高齢者向け住宅とは|2種類の住宅の概要や特徴、メリットについて

高齢になると、老後のことを考えて「老人ホームを検討したい」と悩む人もいるでしょう。しかし、介護を必要としていない自立した生活を送れている高齢者であれば、老人ホームとは違う施設へ入居したい、と考える人もいるはずです。

後者の方々におすすめの施設が高齢者向け住宅です。どんな住まいを提供しているのか、どんな魅力があるのかなど詳しく知らない人も多いでしょう。高齢者向け住宅の特徴を知り、老後の生活に備えてください。

高齢者向け住宅とは|2種類の住宅の概要や特徴、メリットについて
岡田慎一郎

この記事の監修

岡田慎一郎

理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員

身体障害者、高齢者施設に勤務。古武術の身体運用を参考にした「古武術介護」が反響を呼ぶ。近年は介護、医療、リハビリ、消防・救命・育児支援・教育・スポーツなど、幅広い分野で身体を通した発想と実践を展開させ、多岐にわたる活動を国内外で行う。『あらゆる状況に対応できる シンプル身体介助術』(医学書院)など著書、DVD、通信講座など多数。

高齢になると、老後のことを考えて「老人ホームを検討したい」と悩む人もいるでしょう。しかし、介護を必要としていない自立した生活を送れている高齢者であれば、老人ホームとは違う施設へ入居したい、と考える人もいるはずです。

後者の方々におすすめの施設が高齢者向け住宅です。どんな住まいを提供しているのか、どんな魅力があるのかなど詳しく知らない人も多いでしょう。高齢者向け住宅の特徴を知り、老後の生活に備えてください。

高齢者向け住宅とは

高齢者向け住宅とは、バリアフリー対応になっている施設で、自分のことは自分でできる高齢者や要介護認定されていない高齢者だけではなく、要支援・要介護認定された高齢者なども快適に過ごせる空間です。

サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションに分類される

高齢者向け住宅

高齢者向け住宅といっても種類があり、賃貸住宅となる「サービス付き高齢者向け住宅」富裕層の高齢者向けの「シニア向け分譲マンション」に分類されます。どちらの施設も、高齢者が暮らしやすい設備を搭載し、段差を少なくする配慮や手すりが多く設置してある、トイレが広いなど、バリアフリー対応となり、介護を必要としていない高齢者も介護が必要な高齢者も過ごしやすい造りとなっています。

サービス付き高齢者住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅がどういった施設であるのか、その特徴や魅力について解説していきましょう。また、入居してから不満を抱えないようにデメリットも事前に把握しておきましょう。

サービス付き高齢者向け住宅の特徴

サ高住」と略されるサービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が住みやすい工夫がされた賃貸住宅です。老人ホームと聞くと、介護が必要な人が多く生活して、一緒に食事をしたり入浴や排せつの介助がある施設を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、サービス付き高齢者向け住宅は、そういった介助を必要としない人が多く暮らし、自由度の高い暮らしができるのです。

要介護認定された高齢者であれば、それに見合ったサービスを提供するので不自由なく過ごせます。サービス付き高齢者向け住宅は、2011年に改正された「高齢者住まい法」によって施設数が増加してきた特徴をもっています。事業者は、民間事業者で設立するにあたっては国から補助金も出るので、今後も施設数が増えていくのではないかと予想されています。

入居するための費用としては、敷金や礼金、そして月額料金です。敷金礼金は0円~数百万円、月額料金は10万円~30万円ほどが相場となります。そのほかにも、食費や水道光熱費が必要となるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅のメリット

サービス付き高齢者向け住宅で暮らすメリットをご紹介していきましょう。

充実した設備

サービス付き高齢者向け住宅は、居室の広さが原則25㎡(リビングやキッチンといった共有スペースの設備が整っている場合は18㎡)と基準が設けてあり、十分な広さが確保されています。夫婦で過ごせる広い居室が用意されているケースもあるので、老後も仲良く夫婦で過ごしたい高齢者に向いているでしょう。また、完全個室なので他の入居者の目を気にする必要もなくプライバシーが守られた空間となっています。

自由度が高い

老人ホームと聞くと、自由に出入りができないイメージがある人もいるでしょうが、サービス付き高齢者向け住宅は、自分の好きな時間に出かけられます。買い物が必要になれば、好きな日、好きな時間に買い物に行けます。外泊もほぼ自由となっているので、親族や友人と一緒に旅行も楽しめるでしょう。もちろん、施設内に招き入れるのも自由です。友人を招いて食事や談笑に華を咲かせられます。

さまざまな施設から選べる

2011年に制度が創設されてから、これまでに多くのサ高住が建設されています。多くの施設から自分好みのサービスや設備を取り入れている住まいを見つけられるのは大きな魅力でしょう。

安心できるサービスがある

介護が必要なくても高齢者ゆえに心配事もあるでしょう。サ高住では、必ず受けられるサービスが2種類あります。1つ目は安否確認見守りサービスです。施設の職員が部屋を定期的に訪問し確認してくれるので、万が一異変があった時には迅速に対応してくれます。入居者の家族にとっても安心できるサービスでしょう。

2つ目は、生活相談サービスです。高齢になるにつれて不安になる点もあると思います。専門家による相談受付を提供しているサービスで、体や心の悩みについて打ち明けられます。専門家が解決に向けて動いてくれるので安心でしょう。

バリアフリー設備

高齢者にとって過ごしやすいバリアフリー設計となっています。歩きやすいように広めの廊下がある、あらゆる部分に手すりが備え付けられている、段差がないといった工夫が設備ごとにあるので、安全に暮らせます。

サービス付き高齢者向け住宅のデメリット

利用しやすい工夫がされているサービス付き高齢者向け住宅ですが、デメリットもあります。

一般的な賃貸住宅と比較すると費用がかかる

一般的な賃貸住宅を比べるとサ高住は月額料金が高くなるケースもあります。費用を抑えたい人にとってはデメリットとなりますが、安否確認や生活相談といったサービスが受けられるほか、高齢者が暮らしやすい工夫がされているので、安心料と捉える人もいます。

医師や看護師が常駐していない

老人ホームとは違い、介護を必要としない日とも多く暮らしているサ高住では、医師や看護師が常駐していないケースもあります。高齢になれば健康面に不安のある人もいるでしょう。何かあった時には迅速に対応するよう義務化されていますが、常駐してないために不安を抱える人もいます。

退去を要求される場合もある

自立をしている高齢者や要介護者も受け入れているサ高住が多いのですが、介護状態が悪化すると施設の退去を要求されるケースもあります。主な理由としては、体調の悪化や要介護度の進行といった健康面や体調面に関する問題です。そのほかにも、月々の費用が払えなくなれば退去を要求される場合があります。ほかの入居者や職員とトラブルを起こした場合も退去となる可能性があるので注意してください。また、サ高住自体が経営破綻し、退去せざるを得ないということも現実に起きています。経営状態を事前にある程度把握することも、重要です。

シニア向け分譲マンションとは

少子高齢化の日本では、高齢者が安心して過ごせる工夫が求められていますが、シニア向け分譲マンションは高齢者にとって住みやすい理想的な暮らしが提供されている施設です。どんな特徴があるのか見ていきましょう。

シニア向け分譲マンションの特徴

シニアマンションとも言われているシニア向け分譲マンションは、サ高住とは違い分譲マンションを購入して住む形となります。そのため、富裕層を対象としている施設が多く、充実した設備が整っているところが多いです。入居一時金は数千万円~数億円と高額で、月額料金として管理費や修繕積立金が必要となるので数万円~数十万円ほどかかると言われています。購入したい場合には不動産会社で販売されているケースも多いので、気になる人はチェックしてみましょう。

入居条件はサ高住と同様に自立している高齢者に加えて要支援・要介護認定されている高齢者です。ただし、認知症をはじめ介護度が重度化すると対応が困難となるため、より介護に対応しやすい、有料老人ホームなどを検討する必要性があります。

シニア向け分譲マンションのメリット

シニア向け分譲マンションにはどのようなメリットがあるのでしょうか?過ごしやすい施設なのか把握するためにも見ていきましょう。

設備の充実さ

シニア向け分譲マンションの最大のメリットとも言えるのが設備の充実さでしょう。完全個室の居室があるのはもちろんのこと、施設によって娯楽設備が設けられています。ゆったりと入浴できる温泉や大浴場、美味しい食事を提供しているレストラン、リフレッシュに最適なプールのほかに、趣味を楽しめるカラオケルームや図書室、プライベートスパなどを設けているケースもあります。シニアライフを充実させる設備でしょう。

資産になる

シニア向け分譲マンションは賃貸とは違いマンションを購入するので、資産となります。室内に関しては、リフォームをすることができ、自分が住みやすいように工夫できるでしょう。また、入居しなくなれば子どもや親族に相続できるほか、売却できます。

体制が整っている

老人ホームとは違い、介護サービスがないと考えている人も中にはいるでしょうが、施設スタッフによるサービスが提供されています。見守り体制を始め、食事や掃除、洗濯といった家事に関する生活支援、緊急時の対応などがあり、安心して過ごせる工夫がされています。ある程度のサービスは受けられるので、家族も安心して任せられます。

シニア向け分譲マンションのデメリット

設備の整ったシニア向け分譲マンションにはどんなデメリットがあるのか解説していきましょう。

費用がかかる

最大のデメリットはやはり費用でしょう。富裕層に向けて販売されている物件が多く、貯金が無ければ購入は難しいでしょう。購入後にかかる費用も、管理費や修繕積立費が必要となるので負担も大きいです。費用的に難しい場合、ほかの施設への入居を検討することをすすめます。

介護や医療サービスは外部委託

シニア向け分譲マンションでは、介護サービスや看護サービスはしていません。そのため、サービスを受けたい場合には外部業者に依頼をするか、訪問介護や訪問看護サービスを頼む必要があります。その分費用も発生するのでどの程度料金がかかるのか、あらかじめ確認する必要があるでしょう。

トラブルが発生する可能性も

シニア向け分譲マンションを購入すれば、その時点で自分の資産となります。ずっと住み続けられる魅力はありますが、隣人トラブルなどに巻き込まれれば後悔する可能性もあるのです。中でも多いのは騒音トラブルでしょう。足音や音楽、テレビの音など、さまざまな騒音トラブルが考えられますが、他の入居者にとっても住んでいる物件は資産となるので強制的な退去はさせられません。施設にいるコンシェルジュに相談できますが、注意を促す程度となるでしょう。

選択肢が少ない

サービス付き高齢者向け住宅と違う点は、シニア向け分譲マンションの物件数が少ない点です。地方によっては選べないケースもあり、一般的なマンションを購入してリフォームをして住むなどの対応をしている高齢者も中にはいます。しかし、高齢者が増えている現代だからこそ、今後普及する可能性は十分に考えられるので、余裕のある方ならば、シニア向け分譲マンションの購入を検討も視野に入れてみましょう。

高齢者向け住宅はこんな人におすすめ

大きな魅力のある高齢者向け住宅ですが、どんな人におすすめできるのか見ていきましょう。

自由に生活したい人

老人ホームと違い、高齢者向け住宅は自由度があります。いつでも出かけられる点や外泊ができるといった生活に自由があるだけではなく、介護サービスや看護サービスも自由に付けられます。自分の思い通りにできるので、自由なペースで生活をしたい高齢者に向いているでしょう。

1人での生活が不安な人

自立した生活が送れている高齢者でも日々の生活に不安がある人はいるはずです。安否確認や生活相談といったサービスが付いているサ高住であれば、暮らしの不安を取り除けるでしょう。見守ってくれる人がいるだけで精神的にも安心できるので、シニアライフを1人で暮らすのに不安を抱えているのであれば高齢者向け住宅はおすすめの施設です。

住み替えを検討している人

現在住んでいる住宅に不満を抱えている人には高齢者向け住宅はおすすめできます。一般的な賃貸物件や分譲住宅、分譲マンションでも快適に過ごせるでしょうが、高齢者だからこその不安もあるはずです。高齢者向け住宅であれば、バリアフリー設備も整っているので、ケガの心配なく過ごせるでしょう。バリアフリー仕様にリフォームしたいと考えていた高齢者にも向いています。

安心して暮らせる理想の設備が高齢者向け住宅にはある

歳を重ねていくにつれて、健康面に不安を抱える人は多いはずです。老後のために老人ホームへの入居を検討している人もいるでしょうが、自立した生活を送れているようであれば、サービス付き高齢者向け住宅やシニア向け分譲マンションといった高齢者向け住宅も候補に入れてみましょう。

安心できる体制を提供してもらいながら、自由に介護や看護サービスを備えられ、自分が住みやすいように工夫できます。入居前には、施設を見学できるケースもあるので、理想通りの施設を見つけるためにも活用してみましょう。

また、下記からご希望のエリアを選択すると、全国のサービス付き高齢者向け住宅を検索できます。入居を検討している方はご活用ください。

この記事のまとめ

  • 高齢者向け住宅にはサービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションがある
  • 暮らしの自由度が高い点が魅力
  • 費用はかかるが設備やサービスが整っている

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