【理学療法士監修】ADL(日常生活動作)とは|評価項目や低下のサインなどを紹介

ADL(日常生活動作)という言葉を知っているでしょうか? リハビリを取り組んでいる方には馴染みのある言葉かもしれません。介護業界では、ADLは介護の質を評価するための指標でもあります。

この記事ではADLの具体例や分類、低下する理由、予防方法など、家族の介護に関わる方が知っておくと役立つ情報を紹介します。

【理学療法士監修】ADL(日常生活動作)とは|評価項目や低下のサインなどを紹介
松本健史

この記事の監修

松本健史

合同会社松本リハビリ研究所 所長

理学療法士。佛教大学大学院社会福祉学修士課程修了。専門は生活期リハビリテーション。病院・デイサービス勤務後2014年合同会社松本リハビリ研究所設立。全国の老人ホーム、デイサービス、介護施設でリハビリ介護のアドバイザー、生活リハビリセミナー講師、雑誌・書籍の執筆など活動中『転倒予防のすべてがわかる本 』(講談社)など著書多数。
YouTubeチャンネル「がんばらないリハビリ介護」/オンラインサロン「松リハLAB

ADLとは

ADL(Activities of Daily Living)とは、「Activities(動作)」「Daily Living(日常生活)」を組み合わせた略語です。日本語では「日常生活動作」と訳されています。

私たちが日々繰り返している、人が生活していくうえで基本的な動作のことをADLといいます。具体的には以下の動作がADLに含まれます。

ADL(日常生活動作)の具体例

  • 着替え
  • 食事
  • 移動
  • トイレ
  • 整容(整髪、洗顔、歯磨き、髭剃りなど)
  • 買い物
  • 掃除
  • 金銭管理
  • 料理
  • 交通手段の使用

ADLの分類①「BADL」と「IADL」

上記で挙げたようにADLにあたる動作は多様です。よってここ最近は「BADL(基本的日常生活動作)」「IADL(手段的日常生活動作)」の2つに分けられることがあります。

BADLは、着替え・食事・移動・排泄などの、日常生活を送るために最低限必要な基本動作です。

IADLは、掃除・料理・服薬管理・家計管理など、BADLよりも複雑な動作になります。詳しくは後ほど解説します。

BADLとは

BADL(Basic ADL)は、日本語では「基本的日常生活動作」と訳されます。少しややこしいですが、ADLと同義の意味で使われることもあります。

立つ、歩く、座るなど生活するうえでは欠かせないベーシックな動作です。他にも食事、排泄、整容、着替え、入浴といった動作も含まれます。なお、要介護度が重い方は、基本動作が低下していることが多いです。

IADLとは

IADL(Instrumental ADL)は、日本語では「手段的日常生活動作」と訳されます。買い物をする、料理をする、交通機関を利用するなど複雑な生活動作です。BADLに比べて、社会性や認知能力が求められる動作になります。

またIADLはBADLの前段階ともいえます。BADLは維持できているがIADLが低下している方は、要支援1・2と判定されることが多いでしょう。IADLを維持できていれば、介助されない生活が続けられます。

ADLの分類②「Self Care」と「APDL」

「Self Care」「APDL」という分類しているケースもありますので、定義を紹介します。

「Self Care」は家庭における身の回りの動作であり、狭義のADLとして位置づけられました。着替え・排泄・入浴といった自宅内で必要な動作を含みます。

「APDL(Activities Parallel to Daily Living)」は掃除・料理・交通機関の利用など、社会的な生活を送るための動作です。こちらは広義のADLと位置づけられています。

ADL低下のサイン

ADL低下のサインとして、転倒やふらつきなどが挙げられます。また「昨日はできたけど、今日はできない」など、同じ動作が安定して行えない状態もADL低下のサインです。高齢者と一緒に暮らす周りのご家族が、ADL低下の疑いがないか確認してみましょう。

ADL低下のサイン
  • 動作が危なっかしい
  • 安定した動作できない
  • 動作を遂行できる体力がない
  • 動作のスピードが落ちている

ADL低下の原因と予防法

ADL低下は、骨折や関節症などによる「身体機能」の低下だけではありません。「認知機能」「精神面」「社会環境」も影響しあって、ADLが低下していくのです。4つの原因とそれぞれの予防法について解説します。

身体機能

筋力や体力が低下すると、立ったり歩いたりすることが困難になります。入院や骨折を境に、病状が安定した後も、筋力低下が原因で元の生活に戻ることが難しくなるケースもあります。

ここ最近では「貯筋」という言葉があるように、自立した生活を続けるためには筋力を低下させないことが重要です。

予防法

身体機能の低下はADL低下に直結します。要介護状態ではない高齢者の方は、転倒予防のために足の筋肉を強化する運動をしてください。スクワットもも上げなどがおすすめです。また、運動後にはたんぱく質を摂取することで、筋肉が作りやすくなります。

なお、すでに低下している方は、さらに悪化しないように予防しましょう。デイケアやデイサービス、訪問リハビリを利用して、リハビリやレクリエーションに取り組んでみてください。

認知機能

認知機能が低下することで、ADLも低下します。特に認知症を患っている方は注意が必要です。認知症の症状は記憶障害だけではなく、計画を立てて物事を進められなくなる「遂行機能障害(実行機能障害)」があります。他にも、体を動かせるにもかかわらず、動作方法がわからなくなってしまう「失行」という症状もあります。

予防法

重度の認知症である多くの方は、ADLも低下している状態です。そのため、認知症の早期発見・早期治療が、ADL低下の予防につながります。「認知症かもしれない」と思っている方は、早めに医師に相談してください。

現在、認知症を患っている方は「マニュアルを利用して手順どおりに作業を遂行する訓練」などを実施するといいでしょう。他にも認知症のケアは多様ですので、下記の記事を参考にしてください。

精神面

精神面の落ち込みの理由は多々ありますが、家に引きこもりがちになるため身体機能が低下します。また、老年期のうつや認知症が原因で、無気力・無関心になるケースも多いです。

予防法

原因が多岐にわたるため、精神面の落ち込みを予防することは難しいですが、自律神経を整えることが大切です。

そのためにも日々の生活習慣のリズムを整えてください。介護者は本人が「きちんと眠れているか」「少食でも3食食べられているか」など、日々の生活を振り返ってみましょう。

なお疾患が原因の場合は、医師と相談しながら治療を進めましょう。

社会環境

例えば新型ウイルスの感染予防対策として外出を自粛していると、これまで健康だった方も体力が落ちてきます。豪雪地帯の方も冬期は運動しづらい環境に陥るでしょう。このように社会環境からもADLの低下がうかがえます。

予防法

もし、何らかの事情で外出することが難しい場合は、訪問リハビリを利用して自宅でリハビリに取り組んでみるのも一案です。また、インターネットを通じて、高齢者向けのエクササイズやリハビリの動画を見るのもいいでしょう。ここ最近では理学療法士によるYouTube動画なども人気です。

専門家に頼りましょう

上記で解説しましたが、ADLの低下の原因は多面的であり、予防のアプローチもさまざまです。運動が苦手な方、車椅子生活の方など、一人ひとりにあった予防法があります。ぜひ専門家の力を頼ってください。

医療に関することはかかりつけ医師、リハビリに取り組んでいる方は機能訓練専門員、介護サービスを利用したい方はケアマネジャーに相談するといいでしょう。

ADLの評価方法

ADLの評価は、訓練計画看護計画を立てるに当たって重要な要素です。機能訓練専門員や看護師は、ADLの評価をもとに治療やリハビリの内容・方法を決めていきます。

複数の評価法がありますが、代表的な評価法が「バーセル・インデックス(Barthel Index)」「FIM」です。実際にどんな評価項目があるのか見ていきましょう。

バーセル・インデックス

ADLを評価する方法の1つに「バーセル・インデックス(Barthel Index)」があります。バーセル・インデックスは介護の現場で活用されていることが多く、介護保険法のADL維持加算を評価する指標となっています。

評価内容の10項目を、5点刻みで点数化し、合計100点満点として評価する採点方法です。本人の「できる能力」を加点する方式となります。

バーセル・インデックスの評価項目

項目 内容 点数
食事 自立 10
部分介助 5
全介助 0
車椅子からベッドへの移譲 自立 15
軽介助や監視が必要 10
ほぼ全介助 5
全介助・または不可能 0
整容 自立 5
部分介助・または不可能 0
トイレ動作 自立 10
部分介助 5
全介助 0
入浴 自立 5
全介助 0
歩行 自立 15
介助・監視下での45メートル平地歩行可能 10
車椅子にて45メートルは移動可能 5
全介助 0
階段昇降 自立 10
要介助・監視 5
全介助 0
着替え 自立 10
部分介助 5
全介助 0
排泄コントロール 失禁なし 10
ときに失禁あり 5
全介助 0
排尿コントロール 失禁なし 10
ときに失禁あり 5
全介助 0
合計得点 /100点
参考:厚生労働省保険局医療課「ADL 維持向上等体制加算に係る評価書

FIM(機能的自立度評価法)

次に、介助量を評価するFIM(機能的自立度評価法)を紹介しましょう。1983年にGrangerらによって開発されたADL評価法です。「している能力」を評価し、運動項目と認知項目の計18項目を7段階で採点していきます。

運動項目

分類 評価項目 内容 点数
セルフケア 食事 咀嚼・嚥下を含めた食事動作
整容 口腔ケア・洗髪・手洗い・うがいなど
清拭 風呂・シャワーなど(首から下を洗う)
更衣(上半身) 腰より上の更衣および義肢装具の装着
更衣(下半身) 腰より下の更衣および義肢装具の装着
トイレ 衣服の着脱、排泄後の清潔、整理用具の使用
排泄コントロール 排尿管理 排尿の管理(用具や薬剤の使用含む)
排便管理 排便の管理(用具や薬剤の使用含む)
移乗 ベッド・椅子・車椅子 それぞれの間の移乗、起立を含む
トイレ 便器へ(から)の移乗
浴槽シャワー 浴槽・シャワー室へ(から)の移乗
移動 歩行 屋内での歩行
車椅子 屋内での車椅子移動
階段 12から14段の階段昇降
合計得点 /91点

認知項目

分類 評価項目 内容 点数 コミュニケーション 理解 相手の言った言葉をわかる。その先の判断能力は問わない。 表出 言いたいことを相手にわからせる。言おうとする意味内容は問わない。 移乗 社会的交流 自分の行動が相手にどう影響するかわかる 問題解決 遭遇する問題を処理する 記憶 日常生活動作をするために人や日課を覚えている 合計得点 /35点

採点基準

7点 完全自立 複雑な動作を自立して1人で可能
6点 修正自立 時間がかかる、補助具が必要、安全性の配慮が必要
5点 監視・準備 監視、準備、指示、促しが必要
4点 最小介助 75以上90%未満は自分で行う
3点 中等度介助 50〜75%未満は自分で行う
2点 最大介助 25〜50%未満は自分で行う
1点 全介助 25%未満しか自分で行わない
参考:厚生労働省「(参考)日常生活動作(ADL)の指標 FIMの概要

バーセル・インデックスとFIMの違いとは

バーセル・インデックスは「できる能力」を評価しています。それに比べてFIMは「している能力」を評価していることが大きな違いです。例えば、自分でも排泄できるが、心配だから介助している場合は、バーセル・インデックスでは「自立」です。FIMでは「介助」の採点となります。

また、評価法はこの2つだけではありません。他にも、IADLを評価する「Lawtonの尺度」や疾患別の評価法もあります。実際に評価に取り組む際は、介護事業所や医療機関が指定するため利用者が選択することはありません。その方の状況にあった評価法を利用しますのでご安心ください。

ADLを回復するためにリハビリを

高齢のご家族を見て「ADLが低下している」と感じた場合は、介護サービスを利用するなど、ぜひリハビリに取り組んでみてください。「通所リハビリ」「デイケア」はリハビリに特化した介護サービスです。理学療法士や作業療法士などの機能訓練指導員が指導してくれます。職種ごとに訓練内容も異なりますので、説明しましょう。

理学療法士は運動機能回復の専門家

理学療法士は寝返る・立つ・歩く・座るなどの基本動作能力を回復させる訓練を実施します。訓練することにより運動機能回復に努めます。

作業療法士は心身の回復を目指す専門家

作業療法士はより具体的な生活をイメージした訓練を実施します。例えば「お箸を使って食事する」「トイレにいって一人で排泄する」など作業を通じて、ADL改善を図ります。

自立した生活を続けるために

最後に、介護者が気をつけるポイントを紹介します。ADL低下を防ぐためには、介護しすぎないことも大切です。

例えば、自立の方が一時的に入院していたことで足の筋力が弱まりADLが低下するとします。退院後も足に力が残っているにもかかわらず、介護者が身の回りのお手伝いをしすぎてしまうと、さらに足の筋力が弱まるでしょう。

過剰な介護をするのではなく、本人のできることを実践できるように見守ってあげてください。

なお、介護のほんねでは、リハビリ相談可の老人ホームもご紹介しています。施設探しでお悩みの方はご相談くださいませ。無料で施設選定から見学設定までお手伝いします。

この記事のまとめ

  • ADLとは日常生活動作のことで、着替えや食事など人が生活するうえで大切な動作である
  • 料理や買い物、服薬管理などの複雑な動作は「IADL」と呼ばれている
  • ADL低下を予防するためには、運動やリハビリに取り組むことが大切

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