.6
39 ポーランド 68.5
39 アメリカ 68.5
41 アルゼンチン 68.4
42 スロバキア 68.3
43 エストニア 68.2
44 アルバニア 68.1
44 バーレーン 68.1
44 モンテネグロ 68.1
47 ブルネイ 67.9
47 エクアドル 67.9
49 メキシコ 67.7
50 ペルー 67.5
…… …… ……
183 中央アフリカ共和国 44.9
出典:世界保健機関(World Health Organization)「THE GLOBAL HEALTH OBSERVATORY
※アンドラ、クック諸島、ドミニカ国、マーシャル諸島、モナコ、ナウル、ニウエ、パラオ、セントクリストファー・ネイビス、サンマリノ、ツバルはデータ不十分のため集計されていません。

世界的に見て日本は2位、74.8歳とハイレベルな健康寿命です。1位はシンガポールで日本よりも1歳以上も健康寿命が長いという結果になりました。一方、注目したいのは下位層です。アフリカの国々は全体的に50歳前後と、まだまだ健康寿命に難があることがわかりました。1位のシンガポールと183位の中央アフリカ共和国の差は31.3歳もあります。

世界の平均寿命と健康寿命との差

先術したとおり、健康寿命という言葉は「平均寿命だけに注目してはいけない」という考えのもとで生まれました。では実際、世界各国は平均寿命と健康寿命にどれくらいの差があるのでしょうか。表にしてまとめてみましょう。「平均寿命-健康寿命」は自立した生活を送れない期間を指します。

順位
(平均寿命)
国名 2016年版
男女の平均寿命(歳)
2016年版
男女の平均健康寿命(歳)
2016年版
平均寿命-健康寿命
1 日本 84.2 74.8 9.4
2 スイス 83.3 73.5 9.8
3 スペイン 83.1 73.8 9.3
4 オーストラリア 82.9 73 9.9
4 シンガポール 82.9 76.2 6.7
4 フランス 82.9 73.4 9.5
7 イタリア 82.8 73.2 9.6
7 カナダ 82.8 73.2 9.6
9 韓国 82.7 73 9.7
10 ノルウェー 82.5 73 9.5
11 アイスランド 82.4 73 9.4
11 スウェーデン 82.4 72.4 10
11 ルクセンブルク 82.4 72.6 9.8
14 イスラエル 82.3 72.9 9.4
15 ニュージーランド 82.2 72.8 9.4
16 オーストリア 81.9 72.4 9.5
17 オランダ 81.6 72.1 9.5
18 アイルランド 81.5 72.1 9.4
18 ポルトガル 81.5 72 9.5
18 マルタ 81.5 72.2 9.3
21 イギリス 81.4 71.9 9.5
21 フィンランド 81.4 71.7 9.7
23 ギリシャ 81.2 72 9.2
23 デンマーク 81.2 71.8 9.4
23 ベルギー 81.2 71.6 9.6
26 ドイツ 81 71.6 9.4
27 スロベニア 80.9 70.5 10.4
28 キプロス 80.7 73.3 7.4
29 コスタリカ 79.6 70.9 8.7
30 チリ 79.5 69.7 9.8
31 チェコ 79.2 69.3 9.9
32 バーレーン 79.1 68.1 11
33 キューバ 79 69.9 9.1
34 アメリカ 78.5 68.5 10
35 モルディブ 78.4 69.8 8.6
36 クロアチア 78.3 69 9.3
37 カタール 78.1 68.6 9.5
38 パナマ 78 69.4 8.6
39 エストニア 77.8 68.2 9.6
39 ポーランド 77.8 68.5 9.3
41 スロバキア 77.4 68.3 9.1
42 ボスニア・ヘルツェゴビナ 77.3 67.2 10.1
43 アラブ首長国連邦 77.2 66.7 10.5
44 ウルグアイ 77.1 68.8 8.3
45 オマーン 77 65.6 11.4
46 アルゼンチン 76.9 68.4 8.5
47 モンテネグロ 76.8 68.1 8.7
48 メキシコ 76.6 67.7 8.9
49 エクアドル 76.5 67.9 8.6
50 アルジェリア 76.4 65.5 10.9
50 アルバニア 76.4 68.1 8.3
50 トルコ 76.4 66 10.4
50 ブルネイ 76.4 67.9 8.5
50 中国 76.4 68.7 7.7
出典:世界保健機関(World Health Organization)「THE GLOBAL HEALTH OBSERVATORY
※アンドラ、クック諸島、ドミニカ国、マーシャル諸島、モナコ、ナウル、ニウエ、パラオ、セントクリストファー・ネイビス、サンマリノ、ツバルはデータ不十分のため集計されていません。

ここでも注目したいのはシンガポールです。上位10カ国のなかでも特に平均寿命と健康寿命との差が短いのが見て取れます。多くの方が最期まで健康で自立した生活を送っているのです。シンガポールはそもそも医療制度が発達している国です。その技術の高さは2000年にWHOが世界で6位と評しました。

参考:世界保健機関(World Health Organization)「The WORLD HEALTH REPORT 2000

また年金などの保障制度がなく、強制的に貯金をする、という制度があります。医療費などはこの積立貯金から払うシステムなのです。保険金自体が非常に安く、使いやすいのも特徴になっています。日本も医療レベルの向上や社会保障制度の整備をすることで、より健康寿命を延ばせるはずであり、厚生労働省では「健康寿命延伸プラン」を策定しています。プランについての詳しい内容は後述しましょう。

日本の健康寿命の推移

では続いて日本の健康寿命の推移について見ていきましょう。2000年以降、日本ではどのように健康寿命が移り変わっているのでしょうか。平均寿命と一緒に紹介します。

年代 健康寿命 平均寿命 平均寿命-健康寿命
2001年 69.4 78.07

8.67

2004年 69.47 78.64

9.17

2007年 70.33 79.19

8.86

2010年 70.42 79.55

9.13

2013年 71.19 80.21

9.02

2016年 72.14 80.98

8.84

参考:厚生労働省「平成30年簡易生命表の概況
参考:厚生労働省「平均寿命と健康寿命の推移

また男女の平均寿命と健康寿命の推移は以下の通りです。

年代 女性 男性
2001年 72.65 69.4
2009年 73.62 70.42
2013年 74.21 71.19
参考:男女共同参画局「平均寿命と健康寿命の推移(男女別)

医療技術の発展や、高齢者の心がけなどの結果、健康寿命と平均寿命は年々、伸びています。自立した生活を送れない期間は約9年ほどで推移している状況であり、改善されているとはいえません。今後はより健康寿命を延ばすための取り組みが必要だといえます。

厚生労働省の「健康寿命延伸プラン」とは

厚生労働省「健康寿命延伸プランの概要

前述したとおり、厚生労働省は健康寿命を延ばすための取り組みを推進しています。令和元年の5月には「健康寿命延伸プラン」という計画を打ち出しました。このプランでは「2040年までに健康寿命を男性で75.14歳、女性で77.79歳とする」ために国民の健康づくりをサポートすることが明記されています。

そのための具体策として以下の3つの施策を挙げていますので紹介しましょう。

次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成

次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成とは、日ごろの生活を通して健康への意識を高められる環境を厚生労働省が主体で作っていくことです。前提として健康無関心層も含めて施策を打つことが明記してあり、健康への意識づくりから始めることも視野に入れています。

疾病予防・重症化予防

医療テクノロジーも踏まえて疾病の予防をしていくための施策があります。健康診断の質やがん検査の手法、また歯周病対策なども含めて疾病の予防や重症化を未然に防ぐための施策などを進めていく施策です。

介護予防・フレイル対策、認知症予防

こちらは医療的というより、介護予防を目指す取り組みになっています。身体的に虚弱になってしまう「フレイル」の予防や認知症の対策を進めることで、長く自立した生活を送れるように準備をするのが目的です。これらの三本柱が2040年までに健康寿命を75歳にするという目標を果たすために厚生労働省が定めた施策になります。

健康寿命を延ばすことは寿命の質を高めること

現在では日本の平均寿命は非常に高いのが特徴です。「人生100年時代」は決して夢物語ではなく、すぐそこまで近づいています。ただ長生きをすればいい、というわけではありません。「健康に長生きをする」ことで、人生は非常に有意義なものになるはずです。

既に高齢の方はもちろん、まだ65歳以下の方もご自身の生活を見直して、健康寿命を延ばすための取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

この記事の寄稿者

緒方 優樹

介護のほんね編集部。認知症サポーターです。
介護を始めたての方に向けて、老人ホームや認知症に関する知っておきたい情報を、誰もが分かる簡単な言葉でご紹介します。