高額介護サービス費とは|わかりやすい制度の概要・確定申告の手続きなど

介護保険が適用されるサービスを利用すると、利用料が所得に応じて1~3割負担に抑えられます。しかし、多くの介護サービスを利用しなければならず、自己負担額が大きくなって介護保険ではカバーできない場合もあるでしょう。実は、1カ月のサービス利用料が一定の自己負担額を超えている場合、高額介護サービス費制度による払い戻しで負担を軽減できる可能性があります。

今回は高額介護サービス費とはどんな制度なのか、負担の上限額や手続き方法などについて解説していきます。高額な介護サービス費に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

高額介護サービス費とは|わかりやすい制度の概要・確定申告の手続きなど
岡田慎一郎

この記事の監修

岡田慎一郎

理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員

身体障害者、高齢者施設に勤務。古武術の身体運用を参考にした「古武術介護」が反響を呼ぶ。近年は介護、医療、リハビリ、消防・救命・育児支援・教育・スポーツなど、幅広い分野で身体を通した発想と実践を展開させ、多岐にわたる活動を国内外で行う。『あらゆる状況に対応できる シンプル身体介助術』(医学書院)など著書、DVD、通信講座など多数。

高額介護サービス費とは

高額介護サービス費は、1カ月あたりの公的介護保険の自己負担額が高額になる場合、所得に応じた上限額の超過分を払い戻してもらえる制度です。介護保険により、基本的に介護サービスを利用する際に支払う自己負担額は1割で済みます。しかし、一定額の所得がある場合は2割になり、さらに現役並みの所得を持つ人は3割負担となってしまいます。

要介護状態が進行し、家族の支えも難しくなり、いろいろな介護サービスを利用しなければならない場合、自己負担額の負担も大きくなります。特に高所得世帯で2割や3割負担の場合は、高額な料金を支払わなければならず負担は大きくなりやすいです。そんな時、自己負担部分をさらに軽減してくれる制度が高額介護サービス費になります。

負担上限額について

高額介護サービス費制度では、所得によって負担上限額が次の4段階に分けられています。

区分 月の負担上限
第1段階:
生活保護を受給している人
個人:1万5,000円
第2段階:
世帯全員の市区町村民税非課税かつ、前年の合計所得金額と公的年金の収入額の合計が年間80万円以下の人
個人:1万5,000円
世帯:2万4,600円
第3段階:
世帯全員が市区町村民税非課税で、第1段階と第2段階に該当しない人
世帯:2万4,600円
第4段階:
世帯内で市区町村税を課税している人がいる
世帯:4万4,400円
参考:厚生労働省「サービスにかかる利用料

負担上限の個人は、介護サービスを利用する本人の負担上限額を指します。そして、世帯は住民基本台帳上の世帯員のうち、介護サービスを利用するすべての人の負担額の合計上限です。

また、第5段階の現役並みの所得者は、同世帯に課税所得145万円以上の65歳以上の人が該当します。しかし、同世帯の65歳以上の対象者が複数人いる場合、合計の年収が520万円未満、単身では年収383万円未満だと第4段階とみなされるので注意してください。

第4段階の上限額は元々3万7,200円でしたが、2017年8月から今の金額に引き上げられました。それに伴い、すでに長期的に介護サービスを利用している人に考慮し、3年間の激変緩和措置が実施されました。

措置の内容は、同世帯の65歳以上の人すべての自己負担割合が1割、現役並みの所得世帯に該当しない条件に当てはまれば、8月から7月までの年間上限が44万6,400円となるものです。ちなみに、3年間の措置だったので、2020年7月末で激変緩和措置は廃止されています。

払い戻しの対象とならないもの

高額介護サービス費の対象となる部分は、公的介護保険の1~3割負担の部分です。そのため、介護に関連すれば、なんでも払い戻しの対象になるわけではありません。対象外の費用とは、具体的に次のものが挙げられます。

  • ショートステイでの滞在費や施設生活での居住費・食費
  • 理美容費など日常生活に関する実費
  • 特定福祉用具の購入費や住宅リフォームの負担
  • 生活援助型の配色サービスの負担 など

もともと、介護保険でも対象外の費用は高額介護サービス費でも該当しないので注意してください。

高額介護サービス費の計算方法

介護サービスの利用料金が払い戻されるのは嬉しいメリットですが、具体的にどれだけ返ってくるのか気になるところでしょう。高額介護サービスの払い戻し額は、「自己負担額-負担上限額」で計算できます。ここで払い戻し額の計算方法とシミュレーションを見てみましょう。

払い戻し額の事例

高額介護サービスの払い戻し額は、利用者が単身か複数人かによって計算方法は少し変わってきます。

介護サービスを利用する人が世帯に1人いる場合

世帯に介護サービスを利用している人1人がいれば「自己負担額-負担上限額」の計算式で払い戻し額をシミュレーションできます。

例えば、第2段階の人(個人:1万5,000円)で、1カ月の自己負担額が3万円だとします。この場合、自己負担額から上限額を引くと1万5,000円が返ってくることになります。

ただし、払い戻しは自己負担額が上限額を超える場合に限られます。例えば、上限4万4,400円でありながら、1カ月の自己負担額が3万円なら負担上限額よりも下回るので、高額介護サービス費は適用されません。

介護サービスを利用する人が世帯に複数人いる場合

世帯に介護サービスの利用者が2人以上いる場合は、全員分の利用料を足してから世帯の負担上限を超えた分を計算していきます。そして、それぞれの口座に支給額が利用料に応じて分けられて払い戻されます。

個人の払い戻し額は「(利用者の合計負担額-世帯上限額)×個人の負担額÷利用者の合計負担額」の計算式で導くことが可能です。

例えば、負担上限2万4,600円の夫婦で介護サービスを利用しており、個人の負担額が夫2万5,000円、妻2万円だとします。この場合、世帯の合計負担額は合計4万5,000円です。計算すると夫への払い戻し額は1万1,333円、妻への払い戻し額は9,066円となります。

このように払い戻し額は比較的簡単に求めることが可能です。すでに介護サービスを利用しているのであれば、1カ月あたりの自己負担額を把握し、シミュレーションしてみてください。

手続きの方法と流れ【いつ払い戻しがあるのか】

実際に払い戻し額を計算してみて、負担上限額よりも自己負担額が大きければ高額介護サービス費の支給を申請してみましょう。しかし、どのように手続きをすればいいのか、またいつ払い戻しがあるのか分からない人のために、申請の流れや支給時期を解説します。

対象者には3カ月後に市区町村から申請書を郵送

高額介護サービス費制度の対象となった場合、介護サービスの利用から3カ月後に市区町村から払い戻しの通知と申請書が郵送されます。そのため、申請書に必要事項の記入と押印して、お住まいの自治体の窓口に提出してください。

なお、高額介護サービス費の申請には期限があります。期限は介護サービスを利用した翌月を初日に2年以内です。この期限を過ぎてしまうと時効となるので、申請できなくなります。さらに、自治体が時効間近を知らせることはないので、申請書が届いたら早めに手続きしてください。

高額介護サービス費の申請手続きは初回だけです。一度申請すれば、後は継続的に払い戻しが行われるので、再度申請は必要ありません。

申請書の提出方法

申請書を提出する窓口は、お住まいの自治体の介護保険課や高齢障害支援課などになります。申請書と提出に必要なものを持参し、窓口で手続きを進めてください。提出する際に必要なものは、主に次の通りです。

  • 申請者本人の名義の通帳写し(金融機関名・支店・名義人・口座番号が記載されたページ)
  • 個人番号カードや通知カード、住民票などマイナンバーが記載された書類
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど、顔写真がない時は医療保険の被保険者証や年金手帳など2点以上)
  • 申請者本人の印鑑

本人が申請できない場合は、相続人など代理人を通じて申請できます。その場合は、委任状や代理人の身分が証明できる書類が必要です。また、払い戻しに指定する口座は一般的に本人口座ですが、「口座振込に関する委任」といった欄に記載し、権限委任の書類を提出すれば本人以外の口座も指定可能です。

提出先の窓口や当日必要なものなどは自治体ごとに違います。そのため、必ず自治体に問い合わせるか、ホームページを見て確認してください。自治体によっては郵送での申請も受け付けています。窓口に行く時間がない時は、郵送を活用しましょう。

申請完了後、2カ月ほどで振り込み

高額介護サービスを受けるためには、払い戻しの条件に当てはまっていなければならないので、申請すると支給の審査があります。その審査を通過すると、約2カ月後に払い戻しがあります。振込の予定日は「支給決定通知」が郵送で届くので、そこで詳細を確認してください。

医療費控除を受ける時の注意点

介護サービスの利用料は確定申告をすることで、医療費控除を受けられる可能性があります。医療費控除の対象となるサービスは指定の特別養護老人ホームや指定地域密着型介護老人福祉施設、訪問介護、訪問リハビリテーションなどです。

高額介護サービス費で払い戻しを受けている場合は、注意点があります。確定申告で医療費控除を申請する際は、払い戻しを受けた金額を支払った金額から差し引いて申告しなければなりません。高額介護サービスだけではなく、民間の介護保険などでも補填があれば差し引いた支払い金額での申告が必要です。

高額介護サービスの通知を見落とさないよう気をつける

介護サービスの料金は介護保険で軽減されるとは言え、1カ月の自己負担額は人それぞれです。特に高水準の所得がある人は負担割合が2~3割になってしまうので、ますます負担は大きくなるでしょう。もし高額介護サービス費の対象者として自治体から通知があれば、申請して負担を軽くしてみてください。

高額介護サービス費を申請すれば約2カ月後に払い戻しがあり、一度手続きをすれば以降申請は不要である点がメリットです。ただし、申請は介護サービスの利用から2年間なので、時効を迎えないように気を付けてください。

この記事のまとめ

  • 高額介護サービス費は1カ月の介護サービス料金が高額な人を対象にした払い戻し制度
  • 一度申請すれば再度申請は不要で、条件を満たせば継続的に払い戻しがある
  • 払い戻し額は「自己負担額-負担上限額」で算出できる

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