JR常磐線・南柏駅から車で約3分に位置する「マザアス南柏」は、20年以上の実績を持つ介護付き有料老人ホームです。創設以来、変わらず目指し続けているのは「安心して任せられる介護品質」。そのために入居者様の「あるがまま」を尊重し「ご家族と共に」歩むことを大切にしていると言います。
マザアス南柏でのあるがままの生活とは、そしてご家族に寄り添うために心がけていることとは? 支配人の笹川仁(ささがわひとし)さんと生活相談員の塩﨑こず恵(しおざきこずえ)さんにお話を伺いました。
モットーは「あるがまま」
――マザアス南柏で大切にしていることは何ですか?
私たちが大切にしているのは、入居者様の「あるがまま」の暮らしです。いつまでもご本人らしく、ご自分やご家族の意思を尊重した生活をしていただきたいと思っています。
――入居者一人ひとりのことを詳しく知ることは簡単ではないと思いますが、どのようにして情報収集をするのですか?
入居される前の情報収集に特に力を入れています。これまでの暮らしぶりや趣味・趣向はもちろん、ご家族との関係などあらゆることを教えていただくようにしています。
ご入居にあたっては、介護計画であるケアプランの作成も必要になります。そのため、必要なケアは何かということ以外にも「どんな生活がしたいのか」など、たくさんのご希望を伺うようにしています。
マザアス南柏は、近隣の施設と比べても決して安価ではありません。だからこそさまざまなニーズをお持ちの方がいらっしゃいますし、それに応えられるようにご入居前から徹底して情報収集しています。
――なるほど。具体的にはどのようなことを質問するんですか?
そうですね、たとえば認知症の方で落ち着きのない症状が見られたときに、まずは何を要望されているのかを推察します。そのうえで今までの生活、人生の歩みに関連していることかをご家族に尋ねるんです。エピソードが増えることで、より深く理解ができるようになります。
――そこまで聞かれるんですね。知り得た情報はスタッフ間でどうやって共有しているんですか?
入居前カンファレンスで共有しています。介護スタッフ、看護師、リハビリスタッフ、ケアマネジャー、生活相談員が参加するカンファレンス(会議)です。入居後に関わる多くのスタッフが出席しますので、しっかりと情報共有ができる機会となります。
――入居者様の「あるがまま」の生活を実現するために、何か工夫された事例はありますか?
はい。重度の認知症をお持ちでなかなか新しい生活になじめず、いくつもの施設を転々とされていた方が入居されることになりました。そこで私たちはご家族と相談し、入居前後に、できるだけ生活リズムや居室の様子など生活の環境をご自宅と同じになるよう整えました。
ご家族も何度も足を運んでご本人と接したり、居室環境を確認してくださいました。そのおかげで「ここは安心できる」と思っていただけたようで、落ち着いて生活されています。
――入居前の準備で安心できる生活環境ができたんですね。他にも心がけていることはありますか?
「入居してみたら違った」という乖離をなくすことを心がけています。マザアス南柏は、支配人などマネージャークラスのスタッフや生活相談員など、介護スタッフ以外も現場経験者が多いです。
そのため、ご入居前に詳しいことをご相談していただけたら具体的にお答えできます。また、できないことはきちんと「できません」とお伝えして、ご本人もご家族も納得したうえで入居していただけるように気を付けています。
もちろん介護スタッフに対しても、しっかりと現場を理解したうえでアドバイスできます。質の高い介護を目指すうえで、現場経験者が多いことは大きなメリットとなります。
1日3回のアクティブタイム
――入居されている方の平均年齢や要介護度を教えてください。
はい。平均年齢は88歳で、平均要介護度は2.7です。現在、約100名様が入居されています。
――どのようなスケジュールで生活されていますか?
朝は7時くらいに起床して、8時から10時の間に朝食をとります。その後、アクティブタイムを過ごして12時から2時ごろまで昼食の時間です。おやつの時間をはさみながら午後もアクティブタイムをお過ごしいただいて、17時30分くらいから夕食になります。
――「アクティブタイム」とは何ですか?
アクティビティやリハビリ、クラブ活動などをする時間です。午前中に1回、午後はおやつの前後に2回、1日に計3回用意しています。
――1日に3回もあるんですね! どのようなことをするんでしょうか?
内容は「布アート」「ヨガ」「太極拳」「段ボールアート」などさまざまです。「囲碁」「将棋」「書道」「俳句」といった定番のものも、もちろんありますよ。
あとは、年に2回の「ドッグセラピー」や月1回の「メイクセラピー」も人気です。
――種類が多いんですね。参加は自由ですか?
もちろんです。施設側から何かを強制することはありません。ご本人のお気持ちはもちろん、ご家族の意向も大切にしながらご参加いただいています。
なかには1階のカフェでゆっくり過ごされている方もいらっしゃいますよ。
――入居者全員での体操などはないのですか?
そうですね、絶対参加というものはありません。ただ、お食事の前の時間に実施している体操は、皆さんが集まっていることもあって、ほとんどの方が自然と参加されていると思います。
――ご家族も参加できるようなイベントはありますか?
もちろんありますよ。お正月や敬老の日のイベントには、約100名の入居者様に対して120~130名様のご家族が遊びに来られます。それ以外でも日常的にお顔を見にいらっしゃるご家族が多いですね。
リハビリは楽しくコミュニケーションを取りながら
――リハビリも実施されているとのことですが、人員体制はどのようになっていますか?
現在は理学療法士と作業療法士がそれぞれ常勤1名ずつ、介護福祉士が常勤換算で2.5名です。
――リハビリスタッフが充実していますね。リハビリの頻度はどれくらいですか?
そうですね。一人ひとりのケアプランによっても異なりますが、理学療法士や作業療法士による個別リハビリは週に2~3回です。
介護福祉士によるリハビリマシーンを使ってのリハビリや集団リハビリを含めると、週に5回くらいになるケースもあります。
――かなり積極的ですね! リハビリを嫌がられる入居者の方はいないんですか?
うーん、そうですね……ほとんど聞くことがありませんね(笑)。
――そうなんですか? 一般的に「リハビリがつらい」という方は少なくないと思いますが……。
そうですよね。たしかにリハビリ病院のように1日に何時間もというリハビリは、つらいと感じる方が多いかもしれません。
マザアス南柏のリハビリは、どちらかというと現状維持に重きを置いている“優しいリハビリ”です。大きな負荷をかけて機能を回復させようとするものではありません。
入居時にリハビリ計画書を作るんですが、リハビリを全くしないという方はほぼいらっしゃいません。寝たきりの方でもお部屋にうかがって、動かせる範囲でリハビリしています。
皆さん、お話しながら楽しく取り組んでいらっしゃいますね。
――コミュニケーションを取りながら励んでいらっしゃるんですね。機能が改善した例はありますか?
もちろん、たくさんありますよ。
たとえば要介護4で入居されたある女性の例です。その方はリハビリ型の施設で生活されていましたが、なかなかリハビリが進まず「どうしても最初の一歩が出ない」という状態で、車イスを使用されていました。
当施設に入居されるときも「回復するかはわからないけど、一緒にがんばりましょうね」とご家族ともお話ししていました。それから週に2回の個別リハビリに加え、集団リハビリやパワーリハビリを取り入れました。すると、1年くらいで平行棒につかまりながら歩けるようになったんですよ!
私たちスタッフも思わず感動しましたし、何よりご家族が驚かれていましたね。以前の施設でもご自宅のリハビリでも改善しなかったのに、ついに歩けるようになったと本当に喜ばれていました。
――それはご家族にとっては本当に嬉しいでしょうね。“優しいリハビリ”でもしっかり効果が得られるんですね。
そうですね。楽しく前向きに取り組むことが大切なのだと思います。
その女性の入居者様は「次は歩行器で歩きたい」と、今でもリハビリに励んでいらっしゃいますよ。
入居者のほとんどが看取りを希望
――マザアス南柏の医療体制について教えてください。
はい。当施設には看護師が24時間常駐しています。夜間は1名、日中は4名以上と、数も多いほうだと思いますよ。
――医療措置が必要な入居者様も多いのですか?
そうですね。胃ろう、CVポート、ストマ、たん吸引、精神疾患など多様なニーズの方がいらっしゃいます。
――看護師24時間常駐のメリットは他にもありますか?
夜間の急変に気づいたとき、看護師にすぐに確認できることは安心感がありますね。介護スタッフだけではやはり不安なことも多々ありますから。
特に看取りをご希望されている方の体調が変わったとき、看護師と即座に連携がとれるのは大きなメリットです。ご家族にとっても、介護スタッフだけでなく看護師がいるという安心感は大きいと思います。
――確かに安心感は違いますね。
はい。あと、当施設には協力医療機関である「向小金クリニック」を併設しています。
――クリニック併設だとどのような利点があるんですか?
日常的な診療ももちろんですが「向小金クリニック」の医師は、介護現場での看取りに対して理解が深いんです。
病院では終末期までできるだけの治療をすることがほとんどだと思いますが、施設では基本的にあまり積極的な治療をせず、自然な形で最期を迎えます。そのような看取りのあり方をよく理解したうえで診療していただけるので、入居者様にとってもより良いサポートができていると思います。
毎朝、クリニックの医師と施設の看護師を交えてミーティングをして、情報共有にも力を入れています。
――それは頼もしいですね。看取りを希望される方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?
入居されているほとんどの方が看取りを希望されていますよ。
とはいっても入居されるときから看取り希望ではなく、実際に暮らしていくうちに「ここで最期まで過ごしたい」という方が多いですね。あとは、入退院を繰り返すうちに「もう病院ではなく慣れ親しんだホームでゆっくり過ごしたい」というお気持ちになる方もいらっしゃいます。
――看取りに関する意向はどうやって確認されるんですか?
早いタイミングから話題に出して確認するようにしています。
ご家族に対しても「まだお元気だけど、いつ何が起こるか分からないですよね。今の時点でのお気持ちはいかがですか?」と、そのときの意向を確認するようにしています。ケアプランの更新のタイミングでお話しすることが多いですね。
やはり早めにお気持ちを聞いておいたほうが、私たちスタッフも目指すべき方向性が分かります。すると、ご本人にとってもより良いサポートができると思うんです。
――なるほど。ご家族にとってもご本人にとっても、なかなか聞きづらい質問のようにも思います。
ご本人は周囲に伝えていないだけで、しっかりとしたご要望をお持ちのことも意外と多いですよ。少し話題に出してあげると「これはこうして、あれはああして……」と驚くくらい具体的な考えをお話ししてくださることもあるんです。
ご家族も「やっぱり高齢だと何があるか分からないものね」と、スタッフとの会話をきっかけにして考えてくださいます。私たちは、看取りにおいてご家族のケアも大切にしているんです。
――ご家族に対するケアとはどういうことですか?
大切な最期の時間ですから、ご家族にとって心残りのないように過ごしていただきたいと思っています。そのために、ご様子が少しでも変わったらこまめに連絡をするなど、ご家族との時間をしっかりとれるように心がけています。
そのためか、看取りの後にご家族から「私たちもここに来て心のサポートをしてもらえた」というお声をいただくことも複数ありました。
――最期をお願いするということは、ご家族にとっても大きな選択ですよね。
はい。だからこそ、私たちはご家族に寄り添って、ご家族と共にありたいと思っています。
マザアス南柏では、施設内でご葬儀も可能です。施設内でのご葬儀だと、関わったスタッフ一人ひとりも最期のお別れができます。これはスタッフとしても大変ありがたいことですし、ご家族にも喜ばれていますね。
ご家族との関わりを大切に
――お話を伺っていると、入居者様だけでなくご家族との関係をとても大切にされているのだなと感じました。
そうですね。「あるがまま」と並ぶくらい「ご家族と共に」という思いも大切にしています。ご本人のお気持ちは当然ですが、その大切なご家族のお気持ちにも寄り添いたいと思っています。
たとえばご本人の意思が分からなくなったとき、ご家族の考えやお気持ちがとても大切になりますからね。
マザアス南柏は面会に来られるご家族も多いですし、ご家族ともしっかりコミュニケーションをとるようにしています。入居者様ではなく、ご家族の体調を心配してお声掛けすることもありますよ(笑)。
――まるでスタッフも本当の家族のようですね。
たしかにそうですね。なかにはご本人が退去されてからも「久しぶりに遊びに来てみたよ」と立ち寄ってくださるご家族もいます。それだけ慕っていただけるのは、本当に嬉しいことですよ。
他にも、親子2代で入居してくださる方もいますね。
――親子で入居とはどういうことでしょうか?
「お母さんがお世話になってとてもよくしてもらったから、私もここに入りたい」と入居してくださるんです。以前のご利用から10年以上経っているようなケースもありますよ。
――ご家族も施設への思い入れが深いんですね。ご家族にまつわるエピソードが他にもあれば教えてください。
そうですね。施設内で結婚式をしたこともあります。「ウェディングドレス姿をおばあちゃんに見せたい」というお孫さんのご相談を受けて、実現したんです。
当日は新郎新婦様が中庭にも出てくださって、多くの入居者様にお祝いされていました。他の入居者様も大変喜ばれていましたね。
ご家族の思いを叶えるために私たちにできることは、何でもしたいと思っています。
介護の質を高める工夫
――他にも何か、マザアス南柏ならではの強みがあれば教えてください。
株式会社マザアスはICTの導入を進めています。当施設にも居室内の異変を察知してスマートフォンに知らせてくれるカメラのような機器を導入していて、入居者様の安全に一役買っているんですよ。
――具体的にはどういうことですか?
お部屋の中で転んでしまって動けないというとき、スマートフォンに通知が来るのですぐに駆けつけられます。緊急コールをご自分で押せない方だと、次の巡回が来るまでそのままになってしまうようなところを、いち早く対応できるんです。特に夜間に効果を発揮しますね。
他にも、看取り期の方の呼吸が停止したときも駆けつけられます。たとえ最期の瞬間はお1人だったとしても、少しでも早くそばに行ってあげたいですからね。
――ICTは「人じゃない」ということで、ご家族から拒否されるようなことはありませんか?
いえ、メリットが大きいことを具体的に伝えると「ぜひお願いします」と言われることがほとんどです。やはりご家族にとっても安心感があるのだと思います。
――今後も新しい機器を導入されるんですか?
そうですね。現在は1フロアのみに導入しているので、次は他のフロアにも導入していきたいと思っています。
また、巡回などの効率がよくなって、スタッフも少しずつ手が空くようになってきています。今度はその時間で何ができるのかを探っていきたいです。
――なるほど。今後も楽しみですね。
施設を探している方へのメッセージ
――たくさんの魅力をお伺いしましたが、改めて「マザアス南柏」はどのような方におすすめですか?
なかなか難しい質問ですね(笑)。実際にご入居される方は、比較的お元気な方から要介護度の重い方までさまざまです。ですので、幅広い方におすすめできると思います。
ただ最近は、要支援などお元気なうちにご家族に「施設を探してほしい」と頼んで入居される方が増えてきているような実感はあります。
当施設ではアクティビティなど楽しいこともたくさんご用意していますので、ぜひ早いうちに入居されて、ホームでの生活も楽しんでいただけると嬉しいです。
あとはやはりご家族との交流も盛んですので、入居後も家族との時間を大切にしたいという方にもおすすめです。
――施設をお探し中の方にメッセージをお願いします。
施設を探すときは、ぜひ複数の施設を見学していただきたいです。全ての希望を100%叶えられる施設を見つけるのは、なかなか難しいかもしれません。だからこそ1件だけ見て満足せず、いくつかの候補を見比べることが大切だと思います。
マザアス南柏は先にもお話しした通り、決して安い価格帯ではありません。でも見学に来られて「値段の理由が分かりました」と言っていただけることが多々あります。たとえば日中の入居者様のご様子やスタッフの雰囲気などを、ぜひしっかり見ていただきたいです。
また、コロナ禍での施設探しで苦労されている方も多いと思います。マザアス南柏は、どんな状況でも実際に見学していただけるよう、さまざまな対策をして見学をお受入れしています。ご興味のある方は、ぜひ見学にいらしてくださいね。
老人ホーム・介護施設の概要
施設名:マザアス南柏
事業者名:株式会社マザアス
住所:千葉県流山市向小金3-147-2
マザアス南柏の詳細ページ
この記事の寄稿者
宮本
介護のほんねニュース編集部。
話題のニュースから介護関連キーワードまで、気になるトピックについて解説します。認知症サポーターです。