高齢者が骨折したときの寝たきりのリスクについて解説 予防や対応方法、治療法も紹介

高齢者が骨折したときの寝たきりのリスクについて解説 予防や対応方法、治療法も紹介
松本健史

この記事の監修

松本健史

合同会社松本リハビリ研究所 所長

理学療法士。佛教大学大学院社会福祉学修士課程修了。専門は生活期リハビリテーション。病院・デイサービス勤務後2014年合同会社松本リハビリ研究所設立。全国の老人ホーム、デイサービス、介護施設でリハビリ介護のアドバイザー、生活リハビリセミナー講師、雑誌・書籍の執筆など活動中『転倒予防のすべてがわかる本 』(講談社)など著書多数。
YouTubeチャンネル「がんばらないリハビリ介護」/オンラインサロン「松リハLAB

高齢者が気を付けなければいけないことに「転倒」があります。つまずく程度であれば問題ありませんが、大きく転倒してしまえば大きなケガにつながります。

中でも最も注意が必要なケガが「骨折」です。そこで今回は、高齢者がなぜ骨折しやすいのか、そして予防法や治療法について詳しくご紹介していきます。ご家族に高齢者のいる家庭や骨折のリスクを知って注意したいと考えている人は参考にしてください。

高齢者が骨折しやすい理由

高齢者が骨折してしまう原因は大きく分けると「筋力低下による転倒」と「骨粗鬆しょう症による骨の脆弱化」の2つがあります。なぜ、骨折してしまうのか、その理由を知り予防につなげましょう。

筋力低下による転倒

若いころは運動も日常的にしていて、筋力に自信があった人でも、60歳を過ぎると筋肉の量は減少していきます。特に、太ももを持ち上げる役割を持つ「腸腰筋」の筋力が落ちることで足が思ったように上がらなくなることもあります。その結果、転倒しやすくなり、骨折につながるのです。

骨粗しょう症

骨は、古くなると破壊されてしまいますが、骨代謝を繰り返すことで新しい骨が作られます。そのため、骨代謝のバランスが取れていることで丈夫な骨が維持されるのです。

しかし50歳前後からだんだんと骨が破壊される量が増加する一方で、生成される骨の量が減少することで骨密度が低下し、骨がスカスカの状態となってしまうのです。この状態を「骨粗しょう症」といいます。

骨粗しょう症は女性に多い疾患です。女性は男性に比べて、骨格が小さく更に妊娠や授乳期にたくさんのカルシウムが必要になります。また骨密度を維持する役目がある女性ホルモン「エストロゲン」は閉経とともに減少します。その結果、50歳を迎える当たりから急激に骨密度が低下するのです。

参考:II.hone.jp「骨粗しょう症とは

骨折しやすい部位

高齢者が骨折しやすい部位が存在するので、あらかじめ把握しておきましょう。

大腿骨近位部(だいたいこつきんいぶ)骨折

太ももの付け根にある大腿骨を骨折する高齢者は多いです。原因は転倒であることが多く、骨折することで寝たきりになってしまう高齢者が増えています。その結果、現在では社会問題にもなっているのです。

社会福祉法人 恩賜財団済生会 山形済生病院「健康コラム

脊椎圧迫(せきついあっぱく)骨折

別名「いつのまにか骨折」と呼ばれることもある脊椎圧迫骨折は、背骨が折れることを言います。転倒した際に尻もちをつくことで骨折するのですが、骨粗しょう症が進むと日常生活における動作でも骨が折れる危険性があります。

参考:社会福祉法人 恩賜財団済生会「脊椎圧迫骨折

上腕骨近位部(じょうわんこつきんいぶ)骨折

腕の付け根部分を骨折することです。転倒した際に肩を床や壁などに直接打ち付けて骨折してしまう他、転倒した際にとっさに肘や手を床についたことで発生します。

参考:一般社団法人日本骨折治療学会「上腕骨近位端骨折

撓骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折

手首付近の骨が骨折することです。転倒した際に床に手をつくことで骨折しやすいです。骨粗しょう症の女性に多い骨折でもあります。

参考:足立慶友整形外科「橈骨遠位端骨折:高齢者の転倒で多い手首の骨折

骨折の予防

骨折を予防するためには、2つの原因を防ぐことが何よりも大切でしょう。手軽にできる予防法なので、骨折を防ぎたい場合には日常生活に取り入れてみましょう。

転倒を防ぐ

転倒を防ぐためには、歩行運動をすることが有効であると言われています。厚生労働省においては、70歳以上の高齢者であれば男性は6,700歩、女性は5,900歩を歩くことを目標に掲げています。

これまで運動をあまりしてこなかった方だと、1日に多く歩くことだけでも続けるのは難しいかもしれません。無理に歩行を続けてしまうと体調が悪くなってしまう可能性もあるので、まずは自分のできる範囲から歩行運動をしていきましょう。

参考:厚生労働省「健康日本21

骨粗しょう症予防

骨粗しょう症は無自覚のまま進行していく病気なので、骨折をして初めて気が付く高齢者も多いです。骨粗しょう症の予防策としては、生活習慣の改善が効果的です。

まずは、自分が骨粗しょう症でないか病院で診断してもらうことが重要です。年に2、3回の検診を受けることをおすすめします。4ヶ月に1度の検診であれば保険適用内です。もし検査の結果、骨粗しょう症になっていた場合には、内服や注射で進行を抑えることができます。

また、運動も骨粗しょう症予防には重要です。運動をすることで骨に刺激が加わり、強さが増すといわれています。転倒防止のためにも軽い運動から始め、骨密度をアップさせましょう。

また、食生活も見直してみましょう。栄養バランスの良い食事を心掛けることが大事で、カルシウムやビタミンD、ビタミンKといった栄養素が含まれる食材を積極的に摂取しましょう。それぞれが含まれる食材は以下の表の通り。ビタミンDは日光を浴びると体内でも生成されるので、日光浴をすることも効果的です。

カルシウム 牛乳やヨーグルトなどの乳製品・小魚・ひじき・小松菜など
ビタミンD キノコ類・青魚・牛レバー・バター・チーズなど
ビタミンK レバー・納豆・モロヘイヤ・海藻類など
参考:高見澤整形外科クリニック「骨粗しょう症の検査・治療

骨折の治療法

骨折をした場合の治療法は手術をすると、そのまま保存療法をするかの2種類があります。自分一人では決めることができないので、お医者さんやご家族とよく相談しましょう。

手術療法

骨折の治療は生活状況や持病によって決められます。手術をすれば、骨折をする前と同様に歩行が可能になる可能性は十分に考えられます。しかし、大腿骨骨折の場合、安静になっている期間が長いことで筋力が低下し、認知症や褥瘡が発生する場合もあります。

できる限り手術療法で治療を進め、早期から機能回復を進めていきましょう。

入院が必要

手術療法になれば入院が必要となります。医師や看護師などに支えられながら治療が実施されていくので心強い味方となるでしょう。

持病がある場合には、入院時にしっかりと伝え、服用していた薬があれば薬を持参して医師や薬剤師などに伝えることも忘れないようにしましょう。

また、入院時には必要なものも複数あるのであらかじめ把握しておくと慌てずに済みます。必要書類に関しては、医療機関によって違いがありますが、以下のようになっているのでチェックしてみてください。

自分で用意するもの
  • 健康保険証
  • 高齢者受給者証
  • 医療受給者証
  • 限度額適用・標準負担額減額認定証(該当者)
  • 限度額適用認定証(70歳未満)
  • 入院保証金
  • 印鑑
医療機関で用意するもの
  • 入院申込書
  • 入院保証書
  • 手術承諾書

リハビリ病院の入院期間

手術をして回復期になると日常生活を送るためにリハビリを始めます。リハビリ病院の入院期間は、日数が決められているので確認しましょう。

入院期間 骨折の種類
90日以内
  • 大腿骨骨折
  • 骨盤骨折
  • 脊椎骨折
  • 股関節骨折
  • 膝関節骨折
  • 二股以上の多発骨折
  • または、手術後2カ月以内の状態
60日以内
  • 大腿骨
  • 骨盤
  • 脊椎
  • 股関節
  • 膝関節の神経や筋
  • 人体損傷後1カ月以内の状態

在宅での療養生活も可能

在宅での療養は以下のような医療処置を受けながら実施されます。

往診 体調不良になった際には、臨時で医師による診療ができる。体調で不安な所があればすぐに相談する。
訪問診療 定期的に医師が自宅に訪れて診療。高齢者の場合は、期間があくことで体調面に問題が発生する場合もあるので、定期的な診療は安心できる。
訪問看護 看護師が定期的に自宅に訪れて医師の指導のもと、診療の補助や療養のためのお世話をサポート。骨折による痛みや不安を相談することで医師と連携して対処してくれる。
訪問リハビリ リハビリステーションに通わなくても、在宅療養であれば自宅でリハビリができる。理学療法士や言語聴覚士、作業療法士といったリハビリスタッフに支えられて機能の回復や自立に向けた訓練を実施。

上記のような訪問診療や訪問リハビリを依頼したい場合、手術を行った病院の医療ソーシャルワーカーなどに相談し紹介してもらいましょう。

住んでいる市区町村の介護保険課や地域包括支援センターの窓口でも相談は実施されているので、在宅療養を検討しているのであれば早めに相談してみてください。

保存療法

保存療法とは、ギプスで固定して骨がつながるのを待つ治療方法です。脊椎圧迫骨折や橈骨遠位端骨折で骨折部分が医師の判断によって安定していることが認められれば、保存療法で治療できます。骨折している部分を数週間~数カ月間安静にする必要があります。

骨折による寝たきりを防ぐために

骨折を防ぐには、転倒しないように対策をとるだけではなく、骨粗しょう症に対する生活習慣の改善が効果的です。食生活の改善や適度な運動、日光浴といったことを積極的に取り入れて骨折しない体づくりをしていきましょう。

この記事のまとめ

  • 高齢者は骨がもろくなっている可能性もあり、骨折しやすい
  • 太ももの付け根にある大腿骨を骨折する高齢者が多い
  • 最悪の場合、寝たきりになる可能性もある

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