コース立方体組み合わせテストとは|IQのチェック方法など
コース立方体組み合わせテストという検査を聞いたことはあるでしょうか? 立方体を使った非言語性の知能検査は、高齢者や聴覚障害や発語に障害のある人などに適用され、リハビリテーションの現場で利用されています。
テスト方法も簡単であるため、回答者にかかる負担も少なく、比較的軽めの知能検査とされます。両親に認知症の可能性がある場合には、コース立方体組み合わせテストを利用することも考えてみると良いでしょう。今回は、コース立方体組み合わせテストとは何か、やり方やIQのチェック方法などをご紹介します。
大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。
コース立方体組み合わせテストとは
コース立方体組み合わせテストとは、立方体を使って17問の模様を作る非言語性の知能検査です。非言語とは、文字の通り言語によらないコミュニケーションを指し、物事の深い理解や算数能力といった「話す」・「文字を書く」以外の領域を意味します。
分析と総合の能力を測定する速度検査であるコース立方体組み合わせテストは、5年間の歳月をかけて日本標準化されました。高齢者の年代別の粗点の平均とSD(標準偏差)、およびIQの平均とSDの資料があるため、得点からIQや精神年齢も算出できます。
テスト内容は、提示された見本を見て立方体を組み合わせていき、指定された図柄を作るといったものです。
所要時間は約40分です。テストは知的機能状態の評価、構成障害・視空間障害の評価を目的に実施されます。
所要時間内に何番目の問題までできるかを測定し、知能指数を算出します。問題をクリアする課題解決能力に加えて、自分自身と向き合う力も必要で、分析力や比較力、思考力、識別力などが試されるテストです。
高齢者や発語障害のある人に利用されている
言語性の要因がテストに含まれないため、高齢者をはじめ聴覚や発語障害がある人、脳障害の後遺症患者にも実施できます。多くの病院や施設で導入されているテストで、全国各地のリハビリテーション現場でも利用されており、認知機能の障害に関するプログラムとして評価を得ています。
対象年齢は幅広く、6歳以降の子どもにも実施可能です。
軽度認知機能障害(MCI)のスクリーニング検査にも適用される
コース立方体組み合わせテストは、まだ認知症の症状が出ていない人に対する、軽度認知機能障害(MCI)の検査にも利用されています。医療や介護分野で導入されており、近年では神経心理学の分野にも参入しました。
軽度認知機能障害(MCI)とは、認知症の一歩手前とされる状態です。正常な状態と認知症の中間の症状と言えば、イメージしやすいでしょう。本人や家族から「忘れっぽくなった」など認知機能の訴えがあるものの、普段の生活を問題なく送れる状態を軽度認知機能障害(MCI)と呼びます。
軽度認知機能障害(MCI)は認知症ではありませんが、状態を軽く見て放置していると、症状が悪化し認知症へと発展する可能性があります。高齢社会を迎えた日本では、両親や自分自身の介護の問題もあり、認知症に対する人々の関心が高まってきました。「MCIかもしれない」と思った時は、軽度認知機能障害(MCI)について理解を深めることで対策も講じやすくなるでしょう。
MCIに気づく方法の1つが、コース立方体組み合わせテストです。スクリーニング検査を受けることは認知症の早期発見に効果があり、今後の進行予防にもつながります。実際、軽度認知機能障害(MCI)は早期発見や対策が重要で、早い段階でMCIをケアできれば認知症の発症を遅らせられる可能性があります。
コース立方体組み合わせテストのメリット・デメリット
コース立方体組み合わせテストは、高齢者の認知症を調べるために有効とされます。ここでは、コース立方体組み合わせテストのメリット・デメリットについてご紹介します。
メリット
コース立方体組み合わせテストのメリットは、数多くあります。検査対象となる年齢も幅広く、簡単なテストで知能が測定できます。
立方体が4色の塗り分けで、回答者も興味を持ちやすい
立方体の色が4色に分けられているため、回答者も興味を持ってテストに取り組みやすくなっています。テストへの興味関心が薄い場合、測定不能となることがありますが、コース立方体組み合わせテストではその心配がありません。
手先の器用さに影響されない
テストは、積み木を組み合わせるだけの簡単な作業です。細かい作業が得意か否かに影響しないため、手先の器用さに関係なく幅広い人がテストを受けられます。説明されたことを真似てやればできる、シンプルな作業です。
知能低下が著しい人にも負担がかからない
コース立方体組み合わせテストは、本番中に2回ミスしてしまうと検査終了となるため、知能低下が著しい人ほど早く終わります。テスト内容も簡単で、時間も短く済む点はコース立方体組み合わせテストのメリットでしょう。回答者への負担が軽く、テスト時に苦痛を与えません。
回答の記入方法が分かりやすい
立方体の組み合わせによるテストでは、回答を記入していきます。問題図版が示されているため、認知症の高齢者でもスムーズに記入できます。
デメリット
コース立方体組み合わせテストにも、デメリットがあります。ご家族が認知症かもしれないとのことで検査を検討中の人は、デメリットについての把握も必要です。
視覚障害者や両腕に障害がある人には適用できない
コース立方体組み合わせテストは、視覚障害者や両腕に障害がある人には適用されません。テストでは4色に色分けされた立方体を並べて、正解の模様図を答えるためです。コース立方体組み合わせテストは作業も簡単なうえ、短時間で検査が終了します。
しかし、そのメリットとは引き換えにデメリットがあることも理解しておきましょう。
コース立方体組み合わせテストでIQが分かる
コース立方体組み合わせテストでは採点結果とともに、検査者のIQも分かります。IQとは、知能水準あるいは発達程度を測定した数値です。知能のおおまかな判断基準とされると同時に、知的障害の診断などに利用されます。
コース立方体組み合わせテストで分かるIQは、問題の正解数が多いほど高い値に、少ないほど低い値となります。一般的なIQの平均値は100です。85から115の間に約68%の人が含まれ、70から130の間に約95%が含まれるとされるので、目安にすると良いでしょう。
コース立方体組み合わせテストでは、得点に対して34~123までのIQが測定できます。例えばテストの結果、仮に得点が0点であればIQの数値は0です。得点が1点の場合には、IQの数値は34となります。以降、得点2点であればIQ37、得点3点であればIQ39と上がっていきます。
しかし、IQの上昇値は得点とは異なり、得点1点につき上昇値にバラつきがあるのが特徴です。例えば得点80点から81点では、IQ値も89から90へと上昇しています。一方で、得点81点から82点におけるIQ値は、どちらも90のままです。
コース立方体組み合わせテストでIQが100となるのは、得点が102点もしくは103点となった時です。それ以降の得点ではIQ値も上昇していき、131点を獲得するとテスト最大値であるIQ123の結果になります。
コース立方体組み合わせテストは高齢者の認知機能のチェックにも役立つツール
知能検査であるコース立方体組み合わせテストは、病院やリハビリテーション施設で応用されています。少子高齢化が進む日本においては認知症患者の数も増える傾向にあるため、なくてはならない検査です。
テストは色分けされた立方体を組み合わせるだけと、簡単な作業です。本番前には練習があり、一度見れば感覚でもテストができるでしょう。手先の器用さは関係なく、認知症や知能低下が著しい人ほど短時間でテストは終了します。
回答者にかかる負担が軽減されているため、ストレスも感じにくい点はメリットです。軽度認知機能障害(MCI)の検査にも利用されており、認知症の早期発見や対策にも役立っています。採点結果ではIQや精神年齢も分かるので、参考にすると良いでしょう。
家族に認知症の疑いがあった時にコース立方体組み合わせテストは、頼りになるチェックツールです。
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この記事のまとめ
- 特別な訓練が必要なく、簡単に検査できる
- 採点結果ではIQも測定可能
- 認知症の早期発見や対策につながる
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