広島県の西風新都に根差した「メリィハウス西風新都」は468室ある大型老人ホームです。前編では、大型老人ホームならではの強みをケア部長の山本房子さんに伺いました。
山本さんは「おもてなしの心を大切にしている」と言います。入居者の多いホームで一人ひとりにどういった心配りができるのでしょうか。取材を通して「おもてなし」の本質が垣間見えてきました。
ケア部長山本さんが大切にしていること
――山本さんが入居者の方と向き合ううえで大事にしていることは何ですか?
「おもてなしの心」ですね。
――「おもてなし」とは、どういったことでしょうか?
うーん、難しい質問です(笑)。私にとってのおもてなしとは、入居者様一人ひとりに「大事にされている」と思っていただくことです。
――なぜ、そのような考えにいたったのでしょうか?
入居当初から「自宅を離れて老人ホームで暮らしたい」と思っている方は、ほぼいません。
「家族や周囲のすすめで、仕方なく入居した」という気持ちから「ここに来て良かった」と思っていただける様な対応が必要です。また、私たちが入居者様に対してご家族のように温かく接さなければと思っているんです。
ご家族の中には「嫌がっていたのに、老人ホームに入れてしまった」と罪悪感を感じている方もいらっしゃいます。入居者様がメリィハウスで楽しそうに暮らしている様子を見ていただくことでご家族の不安も払拭できるんです。
――入居者の方が「大事にされている」と感じるために、心がけているポイントがあれば教えてください。
そうですね、今はスタッフたちと「ありがとう」という言葉を使おうと言っています。
介助やお世話する際に入居者様からは「ありがとう」「ごめんなさい」とはよく言われますが、私たち職員が口にするタイミングって意識しないとなかなかありません。なので積極的に「手伝ってくださって、ありがとうございます」など、言うようにしています。
あとは一人ひとりの良いところを見つけ、ご本人やご家族にご報告しています。
――400人以上の入居者で、一人ひとりの良いところを探すのは大変ではないでしょうか?
メリィハウスでは入居者一人ひとりに担当のスタッフがいます。その担当スタッフが入居者様の良いところを見つけていきます。
――入居者様の良いところは、どのタイミングでご家族に共有するのでしょうか。
年始のご挨拶としてスタッフが入居者様とご家族に年賀状を書くんです。年賀状のメッセージに入居者様の素敵なところを書いて、送っています。
ご家族は、入居者様の日常をご存知ない方もおられるので喜ばれますね。年賀状を送り始めてから、スタッフ自身も入居者様の良いところを見つけようとする意識で接するようになったと実感しています。
――他にもご家族に喜ばれるおもてなしはありますか?
当ホームでは看取り介護も実施しています。入居者様が旅立たれた1年後の命日に、ご家族にお花を贈るようにしています。ご家族からは「大切に想ってくださってありがとうございます」とおっしゃっていただいたこともあり、喜んでいただいております。
介護度に関係なく、おのおのが楽しめる暮らし
――メリィハウスの1日の流れを教えてください。
自立や要支援の方は自由に過ごしています。趣味の活動やお友達とのショッピングなど、人それぞれです。ただし要介護にならないためにも、リハビリの時間は確保しています。
要介護の方は、集団リハビリ、生活リハビリ、レクリエーションに参加している方が多いです。共有設備やレクリエーションが充実しているので、ホームにいながら飽きのこない生活を送っていただけています。
――レクリエーションの頻度を教えてください。
レクリエーションは毎日開催しています。体操などのレクリエーションからサークル活動、趣味活動、季節行事、外出イベントなど種類もさまざまです。
――趣味を楽しめるホームだと思いますが、どんな趣味の方が多いのでしょうか。
今、うちのブームは「ビリヤード」です。数年前は卓球だったんですけどね。
――ビリヤードですか。ビリヤードの台もあるんですね。
5階と13階の共有スペースにビリヤードの台を置いています。5階のビリヤードの台は、入居者様がご自宅から持ってきたものです。
ビリヤードが上手な方が教えてくれるので、皆さん夢中になっていくんでしょうね。
――外出レクはどこへ行きましたか?
春は6,000本のソメイヨシノが咲く「土師ダム」でお花見をしました。お元気なグループは、山口県まで行ってふぐを食べました。
遠出が難しい要介護の方にはお買い物ツアーが人気です。近所に「イオンスタイル西風新都」「フレスポ西風新都」があるので、そこでお買い物を楽しみます。
――入居者様のご意見も取り入れているのでしょうか?
はい、取り入れています。
やはり広島ということで「広島東洋カープ」のファンが多いんですよ。入居者様のご要望もあり、パブリックビューイングで応援をしたこともあります。
――入居者様は活発的な方が多いんですね。平均年齢と平均要介護度を教えてください。
そうですね。皆様アクティビティが好きですし、とてもお元気ですね。平均年齢は88.3歳で、平均要介護度は1.33です。
――明るく、元気に暮らしていただく工夫などはありますか?
共有設備やレクリエーションが充実しているのも、元気の秘訣かもしれません。それにプラスして自分でやりたいことや食べたいものなどを選べる環境というのも大事です。
――前編でお話してくださったレストランやパン屋などの役割も、自分で選べることだと言ってましたね。他にはどんなことが挙げられますか。
そうですね、日々の会話ですね。例えばケアスタッフが「13時からお風呂なので支度しましょう」と言ってしまうと、自分の意思で物事を選択している手応えはありません。
同じお風呂でも「13時からお風呂ですが大丈夫ですか?」と声をかけることで「そろそろ用意します」「もう少し後がいいです」など、選択しやすくなります。
そういう積み重ねが、心地よさにつながっていくと思います。選択できる環境を提供するというのは、メリィハウス流の「おもてなし」ともいえますね。
運営母体は医療法人、「メリィホスピタル」がすぐそば
――他にもメリィハウス西風新都の強みがあれば教えてください。
当施設は「医療法人社団 八千代会」のグループです。介護、住まい、生活だけではなく、医療も充実しています。
――緊急時の対応はどのようになるのでしょうか?
メリィハウス西風新都の50メートル先に、2018年に開設された病院「メリィホスピタル」があります。
そこの医師と連携を取りながら、素早く対応できるので安心です。施設内での対応が難しいときも、メリィホスピタルへ入院していただき、治療いたします。
メリィホスピタルができる前までは、クリニックを併設していたのですが、入院の設備はないので、入院するまでに少し手間がかかりました。
メリィホスピタルができてからは、入院までの手続きなどが速くスマートになりました。
――施設のフロアだけではなく、医療体制までどんどんアップデートされているんですね。他にも運営していくなかで変えたことなどはありますか?
メリィハウス西風新都をオープンした2年目までは、看護師とケアマネ、ソーシャルワーカーなどで部屋を分けていましたが、専門職関係なしで同じ部屋で仕事するようにしました。
――なぜ部屋を一緒にしたのでしょうか?
看護師、ケアマネ、ソーシャルワーカー、ケア管理者、職種間の情報が共有しにくくなってしまったためです。
それではチームケアができないと思い、各専門職の声が聞ける、顔の見える1つの部屋に集めました。
――チームケア体制にすることで、どんなメリットがありましたか?
1つのケースに対していろんな角度から話せることですね。結果、入居者様へ質の高いケアが提供できるようになったと思います。あとは話し合うことが増えて、各専門スタッフ同士の垣根がとれましたね。
――ありがとうございます。最後にメリィハウス西風新都はどんな方におすすめか教えてください。
メリィハウス西風新都は、要介護の方から自立の方まで受け入れています。医療体制も整っていますので、健康面でご不安な方もご相談ください。
最近は豪雨による災害などもありました。一人暮らしが不安で入居を検討している方にもおすすめです。西風新都は住宅街ですが都心に近く、散歩コースもあり、お買い物施設も揃っているので、アクティブな日々が過ごせます。
広島の老人ホームをご検討の際は、ぜひご見学にお越しくださいませ。
老人ホーム・介護施設の概要
施設名:メリィハウス西風新都
事業者名:富士メディカル株式会社
住所:広島県広島市安佐南区大塚西3丁目2番9号
住宅型有料老人ホームメリィハウス西風新都の詳細ページ
介護付有料老人ホームメリィハウス西風新都の詳細ページ
この記事の寄稿者
井上
介護のほんねニュース編集部。
認知症サポーターです。介護に関する今話題のトピックや疑問を、分かりやすくお届けします。