介護老人保健施設の費用|相場・軽減する方法など解説

通称「老健」とも呼ばれる介護老人保健施設は、介護保険が適用される介護施設です。在宅復帰を目的として、介護やリハビリ、医療ケアを受けられます。

介護老人保健施設は公的施設のため、費用も比較的低額に抑えられることが特徴です。入所を検討している方は、初期費用や月額費用がいくらくらいかかるのかが気になるでしょう。

そこで今回は、介護老人保健施設の費用の仕組み目安となる金額を解説します。後半では費用の負担を軽減する仕組みについても紹介しますので、入所をお考えの方はぜひ参考にしてください。

介護老人保健施設の費用|相場・軽減する方法など解説

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、認知症ケア上級専門士、認知症介護実践リーダー、米国アクティビティディレクター、他。介護職として働く傍ら、レクや認知症、コミュニケーションに関する研修講師も務める。2014年米国アクティビティディレクター資格取得。レクリエーションを通じ、多くの高齢者に「人と触れ合う喜び」を伝え、「介護技術としてのレクリエーション援助」を広める一方、介護情報誌やメディアにおいて執筆等を手掛けている。『認知症の人もいっしょにできる高齢者レクリエーション 』(講談社)など著書多数。

介護老人保健施設とは

介護老人保健施設、通称・老健はリハビリや医療ケアを通じて在宅復帰を目指す介護施設です。介護保険法によって定められた公的施設で、いわゆる「介護保険施設」に該当します。

介護老人保健施設は、介護だけでなくさまざまな医療ケアやリハビリに対応していることが特徴です。医師や看護師が常勤しているほか、リハビリの専門職である理学療法士や作業療法士なども配置されています。

ただし、長期的に生活することを目的としていないため、入所期間は基本的には3カ月~1年程度と限定的です。「退院したが、そのまま自宅に戻るのは難しい」というケースで、多く利用されています。

介護老人保健施設の入所条件

介護老人保健施設の入所条件は「65歳以上で要介護1以上の認定を受けている方」です。40~64歳であっても、国が定める特定疾病によって要介護認定を受けている方は入所できます。

施設によっては「病状が安定していること」「感染症にかかっていないこと」など、独自の条件を設けているケースもあります。在宅復帰を目的としている施設ですので、リハビリや医療ケアが不要で自宅で生活できる方は入所の対象外です。

またいったん入所した後も、3カ月ごとに心身の状態を判定されます。「自宅で生活できる状態」と判定されたら、退所しなければなりません。自宅に戻るのか、また別の施設に入居するのかなど、退所した後の生活をあらかじめ想定しておくことが大切です。

介護老人保健施設の費用の特徴について

介護老人保健施設は、介護保険が適用される公的施設です。そのため民間の施設に比べると、費用は低額になります。何に対して費用がかかるのか、まずは料金の内訳を理解しましょう。

初期費用は無料

公的施設の特徴として、入居一時金などの初期費用は一切かかりません。発生する費用は、毎月支払う「月額費用」のみです。月額費用には、居住費や食費などの生活費と、要介護度に応じた介護サービス費があります。

月額費用は居室タイプ別に違う

介護老人保健施設の月額費用は一律ではありません。居室のタイプによって、居住費や介護サービス費が異なります。

居室は「多床室」「従来型個室」「ユニット型個室的多床室」「ユニット型個室」の4タイプです。居住費は「多床室」が最も低額で「ユニット型個室」が最高額となります。当然、金額だけでなく広さや間取りが違いますので、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。

多床室

2~4人の大部屋で、ベッドとベッドの間をカーテンで仕切っているケースが大半です。1人当たりの面積は8㎡以上と決まっています。

従来型個室

居室同士が壁で仕切られており、1人につき1部屋が用意されます。居室面積は10.65㎡以上です。

ユニット型個室的多床室

入所者は9人ずつ「ユニット」というグループに分けられ、ユニットごとに共同で生活します。トイレや浴室といった共用設備もユニットごとに設けられていることが特徴です。

ユニット型個室的多床室は大部屋をパーテーションなどで仕切っており、完全な個室ではありません。1人当たりの面積は、多床室と同じ8㎡以上です。

ユニット型個室

ユニット型個室的多床室と同様に、ユニットごとに生活します。ただし、居室は1人につき1部屋の個室です。面積も10.65㎡以上が基準となります。

所得によって費用が異なる「特定入所者介護サービス費」

介護保険には「特定入所者介護サービス費」という制度があります。これは所得に応じて、介護保険施設の居住費と食費の負担限度額を定めたものです。限度額は、第1段階から第4段階の4区分に分けられます。

介護老人保健施設も介護保険施設の一種ですので、負担限度額の適用が可能です。ただし、特定入所者介護サービス費制度を活用するためには申請が必要になります。詳細については後半の「介護老人保健施設の費用を軽減できる場合」で紹介しますので、参考にしてください。

介護老人保健施設の居室タイプ別の費用

それでは実際に介護老人保健施設に入所した場合の費用について見ていきましょう。

項目別の費用

介護老人保健施設の入居費用は「居住費」や「食費」などに分かれています。項目ごとに、月額料金の目安を整理しましょう。

居住費

居住費は「居室タイプ」と「負担限度額」によって決まります。厚生労働省が定めている日額に基づき、30日間で計算した料金は次の表のとおりです。なお、負担限度額の第4段階には費用の軽減がありません。そのため第4段階は基準の額と同じになります。

居住費の月額料金
居室タイプ 負担限度額
第1段階 第2段階 第3段階 第4段階
(基準費用額)
多床室 0円 1万1,100円 1万1,100円 1万1,310円
従来型個室 1万4,700円 1万4,700円 3万3,930円 5万0,040円
ユニット型個室的多床室 1万4,700円 1万4,700円 3万3,930円 5万0,040円
ユニット型個室 2万4,600円 2万4,600円 3万9,300円 6万0,180円
※1カ月を30日として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

食費

食費も居住費と同様に、1日当たりの金額が決まっています。居室タイプによる差はなく、負担限度額の段階によって金額が異なる仕組みです。

食費の月額料金
負担限度額
第1段階 第2段階 第3段階 第4段階
(基準費用額)
食費 9,000円 1万1,700円 1万9,500円 4万1,760円
※1カ月を30日として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

介護サービス費

介護老人保健施設で受ける介護サービスの費用も、日額で決まっています。介護保険が適用されるため、自己負担は基本的に1割です。ただし所得によっては2割、もしくは3割負担となりますので、ご自身の負担割合を確認しましょう。

介護サービス費は「居室タイプ」と「要介護度」に応じた金額です。居室タイプは先に紹介した4種類がさらに「基本型」「在宅強化型」に分けられ、全部で8パターンとなります。「在宅復帰率が50%超」「ベッドの回転率が10%以上」といった条件を満たす場合は「在宅強化型」の施設です。それ以外は「基本型」となります。

自己負担が1割と仮定して1カ月あたり30日で計算した介護サービス費は、以下のとおりです。お住まいの地域によっては基準となる金額が上下することもありますので、参考としてご覧ください。

介護サービス費の月額料金
居室タイプ 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
多床室 基本型 2万3,640円 2万5,080円 2万6,940円 2万8,470円 3万0,090円
在宅強化型 2万5,080円 2万7,300円 2万9,220円 3万0,900円 3万2,550円
従来型個室 基本型 2万1,420円 2万2,770円 2万4,630円 2万6,220円 2万7,750円
在宅強化型 2万2,680円 2万4,840円 2万6,700円 2万8,380円 3万0,090円
ユニット型個室的多床室 基本型 2万3,880円 2万5,230円 2万7,090円 2万8,680円 3万0,270円
在宅強化型 2万5,230円 2万7,450円 2万9,340円 3万1,050円 3万2,700円
ユニット型個室 基本型 2万3,880円 2万5,230円 2万7,090円 2万8,680円 3万0,270円
在宅強化型 2万5,230円 2万7,450円 2万9,340円 3万1,050円 3万2,700円
※「自己負担額1割」「1単位=10円」で計算
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造(R3.1.18)

その他の費用

洗濯代や理美容費、テレビ台など、別途料金がかかる場合があります。料金が発生する項目や金額は施設によって異なりますので、施設ごとに確認してください。

なおオムツ代は介護サービス費に含まれるため、費用が発生することはありません。

居室タイプ別に費用をシミュレーション

上記のとおり「居住費」と「介護サービス費」は、居室タイプや負担限度額の区分、要介護度などによって違います。そのため複雑な仕組みとなっており、実際の料金が分かりづらいこともあるでしょう。

そこでここからは、居室タイプ別に「居住費」「食費」「介護サービス費」の月額料金を計算して紹介します。負担限度額は第4段階、つまり軽減されない場合の金額で計算したものです。ご自身が第1段階~第3段階に当てはまる方は、前の項目の表を参考に「居住費」と「食費」の金額を変えて計算してください。

また、介護サービス費は「1単位=10円」「自己負担1割」で算出しています。お住まいの地域や自己負担割合によって金額が変わりますので、注意してください。

多床室/基本型

項目 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居住費 1万1,310円
食費 4万1,760円
介護サービス費 2万3,640円 2万5,080円 2万6,940円 2万8,470円 3万0,090円
月額料金 7万6,710円 7万8,150円 8万0,010円 8万1,540円 8万3,160円
※「居住費」「食費」は基準費用額
※「1単位=10円」「自己負担1割」「1カ月=30日」として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

多床室/在宅強化型

項目 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居住費 1万1,310円
食費 4万1,760円
介護サービス費 2万5,080円 2万7,300円 2万9,220円 3万0,900円 3万2,550円
月額料金 7万8,150円 8万0,370円 8万2,290円 8万3,970円 8万5,620円
※「居住費」「食費」は基準費用額
※「1単位=10円」「自己負担1割」「1カ月=30日」として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

従来型個室/基本型

項目 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居住費 5万0,040円
食費 4万1,760円
介護サービス費 2万1,420円 2万2,770円 2万4,630円 2万6,220円 2万7,750円
月額料金 11万3,220円 11万4,570円 11万6,430円 11万8,020円 11万9,550円
※「居住費」「食費」は基準費用額
※「1単位=10円」「自己負担1割」「1カ月=30日」として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

従来型個室/在宅強化型

項目 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居住費 5万0,040円
食費 4万1,760円
介護サービス費 2万2,680円 2万4,840円 2万6,700円 2万8,380円 3万0,090円
月額料金 11万4,480円 11万6,640円 11万8,500円 12万0,180円 12万1,890円
※「居住費」「食費」は基準費用額
※「1単位=10円」「自己負担1割」「1カ月=30日」として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

ユニット型個室的多床室/基本型

項目 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居住費 5万0,040円
食費 4万1,760円
介護サービス費 2万3,880円 2万5,230円 2万7,090円 2万8,680円 3万0,270円
月額料金 11万5,680円 11万7,030円 11万8,890円 12万0,480円 12万2,070円
※「居住費」「食費」は基準費用額
※「1単位=10円」「自己負担1割」「1カ月=30日」として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

ユニット型個室的多床室/在宅強化型

項目 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居住費 5万0,040円
食費 4万1,760円
介護サービス費 2万5,230円 2万7,450円 2万9,340円 3万1,050円 3万2,700円
月額料金 11万7,030円 11万9,250円 12万1,140円 12万2,850円 12万4,500円
※「居住費」「食費」は基準費用額
※「1単位=10円」「自己負担1割」「1カ月=30日」として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

ユニット型個室/基本型

項目 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居住費 6万0,180円
食費 4万1,760円
介護サービス費 2万3,880円 2万5,230円 2万7,090円 2万8,680円 3万0,270円
月額料金 12万5,820円 12万7,170円 12万9,030円 13万0,620円 13万2,210円
※「居住費」「食費」は基準費用額
※「1単位=10円」「自己負担1割」「1カ月=30日」として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

ユニット型個室/在宅強化型

項目 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居住費 6万0,180円
食費 4万1,760円
介護サービス費 2万5,230円 2万7,450円 2万9,340円 3万1,050円 3万2,700円
月額料金 12万7,170円 12万9,390円 13万1,280円 13万2,990円 13万4,640円
※「居住費」「食費」は基準費用額
※「1単位=10円」「自己負担1割」「1カ月=30日」として計算
参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について

介護サービス加算費用ついて

介護サービス費は基本的に要介護度に応じて決まっていますが、特定のサービスに対して金額が加算されることがあります。対象となるサービスは「手厚い人員配置」「集中的なリハビリテーション」「栄養マネジメント」などさまざまです。

サービス加算は数円~数千円ほどですが、施設によっては複数の加算があり金額が想定と変わってくるケースもあります。そのため介護老人保健施設への入所を考える際は、サービス加算についても知っておきましょう。代表的なサービス加算の例を紹介します。

初期加算

介護老人保健施設に入所してしばらくは、施設での生活に慣れるためにも通常より手厚いサポートが必要です。そのため入所日から30日以内の期間は、1日あたり30円が加算されます。

短期集中リハビリテーション実施加算

早期の在宅復帰を促すため、入所してから短期間に集中的なリハビリテーションをした場合に加算されます。加算金額は1日あたり240円です。

加算に必要な要件は以下のようになっています。

  • 医師または医師から指示を受けた理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がリハビリテーションを実施すること
  • 入所日から起算して3カ月以内に集中的にリハビリテーションをすること
  • 個別リハビリテーションを1週間におおむね3日以上、1日あたり20分以上実施すること
  • 入所者が過去3カ月間に介護老人保健施設に入所したことがないこと

在宅復帰・在宅療養支援機能加算

介護老人保健施設の目的は在宅に復帰することですので、積極的に在宅復帰を支援している施設は評価の対象となり介護報酬が加算されます。「在宅復帰率」「ベッド回転率」「入所前後の訪問指導の割合」「リハビリ専門職の配置割合」などが指標です。

基本型の施設では1日あたり34円、在宅強化型の場合は46円が加算されます。

ターミナルケア加算

終末期のケアも加算対象です。「入所者の体調の変化とケアを記録する」「家族の精神状況の変化とケアを記録する」「各プロセスにおいて入所者と家族の意向を把握し、それに基づくアセスメントを記録する」など、複数の条件があります。

ターミナルケア加算の料金は、死亡日を基準に計算されます。亡くなった当日は1650円前日と前々日は1日あたり820円です。それ以前は30日前までさかのぼることができ、1日につき160円が加算されます。

栄養マネジメント加算

常勤の管理栄養士を配置し、計画に基づいた栄養マネジメントを実施した場合が加算対象です。金額は1日につき14円となります。

排せつ支援加算

排せつ支援加算は、2018年の介護保険制度改定で創設されました。排せつの介護が必要な入所者のうち、適切な対応を取れば要介護状態を軽減できると医師が見込んだ方が対象です。以下の条件を満たした場合、1カ月につき100円が加算されます。

  • 施設の医師、看護師などが共同で、入所者が排せつ介護を必要とする原因を分析すること
  • 分析した原因に基づいて支援計画を作成すること
  • 支援計画のもと、継続して支援をすること

サービス加算の一覧

上記で紹介した例以外にも、さまざまなサービス加算があります。その他の加算については、下の表を参考にしてください。

算定項目 自己負担額
夜勤職員配置加算 24円/日
短期集中リハビリテーション実施加算 240円/日
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(※週3日限度) 240円/日
認知症ケア加算 76円/日
若年性認知症受け入れ加算 120円/日
在宅復帰・在宅療養支援機能加算 Ⅰ(基本型) 34円/日
Ⅱ(在宅強化型) 46円/日
外泊時費用(※月6日限度) 362円/日
外泊時在宅サービス利用費用(※月6日限度) 800円/日
ターミナルケア加算 (1)死亡日以前31日以上45日以下 80円/日
(2)死亡日以前4日以上30日以下 160円/日
(3)死亡日以前2日または3日 820円/日
(4)死亡日 1650円/日
療養体制維持特別加算 27円/日
57円/日
初期加算(入所日から30日以内の期間) 30円/日
再入所時栄養連携加算(※1回限り) 200円/回
入所前後訪問指導加算
(※1回限り)
Ⅰ1(在宅強化型) 450円/回
Ⅰ2(基本型) 450円/回
Ⅱ1(在宅強化型) 480円/回
Ⅱ2(基本型) 480円/回
試行的退所時指導加算 400円/回
退所時情報提供加算(※1回限り) 500円/回
退所前連携加算(※1回限り) 500円/回
訪問看護指示加算 300円/回
栄養マネジメント強化加算 11円/日
低栄養リスク改善加算 300円/月
経口移行加算 28円/日
経口維持加算 400円/月
100円/月
口腔衛生管理加算 90円/月
110円/月
療養食加算(※1日3回限度) 6円/回
かかりつけ医連携薬剤師調整加算(※1回限り) 100円/回
240円/回
100円/回
緊急時治療管理(※月3日限度) 518円/日
所定疾患施設療養費 Ⅰ(※月7日限度) 239円/日
Ⅱ(※月10日限度) 480円/日
認知症専門ケア加算 3円/日
4円/日
認知症行動・心理症状緊急対応加算(※7日間限度) 200円/日
認知症情報提供加算 350円/回
地域連携診療計画加算
(※1回限り)
Ⅰ(在宅強化型) 300円/回
Ⅱ(基本型) 300円/回
褥瘡マネジメント加算 3円/月
13円/月
Ⅲ(※3カ月に1回を限度) 10円/月
排せつ支援加算 10円/月
15円/月
20円/月
100円/月
サービス提供体制強化加算 22円/日
18円/日
6円/日
※「自己負担額1割」「1単位=10円」で計算
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造(R3.1.18)

介護老人保健施設のメリット・デメリット

介護施設にはそれぞれ特徴があります。介護老人保健施設もメリットがあれば、当然デメリットもあるのです。それでは、介護老人保健施設のメリットとデメリットについて紹介しましょう。

メリット

介護老人保健施設のメリットは、リハビリ・医療体制が充実していることです。リハビリや医療ケアが必要な方を入所対象としているため、医師や看護師、リハビリ専門スタッフのもとで適切なサポートを受けられます。

また介護保険が適用される公的施設のため、初期費用は無料で、月額料金も比較的低額です。金銭的な負担が心配な方でも、入所しやすい施設といえます。

デメリット

「トイレや浴室は共用」「居室面積が小さい」など、生活環境はあまり充実していません。多床室が多く、プライバシーが確保しづらいことも懸念点です。介護老人保健施設は在宅に復帰するまでの一時的な施設と位置づけられているため、長期的な滞在を想定した環境ではありません。

また3カ月ごとの判定で在宅復帰が可能と判断されたら退所しなければいけないことも、デメリットの1つです。「自宅に戻らず施設で長期的に生活したい」と考えている方は、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど他の介護施設を検討したほうがいいでしょう。

介護老人保健施設の費用を軽減できる場合

介護老人保健施設は比較的費用が抑えられる公的施設ですが、所得などに応じてさらに費用を軽減する方法もあります。具体的にどのような制度があるのか、また申請方法などを紹介しましょう。

特定入所者介護サービス費(介護保険負担限度額認定)

前述したとおり「特定入所者介護サービス費」は、所得や預貯金額によって介護保健施設の居住費と食費の負担限度額を定めた制度です。「介護保険負担限度額認定」ともいいます。

限度額は第1段階から第4段階の4区分です。軽減後の料金については、上記「項目別の費用」を参照してください。

対象者の基準

第1段階から第4段階までの対象となる基準は次のように決まっています。なお第4段階と認定された場合、費用は軽減されません。

第1段階
  • 生活保護受給者
  • 世帯(世帯を分離している配偶者を含む)全員が市町村民税非課税である老齢福祉年金受給者
  • 単身の場合は預貯金等が1,000万円以下、夫婦の場合は2,000万円以下
第2段階
  • 世帯(世帯を分離している配偶者を含む)全員が市町村民税非課税で、年金収入金額と合計所得金額の総計が80万円以下
  • 単身の場合は預貯金等が1,000万円以下、夫婦の場合は2,000万円以下
第3段階
  • 世帯(世帯を分離している配偶者を含む)全員が市町村民税非課税で、第2段階に該当しない方
  • 単身の場合は預貯金等が1,000万円以下、夫婦の場合は2,000万円以下
第4段階(軽減なし)
  • 世帯(世帯を分離している配偶者を含む)に課税者がいる方
  • 市町村民税本人課税者

申請方法

お住まいの自治体の窓口に申請します。専用の申請用紙と、預貯金等の証明となる通帳の写しなどが必要です。提出書類は異なる場合もありますので、詳細については各自治体に確認してください。

高額介護サービス費

介護保険サービスにかかる費用は、所得によって上限が決まっています。「高額介護サービス費」は、上限を超えた場合に超過分の払い戻しを受けられる制度です。ただし、いったんは必要な金額を全額支払わなければいけませんので、注意してください。

対象者の基準

上限となる金額は、世帯の所得によって異なります。最も負担の大きい住民税課税世帯でも4万4,400円が上限です。サービス加算などで上限を超えることも考えられますので、上限がいくらになるのかを確認しておきましょう。

対象者の基準 月額の上限
住民税課税世帯
  • 課税所得金額が145万円以上の第1号被保険者がいる
  • 世帯収入が520万円以上(単身世帯の場合は383万円以上)
世帯で4万4,400円
  • 上記以外
世帯で4万4,400円
※2017年8月~2020年7月31日までは年間上限44万6,400円の時限措置あり
世帯全員の住民税が非課税
  • 課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円超え
世帯で2万4,600円
  • 課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円以下
  • 老齢福祉年金受給者
世帯で2万4,600円
個人で1万5,000円
生活保護受給者 個人で1万5,000円

申請方法

実際に上限額を超えた際は、自治体から通知と申請書が送付されます。書類に沿って記入し、自治体の窓口に提出しましょう。高額介護サービス費は1度申請すれば2回目以降は自動的に適用されるため、申請は必要ありません。

また、申請期間はサービスを利用した翌月1日から2年間です。2年以上経過してしまうと払い戻しが受けられませんので、早めに申請を済ませましょう。

高額医療・高額介護合算療養費制度

1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額が基準額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。介護サービス費だけでなく医療費も合算して計算できるため、医療費の負担が大きい方は該当する可能性も高いでしょう。

なお、費用は毎年7月31日時点で加入している医療保険ごとに計算します。

対象者の基準

基準額は所得と年齢によって異なります。下記の表を参考にしてください。

所得区分 被用者保険または国民健康保険
かつ70歳未満の方がいる世帯
被用者保険または国民健康保険
かつ70歳~74歳の方がいる世帯
後期高齢者医療制度(75歳以上)
「現役並み所得者」
標準報酬月額83万円以上
課税所得690万円以上
212万円 212万円 212万円
「現役並み所得者」
標準報酬月額53~79万円
課税所得380万円以上690万円未案
141万円 141万円 141万円
「現役並み所得者」
標準報酬月額28~50万円
課税所得145万円以上380万円未満
67万円 67万円 67万円
「一般」
標準報酬月額26万円以下
課税所得145万円未満
60万円 56万円 56万円
「低所得者2」
住民税非課税世帯
34万円 31万円 31万円
「低所得者1」
住民税非課税世帯
(必要経費・控除を差し引いたときに所得が0円になる方、または老齢福祉年金受給者)
34万円 19万円
(介護サービス利用者が複数の場合は13万円)
19万円
(介護サービス利用者が複数の場合は13万円)
出典:板橋区「高額医療・高額介護合算制度の概要

申請方法

加入している医療保険の窓口で申請します。医療保険の種類によっては「介護保険自己負担額証明書」が必要な場合もありますので、まずは医療保険の窓口に問い合わせて必要な手続きを確認しましょう。

自治体独自の支援サービス

自治体によっては、要介護者やその家族の負担を軽減するための独自の措置を設けています。金銭的な補助が受けられる場合もあれば、オムツの支給、車イスの貸与など物資の援助のケースもあり、内容はさまざまです。

気になる方はお住まいの自治体にお問い合わせください。施設に入所していると条件が異なる場合もありますので「介護老人保健施設の入所中に利用できるかどうか」も確認しましょう。

介護老人保健施設は所得に応じて費用が異なるのが特徴

介護老人保健施設は、リハビリや医療ケアが必要な方も安心して介護を受けられる施設です。介護保険施設であるため費用も低額なうえ、所得によってさまざまな軽減措置が受けられます。

しかし一方で「在宅に復帰できる状態になったら退所しなければならない」などの制約があることも特徴です。介護老人保健施設を検討する場合は、まず「長期的に入居したいのか、一時的にケアが受けられればいいのか」「リハビリや医療ケアが必要か」を吟味しましょう。

長期的な入居先を探している場合や、リハビリをそれほど重視していない場合は、他の施設を検討するのも1つの方法です。民間施設でも、費用が比較的低価格に設定されているところもあります。施設に求める条件や月額の予算などを考慮したうえで、できるだけ幅広い選択肢を検討することで、より早く納得できる施設を見つけられるでしょう。

この記事のまとめ

  • 介護老人保健施設の初期費用は無料
  • 月額費用として、生活費と介護サービス費がかかる
  • 所得に応じて費用を軽減できる仕組みがある

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