介護サービス情報公表システムとは|使い方・メリット・デメリットを紹介

介護施設を探す際に、施設ごとの情報を比較検討することが大切です。近隣エリアにある複数の介護施設を見つけるのに「介護サービス情報公表システム」を利用してみた人も多いのではないでしょうか。

ただし、なかには「使い方がよく分からない」という声もあります。そこで今回は、介護サービス情報公表システムについてご紹介しつつ、どのように使えばいいのか介護施設を見つける以外にどんな機能があるのかを分かりやすく解説していきます。介護サービス情報公表システムを使って介護施設を調べたいという人はぜひ今回の記事をご参考ください。

介護サービス情報公表システムとは|使い方・メリット・デメリットを紹介
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。

介護サービス情報公表システムとは

まずは改めて介護サービス情報公表システムとはどういったものかご紹介していきましょう。介護サービス情報公表システムとは、全国各地にある介護サービスを提供する事業所や施設に関する情報をまとめ、掲載している厚生労働省のウェブサイトです。事業所・施設の住所から提供する介護サービスの情報なども分かりやすく紹介されています。

介護サービス情報の公表は、介護保険法に基づいたもので平成18年4月から既に始まっていた制度です。介護保険法では、利用者が自ら事業者を選択・決定ができ、契約後に必要なサービスを受けられるようになっています。事業者を選択・決定するためには、「選択できるだけの事業所や施設の多さ」と「選択に向けて比較検討するための十分な情報」が必要です。

「選択できるだけの事業所や施設の多さ」については、現在横ばいに推移しています。平成30年「介護サービス施設・事業所調査」によると、訪問介護が約35,000事業所、通所介護が約23,000事業所で、前年度に比べて訪問介護は0.6%減少、通所介護は1.1%増加していることが分かりました。そのほかにもさまざまな種類の介護サービス事業所があるため、それほど大きな問題はないと言えるでしょう。

しかし「十分な情報の提供」に関しては、選択するために必要な情報提供の環境はこれまで整備されていませんでした。情報を収集するためには行政を利用しても基本的な情報だけで、本当に知りたい情報が得られなかったり、その事業所が作成したウェブサイトの情報しかなかったりするため、比較検討がしにくい状況だったのです。

そこで事業所や施設から正しい情報を得て、多くの人が比較検討できるような介護サービス情報の公表制度が作られました。この制度の誕生によって介護サービス情報公表システムが開発されています。

施設の検索や料金の概算ができる

介護サービス情報公表システムでは事業所や施設を検索し、サービス内容から特色、運営状況なども確認できるようになっています。検索可能な介護サービスは25種類・53サービスに該当する事業所や施設です。

介護予防サービスも含まれますが、1年間の介護報酬額が100万円未満の事業所・施設は公表されていません。十分な介護サービスが受けられる事業所・施設だけを公表する仕組みとなっています。

検索可能な介護サービス25種類は以下の通りです。

介護サービス 種類
介護相談・ケアプラン作成
  • 居宅介護支援
自宅訪問
  • 訪問介護(ホームヘルパー)
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリ
  • 訪問入浴
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
通所
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリ
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護
短期間の宿泊
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護
訪問・通所・宿泊の組み合わせ
  • 小規模多機能型居宅看護
  • 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
施設入居
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
  • 介護療養型医療施設
地域密着型サービス
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具の使用
  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売

また、介護サービス情報公表システムには、大まかな利用料金を試算できる介護サービス概算料金試算機能も備わっています。

介護サービス情報公表システムの使い方について

介護サービス情報公表システムは、全国約21万カ所の介護サービスを提供する事業所・施設を検索できます。ここからは介護サービス情報公表システムの使い方について解説していきましょう。

施設情報を確認するまでの流れ

1. トップページの都道府県をクリックする

まずは厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」ホームページへ行きます。トップページには都道府県別に表示されているため、利用したい地域をクリックしましょう。

2. 検索したい項目を選ぶ

都道府県をクリックすると、何を検索したいのか選ぶページに移ります。介護施設を検索したい場合は「介護事業所を検索する」、近くの地域包括支援センターを検索したい場合は「地域包括支援センターを検索する」を選びましょう。その他にも「生活支援等サービス」や「サービス付き高齢者向け住宅などの住まい」「有料老人ホーム」「認知症に関する相談窓口」「医療機関」「薬局」が検索できます。

今回は施設情報を確認するまでの流れになるので「介護事業所を検索する」項目をクリックしましょう。

3. 介護事業所を検索する

次のページには事業所名や市町村名などで検索できる「キーワード検索」と、要介護者や家族に合うサービスから探せたり、目的・場所から探せたりできる「他の条件で探す」があります。どちらか使いやすい方を選んで、検索をかけてみましょう。

今回の例ではサービス内容を重視して選ぶときに使える「本人家族に合ったサービスを探す」を選びます。

4. 質問に答えていく

「本人家族に合ったサービスを探す」をクリックすると、質問が表示されていきます。例えば、最初は「サービスを利用する方はどちらに該当する方ですか?」という質問と、要支援1または2、要介護1~5、わからないという3つの選択肢が表示されます。

該当するものを選んだら、利用したいサービス、休日のサービス利用は希望するか、サービスを受けたい地域の質問に答えていきましょう。最後まで選んだら「検索する」をクリックします。もし最後に条件を変えたい場合でも、それぞれの回答の「変更する」をクリックすれば変えられます。

5. 検索結果の表示

希望条件や地域で検索した結果、対象の事業所・施設をまとめて紹介してくれます。検索結果のページには施設の概要しか表示されていないものの、右下の「詳細情報を見る」をクリックすれば細かい情報まで閲覧可能です。

また、施設情報の左下にはそれぞれ「お気に入りに追加する」と「比較対象に追加する」というボタンがあります。お気に入りに追加すればわざわざ検索をしなくてもすぐにその施設の詳細情報を確認できますし、比較対象に追加すると最大30件まで同じサービスの事業所同士の特色などを見比べられるので非常に便利です。事業所を比較検討したい時は、ぜひ利用してみてください。

介護費用の計算をするまでの流れ

介護費用を計算したい場合は、「介護事業所・生活関連情報検索」のトップページ左側にある「介護サービス概算料金の試算」を利用してみましょう。

1. 分類を選択する

介護サービス概算料金の試算ページへ移動したら、まずは分類を選びます。分類では「自宅に住む」と「施設に住む」の2つから選べるようになっているので、どちらかを選択しましょう。分類を選ぶと下記に介護サービスの種類が表示されます。

2. 要介護度を選ぶ

次に要介護度を選びます。要支援1・2、要介護1~5の中から該当するものを選んでください。

もし要介護認定を受けていないという方は以下の記事を参考に認定調査を受けてみてください。

3. サービスを選ぶ

分類を選んだ段階でサービス名が表示されます。例えば「自宅に住む」を選ぶと訪問介護や通所介護、ショートステイなどが細かく分けられています。

その中から利用したいサービス名にチェックを入れ、月何回利用したいか数字を入力しましょう。利用回数を入力すると右側の「費用額/月」に算出された数字が自動で入力されます。例えば要介護2の人が訪問介護を月5回利用したい場合、ひと月あたりの費用額は1万6,000円となります。

4. 試算金額を確認する

月額費用が算出されたら、下の「試算金額」を確認しましょう。月額費用はあくまで全額負担の場合の金額です。介護保険では所得に応じて自己負担額が変わります。

先ほどの例で出した費用額1万6,000円は、1割負担の人だと1,600円、2割負担の人だと3,200円、3割負担の人だと4,800円です。

あくまでも試算金額になるので実際の自己負担額と異なる場合もありますが、だいたいの目安として捉えておくといいでしょう。なお、ページをそのまま印刷して比較できるように、試算金額項目の右下には「印刷」ボタンがあります。

その他、介護サービス情報公表システムでできること

事業所・施設の詳細を調べたり、介護費用の概算を計算したりできる介護サービス情報公表システムですが、その他にも各都道府県の医療機関や薬局も調べられるようになっています。それぞれ各都道府県の医療機関情報システム(医療情報ネット)へページ移動できるようになっており、それぞれ診療科目に対応する病院や薬局を探せます。

介護サービス情報公表システムのデメリット

多くの介護事業所・施設の中から家族に合うところを見つけたい時に便利な介護サービス情報公表システムですが、なかには「使いにくい」との声もあります。その背景について紹介します。

サービスの情報は見えるが、問い合わせまではできない

1つめは施設の詳細を確認できてもその場ですぐに問い合わせできないという点です。施設の詳細情報には事業所の概要から運営状況、介護報酬の加算状況まで明記されています。

しかし、詳細情報から直接その施設へ問い合わせることはできません。連絡先は表示されているものの、電話やファックスを通して、もしくは施設が運営するウェブサイトから問い合わせなくてはならないのです。

検索条件を詳細に設定できない

もう1つ、検索機能における問題点も指摘されています。検索しやすいようにいくつか項目に分かれ、詳細検索もできるようになっています。しかし、キーワード検索は単語を入力する必要があり、単語を入力しても対象の施設が1件もヒットしなかったり、逆に検索したら100件以上ヒットしてしまったりすることもあるでしょう。

しかも検索したキーワードはどこで反映されているのか分からず、まったく関係のない説明文からヒットしてしまうこともあるようです。これでは、要介護者や家族に合った施設はなかなか見つかりません。

民間企業が運営している、介護施設を検索できるウェブサイトでは詳細に検索条件を設定できるようになっています。市区町村や路線・駅から探せるのはもちろんですが、病気の受け入れ対応や施設設備、施設の特徴、月額費用、施設区分など、さまざまな条件から検索可能です。

しかも、わざわざキーワードを入力する必要がありません。希望したいもの・該当するものに複数チェックを入れ、検索することで適した介護施設が検索できるようになっています。キーワード入力はあらかじめ希望する単語を知っている、何を希望したいのか把握していることが前提となるため、介護サービス情報公表システムに使いにくさを感じてしまうのかもしれません。

もし探しにくかったら、民間サービスを使うのもおすすめ

介護サービス情報公表システムは、厚生労働省が運営している介護サービスを提供する事業所や施設を探せるシステムです。地域の事業所・施設を検索できるだけでなく、その施設の詳細な情報まで検索できるので、比較したい時にも役立ちます。

介護のほんねでも入居受け入れ可能な施設を検索できます。

介護のほんねでは詳細に検索条件を設定できるようになっています。市区町村や路線・駅から探せるのはもちろん、病気の受け入れ対応や施設設備、施設の特徴、月額費用、施設区分など、さまざまな条件から検索可能です。

またキーワードを入力する必要がありません。希望したいもの・該当するものに複数チェックを入れて検索すれば、適した介護施設が表示されるようになっています。キーワード検索しかない介護サービス情報公表システムに使いにくさを感じてしまう方でも便利に探せるのがメリットです。

以下の記事では介護のほんねの使い方を詳しく紹介しています。介護施設を探している方はぜひお試しください。

この記事のまとめ

  • 介護サービス情報公表システムは全国の介護事業所・施設を検索できるサイト
  • 施設の細かい情報を調べたり、介護費用を概算したりすることも可能
  • 人によっては使いにくさを感じてしまうことも

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