千葉県松戸市ののどかな田園にたたずむ介護付き有料老人ホームがグレースメイト松戸です。有料老人ホームの居室は「個室」が多いなか、珍しく「多床室」を採用した介護付き有料老人ホームになります。
一般的には「個室」の方が入居する方にとってもメリットが多いと思いますが、入居相談員の上村隆広(かみむらたかひろ)さんは「当ホームの魅力は多床室であること」と言います。
取材を通して、多床室ならではの魅力や施設の雰囲気を伺いました。
現在では珍しい「多床室」の有料老人ホーム
──グレースメイト松戸ならではの魅力を教えてください。
はい、「有資格者のリハビリスタッフが常駐」「24時間看護師常駐」「認知症ケアに注力」などグレースメイトの魅力はたくさんあります。
なかでも松戸ならではの魅力といわれれば「多床室」であることでしょうか。
──多床室ですか。特養(特別養護老人ホーム)では多床室はよく聞きますが、介護付き有料老人ホームで多床室は珍しいですね。
そうなんです。現在「千葉県有料老人ホーム設置運営指導指針」によると、新たに有料老人ホームを新設する場合に多床室は既存不適合となっております。
グレースメイト松戸は2002年にホーム事業を開始しました。そのころは多床室の有料老人ホームを建てることが認可されていました。なので現在、多床室の有料老人ホームは珍しいんですよ。
──多床室よりは個室の方が暮らしやすいイメージがあるのですが……。
そうですね。まずは当ホームの多床室は、病院や特養などの多床室とは少し違います。一般的な多床室といえば大部屋に複数ベッドがあってカーテンなどで仕切りがあるイメージでしょう。
当ホームの多床室は4人部屋ですが、木製の引き戸の仕切りがあります。収納家具の配置も工夫するなどして、プライバシーも確保できるのです。
多床室のメリットやデメリットとは
──(上記の写真を見て)これならプライバシーも配慮できそうですね。では多床室であることのメリットはなんでしょうか?
多床室であることによって人のつながりやぬくもりが生まれることでしょうか。
設計的に戸を開けると誰かがそばにいるので、ホッと安心できます。あと食堂に行くときに「一緒に行こう」と誘ったり、声をかけたり、ゲスト様(※)同士の声掛けも見受けられますね。お互いにお互いを見守っている雰囲気があります。
※グレースメイト松戸では入居者様のことを「ゲスト様」と呼びます。
──多床室の場合「看取り」の対応は可能ですか?
グレースメイトを運営する株式会社オールライフメイトの施設では、看取り介護に力を入れております。しかし当ホームは多床室であることと協力医療機関との連携構築が進まなかったこともあり、看取りの取り組みができておりませんでした。
とはいえ、ゲスト様・ご家族様からの「グレースメイト松戸で最期まで暮らしたい」というご要望の声がございました。
実は2020年8月末から看取りも受け入れる体制に整えました。まさに始まったばかりの取り組みです。
24時間看護師常駐かつ、職員の配置も手厚めです。2.9人の入居者に対して常勤換算職員が1人の配置(※)となっております。しっかりと整ったケア体制も魅力の1つです。
※2020年4月1日現在
──多床室のデメリットも教えてください。
そうですね。「多床室は落ち着かない」というイメージがある方が多いので、入居の候補から外されることもあります。
実際に、最初は多床室に対してマイナスのイメージだった方から「引き戸を閉めれば個室と変わらない」「すぐに馴染めて、賑やかさが気に入りました」など、プラスのお言葉をいただきます。
多床室であることは、つながりやぬくもりを提供できますから、デメリットではなく、魅力であると捉えていますね。
一人ひとりが安心できる部屋割り
──4人1部屋の多床室ですが、どのように部屋割りをされているのでしょうか?
まずは女性と男性で部屋を分けています。そして同じぐらいの「見守り度」の方をできるだけグループにしています。
自立の方と見守りが必要な方を混ぜてしまうと、お互いにストレスを与えてしまいますが、同じぐらいの見守り度の場合、お互いの気持ちに寄り添えるんでしょうね。
3階建てのフロアなのですが1階に看護師常駐の「健康管理室」がありますので、1階は見守りが必要な方のお部屋となっています。
「ケアスタッフルーム」は各フロアにあり、上の階に行くほど、自立度の高い方がいらっしゃいます。
──要介護度でなくて見守り度なんですね。
ADLなどの日常的動作ができなくても意識がはっきりしている方はたくさんおられます。また反対に身体介護は不要でも、認知症を患っているため見守りが必要な方もおられます。
見守りの必要度で介護させていただければ、スタッフも手厚くケアできます。
──認知症の方は多いのでしょうか。認知症ケアで取り組んでいることがあれば教えてください。
多くの認知症の方が入居されております。認知症ケアは、回想法などのリハビリを実施していますね。
あと、やはり脳を活性化させるためにも人とのかかわり合いが大事です。日中はなるべく、共有スペースでレクリエーションしたり、リハビリしたり、生活に張りが出るような時間を過ごしていただけるように工夫しています。
──日中は共有スペースで過ごしている方が多いのでしょうか?
そうです。スタッフもお部屋だけでなく、できるだけ共有スペースにお連れするように心がけております。
そう考えると、いろんな人に話しかけられたり、人の声が聞こえたりすることで頭も活性化するので、多床室によって認知症ケアができているのでしょうね。
日中は皆様どこかしらの共有スペースにいらっしゃいますので、1階から3階までどのフロアもにぎやかです。
有資格者をそろえた本格的なリハビリ
──リハビリやレクリエーションも充実しているんですね。
はい、特にリハビリに関しては力を注いでいますね。有資格者である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が常駐(※)しています。
個別リハビリ、集団リハビリ、グループリハビリなどに取り組んでおり、種類も豊富です。自主トレーニングしているゲスト様もいらっしゃいます。
※2020年9月時点、理学療法士(非常勤1名)/作業療法士(常勤1名・非常勤1名)/言語聴覚士(常勤1名)を配置
──自主トレーニングまで! 皆さん、リハビリに積極的ですね。
自主トレーニングは、生活の一部をリハビリとして取り組んでいる方が多いですね。
──リハビリによって改善した事例があれば教えてください。
基本的にリハビリは、今ある身体機能の維持を目的にしていますが、車椅子の方が歩けるようになったり、胃ろうの方が少しでもお口からお食事できるように介助したり、機能訓練を実施しております。
これらの結果は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のリハビリの指導はもちろん、看護師、介護スタッフ、ケアマネジャーなど皆で協力をいたします。
──とんなケア体制でゲスト様を支えているのでしょうか?
私たちのケア体制で大切にしていることは、各専門分野がしっかり連携することです。これを「チームケア」と呼んでいます。
具体的には、ケアマネジャーが中心となって、ゲスト様一人ひとりの生活について各分野の専門スタッフを交えて話し合います。
それぞれの視点でゲスト様のお身体や心の状態を確認し、スタッフ全員でお一人おひとりの情報を共有いたします。
──ケアプランを作成するにあたって、大切にしていることがあれば教えてください。
ケアプランだけではなく生活全般にいえることですが、一人ひとりの生活の質を向上させることをモットーにしています。
ゲスト様はたくさんいらっしゃいますが、身体状況や性格などが同じ人はもちろんいらっしゃいません。ということは、接し方やリハビリ内容はその方に変えなければいけませんよね。
状況も変わりますのでケアプランも3カ月ごとにゲスト様の心身の状況、ご家族様のご要望の再確認をいたします。
レクリエーションも毎日開催!
──グレースメイト松戸の1日のスケジュールを教えてください。
はい、皆様だいたい7時に朝の支度を始めます。8時に朝食をとって、11時30分に集団体操を実施します。
12時にお昼を食べ、午後はレクリエーションしたり、おやつを食べたり、散歩したり、自分のペースで楽しまれていますね。夕食は18時、就寝時間は人それぞれです。
──レクリエーションの頻度はどのくらいですか?
レクリエーションは毎日開催しています。日々のコミュニケーションのなかでゲスト様の要望を聞きながら、スタッフが企画しています。
棒体操や発声練習が人気で、皆様喜んで参加していらっしゃいますね。
──ここ最近、盛り上がったレクリエーションがあれば教えてください。
先日、実施した「かき氷大会」は盛り上がりましたね。イチゴやメロン、レモン、抹茶などのシロップ、それからアイス、小豆、ミルクなどを用意するんです。それらを自由に好きなだけかけて、かき氷を楽しみます。
いつも下を向いてお食事を召し上がっていた方も、上を向いて昔をなつかしみながら召し上がっていました。こちらもうれしい気持ちになりました。
──まさに、大会ですね。食べることに関するレクリエーションは人気ですか?
人気ですね。あと食事を通じて笑顔になっていただくためにも、いろんなレクリエーションやメニューをご用意しています。
──具体的にどんなレクリエーションやメニューがあるのか教えてください。
年に2回ほど外食レクを実施します。近所の和食屋さんへ行くことが多いです。他には、施設内で縁日や居酒屋をしてアルコールを楽しむこともあります。
お正月の「お節」や土用の丑の日の「鰻」などの季節食、郷土料理、松花堂弁当など、いつもより特別なメニューもご提供していますね。
お食事はゲスト様からも「非常においしい」と評判です。味にも自信がありますよ。
肩肘を張らない、楽しい暮らし
──リハビリやレクリエーション、お食事などのお話を聞いていると、いろんなシーンで皆様の笑顔が見えてきますね。
ありがとうございます。実際にホームにいると皆様の笑い声があちらこちらから聞こえてきます。多床室ということもあって和気あいあいとした雰囲気のなか、皆様も肩肘を張らずに過ごせていますよ。
──グレースメイト松戸はどのような方におすすめですか?
そうですね、機能訓練ケアおよび医療ケアが必要な方におすすめします。機能訓練士が日勤常勤、看護師が24時間常駐していますし、医療機関の先生とも24時間オンコール体制です。
現在、ゲスト様の多くは医療ケアが必要な方々です。胃ろう、痰吸引、透析、ペースメーカーなどさまざまな疾患を抱えている方がいらっしゃいますが、安心できる環境だからこそ、ゲスト様やそのご家族様も心地よい時間を過ごせます。
あとは、人とのぬくもりやつながりを感じたい人です。他の施設にはない多床室ならではのアットホームな雰囲気が自慢ですから。
──本日はありがとうございました。では最後に施設を探している方に一言お願いします。
気になる施設があれば実際に足を運んでみてください。当ホームも多床室ならではの人とのつながりやぬくもりがありますが、Webやパンフレットの情報だけではイメージできないかもしれません。
入居されている方やスタッフの表情などを見ると、肌に合う合わないが分かってくるはずです。
グレースメイト松戸でも皆様のご見学をお待ちしております。気になる方はぜひお越しください。
老人ホーム・介護施設の概要
施設名:グレースメイト松戸
事業者名:株式会社オールライフメイト
住所:千葉県松戸市旭町1丁目193番地
グレースメイト松戸の詳細ページ
この記事の寄稿者
井上
介護のほんねニュース編集部。
認知症サポーターです。介護に関する今話題のトピックや疑問を、分かりやすくお届けします。