介護ストレス
親の介護が始まると、いろいろなことがその周りで起こります。今回は、精神的な面への影響についてまとめてみます。
介護が生活の中心になっていくと、介護者の負担やストレスは発散されにくく、ため込み、頑張ってしまうことはよくあることです。自覚がなくても知らず知らずのうちに蓄積され、追い詰められていく等も、気をつけなければなりません。
また、親の介護が始まると意外と関わる他人が多く、自宅にいつも誰かが出入りしている感じがします。要介護者がサービスを利用している間に、自分の用事や生活用品の買い物等を済ませなければならないので、時間的に制限されます。思いきらないと外出も最低限しかできなくなってしまいます。
こういった小さな精神的負荷が積み重なり、うつや虐待につながるケースは少なくないようです。
介護疲れ・介護うつ・共倒れ
介護を続ける中で、介護をする側が疲れ果て、うつ症状や病気になり、仕事・介護・生活に支障が出てきたりします。2005年に厚生労働省が行った、在宅で親族などの介護を行っている人を対象とした調査によると、4人に1人が介護うつ状態にあるという報告も。
私自身は仕事を続けながらの介護で、疲れているはずなのに眠れない・睡眠が浅く寝付けないまま朝ということが続き、医師に相談し、軽い睡眠導入剤を処方してもらっていた時期もありました。加齢や病気の影響から夜中に何度も目が覚めトイレを利用したり、昼夜が逆転した生活になってしまっている状況のときもあります。そのような生活習慣の違いは、介護者にとって肉体的にも精神的にも辛く、介護者の重い病気が見つかり、入院や療養が必要な時や、共倒れしてしまうケースも多くあります。
参考文献:日本福祉大学社会福祉学部 湯原悦子
介護ロス症候群
介護を一生懸命することが生きがいになってしまったり、思いを込めて介護をしていると、介護をしなくてもよくなった時、喪失感を強く感じるケースもあります。
一生懸命に介護をしていても、人には最期が必ず訪れます。それまで生活のすべてだった要介護者を失ったことで、今まで頑張ってきた分、どのようにしていいのかわからなくなったり、心の支えを失い心身の状態を崩してしまうこともあるようです。
要介護者が最期の時を迎えても介護者にはまだ、人生があります。介護をしているときから、要介護者に関することが人生のすべてにならないように、自分の時間やその後のことを考える時間を持ち、きちんと考えておいた方がいいと思います。
<続く>
この寄稿文は全3回の連載です。
この記事は、doppoの内容をアレンジしてお送りしています
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この記事の寄稿者
佐久間 理央
POLE・STAR株式会社ディレクター
大正大学大学院人間研究科修士課程修了(社会福祉学)。
私立国際武道大学、社会福祉法人武蔵野療園、社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会等を経て現在POLE・STAR株式会社を設立。
主に福祉や生活に関する相談、コンサルティングを行っている。