【前編】現場の連携で自立支援 サービス付き高齢者向け住宅「マザアス札幌」の暮らしとは?

2020.10.05
スタッフと入居者様 スタッフと入居者様

地下鉄東豊線・さっぽろ駅から徒歩2分、札幌の中心地に立つ「マザアス札幌」は、要支援・要介護認定を受けた人を入居対象とするサービス付き高齢者向け住宅です。サービス付き高齢者向け住宅は自立の方が利用するシーンが多い印象ですが、マザアス札幌では要支援・要介護状態の方だけにサービスを提供しています。

ではサービス付き高齢者向け住宅で暮らす要介護者の生活とは、どのようなものなのでしょうか? 施設長の小澤健太郎(おざわけんたろう)さん、副施設長の矢田裕貴(やたひろたか)さんにお話を伺います。インタビューを通して見えてきたのは「スタッフ同士の連携の大切さ」でした。

マザアス札幌 外観 マザアス札幌 外観

札幌駅徒歩圏内、お買い物にも便利な環境

――まずは何といっても、抜群の立地が魅力的ですね。

ありがとうございます。JR札幌駅も徒歩圏内で利便性に優れていますし、お買い物もしやすい環境なんですよ。

――入居者様からはどのようなお声がありますか?

「便利な立地が入居の決め手」という方もいらっしゃるほど、喜ばれていますね。

もともとご遠方にお住まいの方でも、ご家族が「近くに呼び寄せたい」と入居を決められるケースもあります。やはり何かあったときに、不便なところにいては心配だとお考えなのでしょうね。

入居者様はもともと周辺に土地勘がある方が多いので、ご自身でデパートにお買い物に行くなど、毎日の暮らしを楽しんでいらっしゃいますよ。

――外出も楽しめるんですね。

もちろんです。基本的に自由に外出していただけます。周辺が便利な環境だと、お散歩に出るのも楽しいですよ。

介護事業所を併設、強固な連携体制でサポート

――介護が必要な方は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームを検討するケースが多いと思います。サービス付き高齢者向け住宅に入居するメリットはあるのでしょうか?

そうですね、例えば特別養護老人ホームだと入居している方の人数も多くなります。ですので、どうしても「〇〇の介助は△時から」と職員側のスケジュールで動くことが多いんです。

一方、サービス付き高齢者向け住宅は、必要なサービスを個別に利用していただきます。施設としてまとめて介護をするわけではありません。

そのため、一人ひとりの状態やスケジュールに合ったサービスを受けられるんです。入居者ご自身の都合に合うサービスを受けられるのは、サービス付き高齢者向け住宅のメリットですね。

――施設都合ではないサービスが利用できるんですね。マザアス札幌の介護体制はどのようになっていますか?

同じ建物内に「居宅介護支援事業所」「訪問介護事業所」「24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下、24時間定期巡回)」の3つの事業所を併設しています。ですので日常の介護は、併設している訪問介護か24時間定期巡回を利用されている方がほとんどです。

また各フロアには必ず介護スタッフが1名常駐していますので、介護保険サービスの対象とならないような部分にも対応していますよ。

――介護保険で対応できないサービスとは、具体的にどのようなものですか?

例えば体調を崩して食堂に行くのが難しいというときに、居室にお食事を配膳することがあります。施設によっては有料のオプションサービスとなるケースもありますが、マザアス札幌では「生活支援サービス」の一環としてカバーしています。

他にもナースコールへの随時対応などもしていますよ。

――なるほど。施設の介護スタッフは他に何をしてくれますか?

はい、安否確認のために定期巡回をしています。夜間は4回、日中はお食事前に3回ですので、1日7回ほど巡回していますね。

――かなり回数が多いですね!

そうですね、介護業界の相場としては「要介護度+2回」といわれますので、確かに多いほうだと思います。

特に夜間帯は、お部屋で転倒してしまっても気づけない可能性があるんです。巡回の頻度が少なければ、気づかないまま長い時間が経ってしまうリスクもあります。安心してお過ごしいただくためには必要なことと考えて、頻繁に巡回しているんです。

――入居者様の安心のためなんですね。日常的な介護は併設の介護事業所が担当されているとのことですが、施設側との連携はどうなっていますか?

はい、情報共有には力を入れています。毎日の朝礼は、施設の管理者と事業所の介護士、ケアマネジャーが集まって合同で実施し、入居者様の様子などを共有します。

また、オンラインで情報共有ができる介護ソフトを導入しているんです。そのため、施設のスタッフも事業所のスタッフも、入居者様に関する情報はリアルタイムで共有できます。

同じ建物内に同じ系列の事業所が入っているからこその連携体制です。

――そうなんですね。外部サービスを利用することはありますか?

必要に応じて、福祉用具のレンタルや訪問診療など外部のサービスを利用されている方もいらっしゃいます。日中はデイサービスに通われるケースもありますよ。

――デイサービスはどれくらいの方が通われていますか?

54名の入居者様のうち、15名ほどですね。だいたい週に2~3回のペースです。なかには要介護4でも「気分転換になるから」と通われている方もいらっしゃいます。

――外部サービスを利用されていると、情報共有や連携が難しいのではないですか?

外部サービスを利用する際は、ケアマネジャーと連携をすることで情報共有をしています。

福祉用具でもデイサービスでも、介護保険サービスを利用するならケアプランに組み込む必要があります。ケアマネジャーは、ご本人の性格やご要望のほか、対応の迅速さなど、サービスの質も踏まえて事業所を選定します。

そのため、ケアマネジャーと連携して利用者様の情報をキャッチしているんです。安心してご利用いただけますよ。

リビング リビング

要介護度が高くなっても、お暮らしいただけます

――入居されている方々の平均年齢と平均要介護度はどれくらいですか?

最近90歳代の方も増えているので、平均年齢は85~86歳くらいに上がっています。平均要介護度は2.3です。

――やはり要介護度が高くなると、サービス付き高齢者向け住宅で暮らすのは難しいでしょうか?

いえ、少なくとも当施設ではそんなことはありませんよ。要介護4、5の方もご利用いただいています。

――そうなんですか。では、反対に生活しづらくなるのはどのようなときでしょうか?

そうですね、要介護度に関わらず日常的に医療処置が必要になる場合です。介護スタッフでは対応できませんので、訪問看護が必要になります。

特に医療処置の回数が増えてくると、訪問看護でも十分に対応するのが難しくなることがあります。そのため、他の施設に移るかどうかのご相談をさせていただくことが多いです。

医療的なケアを望まず看取りを希望される場合は、もちろん対応させていただいています。

――マザアス札幌を離れた後は、どのような施設に移られる方が多いのですか?

療養型の病院が多いですね。やはり医療処置が要因ですので、医療面の対応ができる施設に移られます。

――なるほど。ちなみに入居者様に認知症の方はいらっしゃいますか?

はい、ほとんどの方が認知症の症状をお持ちですよ。

――そうなんですね。徘徊の対策などはしていますか?

もちろんです。居室は2階から4階にあるんですが、エレベーターはカードキーを使わないと動かないようになっています。階段にもキーが必要なので、無断で他の階に行ってしまうことはありません。

また、フロアごとにスタッフが常駐しているので、人の目でもしっかり見守っています。一般的なサービス付き高齢者向け住宅だと、事務所にスタッフがいて各フロアは無人というケースもあるんです。その点、マザアス札幌は必ずフロアにスタッフがいるので安心だと思いますよ。

――それならご家族も安心して任せられそうですね。入居者様の1日のスケジュールはどうなっていますか?

1日のうち決まっているのはお食事の時間だけです。朝食が8時、昼食が12時、夕食が17時になります。

朝食の後はお部屋の掃除や入浴など、それぞれのプランに沿ったサービスをご提供しています。ケアが必要な方には起床ケアや就寝ケアもしていますよ。それ以外は基本的に自由ですね。

――皆さん、自由時間はどのように過ごされていますか?

フロアによっても違います。2階はだいたい要介護3以上の重度の方なので、食堂に出てきてゆっくりお話しされていることが多いです。

3階は比較的自立度が高い方向けで、女性が多いです。リハビリを兼ねて廊下を歩くなど、アクティブに過ごされる方もいらっしゃいますね。

4階は中度の男性が中心で、食堂で談笑されている姿をよくお見かけします。

――入居者様同士の交流もあるんですね。

そうですね。お食事の席が近くになったなどのきっかけで親しくされていたり、なかには居室に遊びに行ったりされている方もいますよ。

マザアス札幌 1日のスケジュール

――アクティビティやレクリエーションなどはありますか?

毎日、昼食の前には体操をしています。他には毎月1回、外部の方をお招きして演奏会を開いていますよ。

あとは入居者様同士で集まって編み物もされています。ちょっと珍しいんですが、ケアマネジャーが入居者様に声をかけて開催してくれたんですよ。

――ケアマネジャーがアクティビティをセッティングしてくれるんですか? 珍しいですね(笑)。

そうですよね(笑)。ある入居者様が編み物ができると聞いたケアマネジャーが「他にもできる人がいるのでは? 一緒にやってみませんか?」と、他の入居者様にも話してくれたんですよ。

もちろん本来の仕事ではありませんが、やはり同じ建物の中に事業所があってコミュニケーションも密にとっているので、よく気にかけてくれるんです。それこそ、ちょっとした空き時間にフロアにやってきて一緒に編み物をしたり、様子を見たりしていますよ。

――普段の生活でも、連携が生かされているんですね。

はい、そう思います。介護スタッフだけでなくケアマネジャーも一人ひとりのことをよく理解しているのは、非常に頼もしいです。

編み物を楽しむ入居者様 編み物を楽しむ入居者様


<後編に続く>
インタビュー後編では、マザアス札幌で最も大切にしているという「自立支援」の考え方をご紹介。「ご本人が希望してもできる限り車イスは使わない」など、一見非効率にも思えるやり方に隠された「ご本人のため」を思う気持ちに迫ります。

老人ホーム・介護施設の概要
施設名:マザアス札幌
事業者名:株式会社マザアス
住所:北海道札幌市中央区北3条東1丁目1番1号
マザアス札幌の詳細ページ

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寄稿者

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宮本由季

介護のほんねニュース編集部。
話題のニュースから介護関連キーワードまで、気になるトピックについて解説します。認知症サポーターです。

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