【専門家が解説】介護施設・老人ホームの種類と費用、選び方

介護施設や老人ホームには、入居条件やサービス内容、運営主体などによってさまざまな種類があります。「そろそろ老人ホーム入居についても考えたいけれど、種類も多いし、違いや費用もよくわからない……」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

ここでは、介護施設・老人ホームの種類についてそれぞれの特徴や費用を分かりやすく解説します。後半では要介護度や費用などの基準ごとに、老人ホームの探し方もご紹介。施設探しで悩んでいる人はぜひご覧ください。

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平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

介護施設・老人ホームの種類

まずは、介護施設・老人ホームの種類とそれぞれの大きな特徴を整理してみましょう。気になる費用や入居条件も一覧でまとめていますので、希望に合う施設はどの種類に当てはまるのか確かめてみてください。

介護施設・老人ホームの種類と特徴
施設の種類 特徴 介護・看護体制 入居条件 入居待機期間
介護サービス 看護サービス 要介護度
民間施設 介護付き有料老人ホーム 介護スタッフが24時間常駐し、定額で介護サービスを受けられる。看取り対応可能など、医療に手厚い施設もある。 施設内の介護スタッフが提供 施設内の看護スタッフが提供 自立~要介護5 短い
住宅型有料老人ホーム 必要に応じて、介護サービスを別途契約し利用する。介護度が比較的軽い方が多い。 在宅サービス事業所と個別に契約してサービスを受ける 個別に訪問看護サービスを利用する 自立~要介護5 短い
サービス付き高齢者向け住宅 シニア向けのバリアフリー賃貸住宅。安否確認・生活相談などのサービスも受けられる。 自立~要介護3程度 短い
グループホーム 認知症の方向けの専門施設。施設がある自治体に住民票があることが入居の条件。 施設内の介護スタッフが提供 看護スタッフはいない場合が多い 要支援2~要介護5 比較的長い
公的施設 ケアハウス(軽費老人ホームC型) 家庭環境や経済状況などにより家族との同居が困難な高齢者向けの、比較的低額な施設。「一般型」と「介護型」がある。 一般型:在宅サービス事業所と個別に契約してサービスを受ける 介護型:施設内の介護スタッフが提供 一般型:個別に訪問看護サービスを利用する 介護型:施設内の看護スタッフが提供 一般型:自立~要介護3程度 介護型:要介護1~5 長い
特別養護老人ホーム 要介護3以上の高齢者が対象。比較的低額のため、待機人数が多い。 施設内の介護スタッフが提供 施設内の看護スタッフが提供 要介護3~5 長い
介護老人保健施設 在宅復帰を目指してリハビリを行う施設。入居期間は原則的に3~6カ月と限定されている。 要介護1~5 比較的長い
介護医療院(介護療養型医療施設) 医療的ケアと介護を必要とする高齢者が対象。医師・看護師が常駐している。 要介護1~5 比較的長い

介護付き有料老人ホームとは

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフから24時間体制で介護サービスが受けられる施設です。

要介護者3人に対して介護職員を1人以上配置するなどの基準をクリアし「特定施設入居者生活介護」の認可を受けています。食事や生活支援、レクリエーションなどもあり、多様なサポートを提供していることが大きな魅力です。

なかには、看護師24時間常駐・クリニック併設など医療体制が整っているホームも。夜間の医療ケアや終末期ケアに対応している施設もあり、幅広い受け入れ体制が魅力の一つです。

介護付き有料老人ホームには要介護1以上の方を対象とする「介護専用型」、自立の方から要介護の方まで利用できる「混合型」のほか、入居時自立が条件の「自立型」もあります。検討の際は、施設がどのタイプにあたるのか確認しておきましょう。

費用は「月額利用料」のほかに「入居一時金」が必要となることもあります。民間の施設ということもあり、公的施設に比べると費用は比較的高額です。一方で、介護保険サービスは「要介護度に応じた定額制」です。利用頻度によって金額が増減することはないので、安心してサービスを利用できます。

介護付き有料老人ホームについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

介護付き有料老人ホームとは、はじめに確認する基本的な情報をご紹介

住宅型有料老人ホームとは

住宅型有料老人ホームは食事や生活支援、レクリエーションなどのサービスを提供する施設です。自立の方から要介護の方まで入居できます。

介護付き有料老人ホームとは異なり「介護サービス」は含まれていないので、介護が必要な場合は在宅サービス事業所と個別の契約が必要です。必要なサービスのみを自由に利用できる反面、介護度が重くなるとサービスの量も増え高額になることもあります。介護保険の利用限度額を超えた分は全額負担となるので、注意が必要です。

費用は「月額利用料」のほかに「入居費用」がかかる場合があります。

住宅型有料老人ホームについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

住宅型有料老人ホームとは、特徴や費用の目安などの基本情報を紹介

サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅は、比較的自立度の高い高齢者を対象としたバリアフリーの賃貸住宅です。日中は有資格者が常駐し、安否確認と生活相談サービスを受けられます。

個室は原則25㎡以上(ただし共有スペースに十分な面積がある場合は18㎡以上)など設備面にも基準があり、建設時には都道府県への申請が義務付けられていることも特徴です。

介護サービスが必要な場合は、一般的には個別に在宅サービス事業所と契約し、サービスを受けることになります。なかには「特定施設入居者生活介護」に指定されている「介護型」の施設もあります。介護型のサービス付き高齢者向け住宅では、介護付き有料老人ホームと同じく24時間体制での介護サービスが可能です。

一般的なサービス付き高齢者向け住宅は、通常の賃貸住宅と同様に「月額費用」と「敷金」が必要になります。敷金も0円~数十万円程度のことが多く、比較的低額で入居可能です。ただし「介護型」の場合は、有料老人ホームと同じように「月額費用」と「入居一時金」がかかることもあります。

グループホームとは

グループホームは、認知症の高齢者が共同生活を送る施設です。専門スタッフによる支援を受けながら、家事なども分担しておこないます。

グループホームに入居できるのは医師から認知症の診断を受け、かつ要支援2以上の認定を受けている65歳以上の高齢者です。また地域密着型の施設のため、施設と同じ市区町村に住民票があることも入居条件となります。

施設の定員は1ユニット最大9名、1施設につき最大2ユニットと決められています。小規模で家庭的な環境なので、新しい環境が苦手な認知症の方でも生活しやすく、大きなメリットといえるでしょう。

ただしグループホームには看護師配置義務がないため、医療的ケアが必要になった場合など、生活を続けることが困難なケースもあります。またあくまでも共同生活の場であるため、集団生活に支障があると判断されると入居できないこともあり注意が必要です。

費用は「月額料金」以外に数十万円程度の「入居金」がかかる場合があります。

グループホームについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

【専門家が徹底解説】グループホームとは、認知症への対処方法や費用を紹介

ケアハウス(軽費老人ホームC型)とは

ケアハウスは「軽費老人ホーム」の一種になります。身寄りがない、経済状況が厳しいなどの理由で家族と同居できず、独居も難しい高齢者を対象とした公的施設です。自治体による助成を受けて比較的低額で利用できます。

ケアハウスには2種類あり「一般型」は比較的自立度の高い方向け「介護型」は介護を必要とする方が対象です。

「一般型」では、食事サービスや安否確認・生活相談といった生活支援サービスが受けられます。介護サービスが必要な場合は、個別に外部の在宅サービス業者と契約する必要があり、介護度が重くなると暮らし続けることが難しくなるでしょう。

一方「介護型」は65歳以上で要介護1以上の方が入居対象です。介護付き有料老人ホームと同じく「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているので、施設の介護スタッフから24時間体制で介護サービスを受けられます。

ケアハウスについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

ケアハウスとは、費用や特徴、他の施設との違いなど基本情報

特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホームは「特養」とも呼ばれ、要介護3以上の認定を受け自宅で生活することが難しくなった方が入居できる施設です。原則として、終身にわたって介護サービスを受けられます。社会福祉法人や地方自治体が運営する「介護保険施設」の一つで、入居金がかからず月額費用も安いことが特徴です。

以前は4人部屋の「従来型」が大半でしたが、2002年からはすべて個室の「ユニット型」も登場しました。10人程度を1ユニットとして少人数単位で介護することによって、これまで以上にきめ細かな対応が可能です。

特養は低額で入居できる終の棲家として人気が高く、入居までの待機期間は長くなる傾向にあります。数カ月から数年ほどかかることもありますので、入居を急ぐ方は注意が必要です。

特別養護老人ホームについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

特別養護老人ホームとは、入居条件や費用、有料老人ホームとの違いを紹介

介護老人保健施設とは

「老健」とも呼ばれる介護老人保健施設は、要介護1以上の方が在宅復帰を目指してリハビリテーションや医療ケアを受ける施設です。

退院後すぐに家庭に戻るのが難しいという方が入所するケースが多く、介護・看護サービスのほか常駐する医師によるサポートも受けられます。作業療法士・理学療法士といった専門家も常駐しており、本格的なリハビリが魅力です。

あくまでも「在宅復帰」を目的とした施設ですので、入所期間は基本的に3~6カ月程度と限定的です。3カ月ごとに退所できるかどうかの判定を受け、退所可能と判断されたら入所し続けることができなくなります。継続的な入居先を探している場合は、有料老人ホームや特養も視野に入れるべきでしょう。

介護老人保健施設の入所にあたっては、入居金は必要ありません。公的施設のため、月額利用料もおおよそ10~15万円程度と比較的低額です。

介護老人保健施設については、以下の記事で詳しく紹介しています。

介護老人保健施設(老健)とは|費用や法的な特徴、特養との違いを解説

介護医療院(介護療養型医療施設)とは

介護医療院は、医療的ケアが必要な要介護者を対象とした公的施設です。2024年3月末までに廃止することが決まっている「介護療養型医療施設」の転換先として、2018年4月に新設されました。

介護職員はもちろん、医師や看護師、リハビリ職員、薬剤師も配置されており医療機関に近い環境でケアを受けられます。しかし居室は個室ではなく4人部屋や2人部屋などの多床室であることも多いため、プライバシーの確保が難しいということが懸念点です。

入居金はなく月額利用料も比較的低額ですが、新設されたばかりの種類の施設ということもあり施設数が少ないのが現状です。

介護医療院については、以下の記事で詳しく紹介しています。

【専門家監修】介護医療院とは、施設・人員基準などをわかりやすく解説

入居条件から考える老人ホームの探し方

さまざまな種類の介護施設や老人ホームを解説してきましたが、実際に入居先を決めるときはどのように選べばいいのでしょうか。ここからは「要介護度」「費用」「疾患」「サービス」の4つの基準を軸に、おすすめの施設形態をご紹介します。

要介護度別 おすすめの介護施設・老人ホーム

これまでの説明にもあったように、施設によって受け入れ可能な要介護度は異なります。今の要介護度で入居できるかどうかはもちろん、入居後すぐに退去を迫られることがないよう、この先も対応してもらえるかどうかを念頭に置いて検討するようにしましょう。

自立の方向けの施設

身の回りのお世話を基本的に必要としない自立の方におすすめの施設は「サービス付き高齢者向け住宅」です。

外出や外泊などの制限がないところも多く、比較的自由に自分らしく生活できます。施設によっては、充実した共用設備や夫婦で入居できる広い居室などを備えているところもあり、選択肢が幅広いこともメリットの一つです。

また、安否確認や生活相談などを通して暮らしの不安を解消できます。万一、介護サービスが必要になった場合も、外部のサービスを利用することが可能です。

費用面で心配がある場合は、一般型の「ケアハウス」も検討してみましょう。軽費老人ホームの一種なので、比較的低額で利用できます。ただし「介護型」のケアハウスは要介護1以上の方を対象としていますので、間違えないようご注意ください。

要支援1~2の方向けの施設

日常生活に大きな支障はないものの、一部で介助が必要になってくるような要支援1~2の方には「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」が人気です。

介護サービスが必要な場合は、個別に契約することで必要なサービスを利用できます。一律のサービスではないため、介護サービス費用は本当に必要な分だけに抑えられます。生活の自由度も比較的高く、サポートを受けながらもマイペースに過ごせるでしょう。

要介護1~2の方向けの施設

要介護1~2の方は自力での立ち上がりや歩行が難しくなってくるなど、生活のなかでも介助が必要な部分が増えてきます。認知症の症状がある場合は、直前にしていたことや日課がわからなくなり生活に支障をきたすケースも見受けられます。

自立度の高い方が比較的多い「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」でも外部サービスを利用することで介護が受けられるため、多くの施設で入居可能です。ただし利用する介護サービスが多くなると経済的負担も大きくなるため、将来的には他の施設に移ることも少なくありません。

その点「介護付き有料老人ホーム」は要介護度に応じた定額で介護サービスを利用できるのが魅力です。また介護度が上がっても基本的に対応可能なため、住み替えなどの心配なく暮らせます。

一方で、施設によっては1日のスケジュールが決まっているなど「あまり自由がない」と感じられることもあるようです。希望通りの生活ができるかどうかは、見学や相談の際に施設に確認しておきましょう。

要介護1と要介護2については、以下の記事で詳しく紹介しています。

要介護1とは、受けられるサービスや給付金限度額、要介護2との違い

要介護2とは、一人暮らしは可能?また入居できる施設を紹介

要介護3~5の方向けの施設

要介護3~5の方が入居可能な施設は民間施設、公的施設ともに幅広くあります。要介護度が上がると介護サービスの利用回数も増えるため、昼夜を問わずケアを受けられる施設のほうが安心して生活できるでしょう。

民間施設のおすすめは「介護付き有料老人ホーム」です。介護スタッフが24時間常駐しており、人員体制などの基準も満たしているので、一定水準以上のケアが受けられます。さらに、施設によっては看護師も24時間常駐していたり、理学療法士や作業療法士によるリハビリが受けられたりと、より手厚いサポート体制を整えているところもあります。看取り、ターミナルケアに対応している施設も比較的多いので、終の棲家として検討することも可能です。

公的施設の「特別養護老人ホーム」は費用が低額なうえ、介護・医療体制も充実しておりとても人気になっています。しかしその分、待機人数が多くなかなか順番が回ってこないことも多いのが実情です。入居待ちの期間を介護付き有料老人ホームなど他の施設で過ごすケースも多々あります。特養を希望する場合は、それ以外の施設も併せて検討しておくといいでしょう。

要介護3、要介護4、要介護5については、以下の記事で詳しく紹介しています。

要介護3とは?認定基準や支給限度額、入居可能な施設などをご紹介

要介護4とは?受けられるサービスや支給限度額、要介護5との違いをご紹介

要介護5はどんな状態なのか、入院費やサービス内容、生活のスタイルなど

費用タイプ別 おすすめの介護施設・老人ホーム

老人ホームを検討するうえで「費用」は重要なポイントの一つです。毎月支払う「月額費用」はもちろん「入居費用の有無」「入居が長期化した場合の総合的な負担の大きさ」など、お悩みが多い点でもあります。予算に合った施設選びができるよう、3つのパターンで解説します。

パターン1:月額費用を抑えたい

一般的に、民間施設よりも公的施設のほうが費用を抑えられる傾向にあります。これは、公的施設が「介護保険施設」とも呼ばれるように、国の補助金を受けて運営されているためです。そのため、月額費用を抑えたい場合は、まず公的施設を検討するといいでしょう。

ただし、これまでにもご紹介した通り「特別養護老人ホームは要介護3以上」「介護老人保健施設は基本的に長期入所不可」など、施設形態によってさまざまな入居条件が定められています。 人気も高いため、待機期間が比較的長いこともデメリットの一つです。

それでは民間施設が一概に高額かというと、そうとも言い切れません。運営事業者や提供しているサービスも施設によって異なるため、幅広い価格帯の施設が存在します。なかには、公的施設とあまり変わらない金額で利用できるところもあります。「グループホーム」は費用が安い施設が多く、認知症の方にはとても人気です。

また高額な施設はそれ相応のサービスを提供しており、他の施設で付帯サービスを数多く利用するより結果的に安くなるということもあります。「有料老人ホーム」では複数の料金プランが用意されていることが多く、入居一時金を支払って月額費用を抑えるというのも選択肢の一つです。

民間施設を検討する際は初期費用の予算も考慮して、無理なく支払うことのできる範囲で検討しましょう。

パターン2:入居費用をかけたくない

公的施設のうち「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」では、入居費用は発生しません。反対に、それ以外の施設は多かれ少なかれ入居費用がかかる可能性があります。

一口に「入居費用」といっても、その性質はさまざまです。家賃の前払いとして払う「入居一時金」は月々の支払い額を抑えることができる分、数百万円や数千万円など金額が大きくなることもあります。一方「敷金」は、通常の賃貸住宅と同様に家賃の滞納や修繕費などの保証金として支払うものです。金額も数十万円程度のことが多く、かつ償却されなかった敷金は退去時に返還されます。

「サービス付き高齢者向け住宅」「グループホーム」の入居金は基本的に敷金なので、有料老人ホームに比べると低額であるケースが多数です。ただし、有料老人ホームでも「入居一時金0円プラン」など入居時の負担が少ない料金プランが設定されていることもあり、施設の種類だけでは、なかなか判断できません。

入居費用がない「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」以外の施設は、金額と合わせて「何のために支払うものなのか」という性質も確認することが必要です。「戻ってくると思っていたお金が戻ってこなかった」というトラブルを防ぐためにも施設ごとに確認し、しっかりと理解してから契約しましょう。

パターン3:長期的な入居で、結果的に負担が少なくなるようにしたい

「月額費用」「入居費用」という区分ではなく、最終的にトータルで支払う金額を抑えたいという場合は、どうすべきでしょうか。

パターン1・パターン2で見てきたように「公的施設」は月額費用・入居費用のどちらも比較的低額で済みます。そのため、費用面では最も負担が少ない選択肢といえるでしょう。しかし、待機期間の長い公的施設のみを候補にしていると、順番が回ってくる前に在宅介護の限界がきてしまう恐れもあります。検討段階では、できるだけ他の種類の施設も候補に加えておきましょう。

それでは「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」などで複数の料金プランがあるときは、どう選ぶのがいいのでしょうか。

5年以上などの長期的な入居を考えている場合は、入居一時金を払って月額費用を抑えたほうが、支払額は結果的に少なくなるでしょう。入居一時金は一定期間の費用を前もって支払っておくことで、月々の費用を抑える仕組みです。あらかじめ定められた期間以降も、基本的に月額費用は抑えられた金額のままで済むので、長期入居の人に向いているといえます。

反対に一時的な入居を考えている場合は、初期費用をできるだけ抑えられるプランのほうが出費が少なくて済むでしょう。

医療体制別 おすすめの介護施設・老人ホーム

介護施設・老人ホームを検討するときには、持病や必要な医療的ケアに対応できるかどうかの確認も必要です。施設によっては看護スタッフがいなかったり、医療的ケアが必要になると退去を迫られたりするところもあります。いざというときに焦ることのないよう、代表的な3パターンをもとに解説しましょう。

パターン1:認知症

認知症であることそのものを理由に入居を断られることは、実はそれほど多くありません。しかし症状によっては共同生活が難しいと判断されて、入居できないケースもあります。主に暴言・暴力など、一緒に生活する入居者に危害を及ぼすような重度の症状がある場合は、特に注意が必要です。

認知症専門の施設としては「グループホーム」が挙げられます。あくまでも共同生活の場という位置づけのため、医療体制・介護体制はあまり手厚くはありません。要介護度が上がったり医療的ケアが必要になると、施設を移らざるを得ない可能性もあります。

グループホームと同様にユニットケアを取り入れている「特別養護老人ホーム」も、認知症に幅広く対応しています。要介護3以上であることが入居条件ですので、当てはまる場合は有力な候補となるでしょう。

「介護付き有料老人ホーム」は介護スタッフが常駐し24時間体制でケアを受けられるので、見守りが必要な認知症の人にとっても安心できる環境が整っています。専門スタッフを配置したり、認知療法に取り組んだりと認知症ケアに注力している施設も数多くあります。また要介護度などの入居条件も比較的幅広く、長期にわたって生活する場所としても有力な施設です。

認知症については、以下の記事で詳しく紹介しています。

【専門家が監修】認知症とは、症状や予防法、検査方法などを解説

パターン2:日常的な医療行為が必要

インスリン注射や喀痰吸引、人工呼吸器の管理などの医療的ケアは、基本的に介護スタッフは担当できません(※)。そのため、看護スタッフが常駐しているかどうかが大きな判断材料になります。また、処置が必要な時間帯にも注意が必要です。夜間や早朝のケアが必要な場合、日中のみ看護スタッフが常駐している施設では対応できません。「看護スタッフの配置状況」に加えて、「勤務時間」も考慮しましょう。

※喀痰吸引や経管栄養は、所定の研修や手続きをすることで、介護スタッフがすることもできます。

医療的ケアが必要な時間帯が日中に限られる場合は「介護付き有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」がおすすめです。これらの施設には看護スタッフの配置義務があり、日中は必ず常駐しています。

一方、夜間のケアに対応できる施設は限られます。「看護スタッフ24時間常駐」かどうかを一つの目安にすると良いでしょう。

「介護医療院」は医療サービスが必要な人を対象としている施設ですので、医療機関に近い環境でのケアが可能です。また「介護付き有料老人ホーム」でも、看護スタッフが24時間常駐している施設もあります。

ただし、すでに医療的ケアを必要とする人が多く入居しているなど、そのときの状況によっても受け入れの判断は変わってきます。看護スタッフがいれば必ず入居可能というわけではありませんので、施設を検討している段階で病状や必要なケアをあらかじめ伝えて相談するようにしましょう。

パターン3:看取り・終末期ケア

「終の棲家」として入居先を検討している場合もあるでしょう。看取りに対応している施設はいくつか種類がありますが、夜間急変時の対応などを考慮すると看護スタッフ24時間常駐の施設が安心です。

「介護医療院」では、看護師のほかに医師や薬剤師も配置されています。「介護付き有料老人ホーム」も協力医療機関との連携が義務付けられており、なかでも看護スタッフが24時間常駐している施設は、特に密接な連携体制を築いていることが多いものです。クリニック併設など基準以上の医療体制を備えている施設もあり、もしものときも迅速な対応が期待できます。

介護施設に入居するまでの流れ

施設の種類や選び方が分かったところで、実際に介護施設に入居するまでの流れを説明します。

資料請求から入居までは約1カ月以上

自分の条件に合った施設を見つけても、すぐに入居の契約ができるわけではありません。資料請求・見学予約といった最初のアクションから実際の入居までは、1~2カ月程度かかることが一般的です。

1. 資料請求・見学予約

2. 施設見学・相談

3. 仮押さえ

4. 面談

5. 審査

6. 体験入居

7. 契約

8. 入居

1. 資料請求・見学予約

初めに、希望する条件に合った施設を探しましょう。「費用」「要介護度」「必要なサービス」のほか「エリア」なども大切な条件です。

気になる施設を見つけたら、必要に応じて資料を請求します。ただし最近はインターネットのホームページなどでも十分な情報を得られることがありますので、資料請求は必ずしも必要ではありません。施設に行ってからでも資料はもらえるため、お急ぎの方は特に、まず見学の予約を取るといいでしょう。

なお、予約なしに見学に行くと、施設側も人手が足りず対応できないことがあります。見学前には必ず予約を入れるようにしましょう。

2. 施設見学・相談

実際に施設を見学して環境や設備、サービス内容、スタッフの対応などを確認します。毎日生活する場として違和感がないかを確かめる、重要なステップです。資料だけでは分からない雰囲気も肌で感じられるので、大きな判断材料となるでしょう。この時点で気になっていることがあれば、早い段階で正直に相談することが大切です。

多くの場合、入居する本人が見学に行く必要はありません。まずは家族の目でしっかり確かめて検討から外れないようであれば、申し込みや本人面談に進みましょう。

3. 仮押さえ

入居候補となる施設が決まったら、仮押さえの申し込みをしましょう。

実際に入居決定するまでの間には「健康診断書」「診療情報提供書」などの必要書類を準備しなければならず、数週間程度を要します。「仮押さえしていなかったために、その間に空室が埋まってしまった」ということも少なくありません。

入居を前向きに検討できる施設であれば、仮押さえしておくと安心でしょう。

4. 面談

契約の前に、入居する本人との面談が設けられます。実際に直接会うことで、施設で本当に受け入れることができるかどうかを判断するためのものです。

病院や自宅での面談に対応している施設も多数ありますので、移動が難しい場合などは事前に相談してみましょう。

5. 審査

面談や提出書類を通して、入居を受け入れるかどうか施設側で審査されます。

6. 体験入居

入居前に体験入居をするケースも多くあります。絶対に必要なものではありませんが、最終決定する前にサービス・食事などを実際に体験できる貴重な機会と言えるでしょう。

7. 契約

これまでのステップで問題がなければ、入居契約を結びます。

契約にあたっては「入居契約書」「重要事項説明書」などの書類に基づき、契約内容の詳細の説明を受けます。後からトラブルになることのないよう、少しでも疑問に思うことがあれば契約前に必ず確認しましょう。

特に費用面では、付帯サービスで想定していた以上の支払いが発生するなどの問題が起こりがちです。毎月支払うべき金額、利用状況に応じて発生する費用などをしっかり確認し、分からないことを残さないようにしましょう。

8. 入居

無事に契約を結んだら、いよいよ入居です。

施設によって設備や必要な所持品なども異なりますので、事前に確認して準備しておきましょう。

「介護のほんね」では、施設選びから入居までをサポート

介護のほんねでは見学日程の調整や予約はもちろん、施設選びのご相談も承っています。大切なご家族の入居先探しは、悩みが尽きないものです。「どの施設を選べばいいか、自分だけでは決めきれない」「施設のことをもっと詳しく知りたい」という方も、ぜひご相談ください。入居相談員が、ご希望に合う施設のご紹介から見学・入居までしっかりサポートいたします。入居相談はすべて無料ですので、お気軽にお電話ください。

この記事のまとめ

  • 介護施設にはニーズに応じてさまざまな施設がある
  • 施設ごとに入居費用と月額費用に差がある
  • 資料請求から入居までは1~2カ月を覚悟しておいたほうがいい