ひとり親の自立支援策を拡充
近年、ひとり親世帯と一般的な子育て世帯の所得格差が問題視されています。ひとり親世帯、特に母子世帯の平均総所得は低く、遺族年金や児童手当を含めても、子どものいる世帯の平均総所得の3割ほどしかないというデータがあります。また、就業率も8割程度にとどまっているうえ、アルバイトなどの非正規雇用が約半数を占めています。父子世帯の就業率は高いものの、フルタイムでは育児と両立しにくく、パートタイムなどに切り替える人も少なくないようです。
こうした現状を受け、厚生労働省は、2016年4月からシングルマザーやシングルファザーを対象としたひとり親の自立支援策を拡充。いったいどのような施策で支援していくのでしょうか。
ひとり親の自立支援策の内容は…
厚生労働省の自立支援策は、ひとり親が安定した収入を得られる仕事に就けるよう、資格取得を後押しすること。たとえば、ひとり親が資格取得のため専門学校に入学した場合、入学時に50万、修了・資格取得時に20万の貸与を受けることができるようになりました。さらに5年間勤続すれば、返済が免除となります。また、通学中の生活費や学習費などに充てる貸付金の利率を下げ、最長支給期間を2年から3年に延長。教育訓練を受ける場合の受講費補助も、2割から6割へ拡充されました。
どの資格が対象となるかは都道府県ごとに異なりますが、介護福祉士や保育士、歯科衛生士、看護師、理学療法士などが想定されています。
介護職の人員不足解消にもつながる?
このように、ひとり親の資格取得を支援することで、介護の資格取得にチャレンジする人の数は増えていきそうです。深刻な人材不足を抱える介護業界。介護の現場で就労してくれる人の数が増えれば、人材不足の解消につながるかもしれません。
ひとり親に介護職は不向き!?夜勤時などはどうする?
ひとり親の資格取得支援によって介護の人材が増えてくれるのはありがたいことです。ですが、いっぽうでひとり親ならではの懸念点もあります。たとえば、ひとりで子育てをしている場合、介護現場では当たり前の夜勤が難しいこと。未就学児を育てている場合、午後10時から午前5時までの深夜業務は労働者が申し出れば育児・介護休業法第19条により免除になります。祖父母などが同居もしくは近居していて頼ることができる状況であれば夜勤も可能かもしれませんが、多くの場合は難しいのではないでしょうか。
夜勤ができないことを理由に就職しにくくなってしまったり、待遇の面で不利になる…なんてことが起こってしまっては本末転倒です。はたして、介護の資格取得を促すことがひとり親の自立支援につながるでしょうか。あなたはどう考えますか。
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この記事の寄稿者
シノヅカヨーコ
家事が嫌いなぐうたら主婦。25年2月生まれのムスメと夫の三人暮らしです。 子育てをしながら育児や暮らしにまつわる話題を中心にライターとして執筆活動をしています。