福祉用具貸与について|事業所や概算の価格、利用方法を紹介

車いすや歩行器、スロープ、電動ベッドなど、自立した日常生活を補助してくれる道具を「福祉用具」といいます。要支援・要介護認定を受けている人は、福祉用具の利用を検討している人も多いのではないでしょうか。

この記事では、介護保険を適用した福祉用具のレンタルについて解説します。レンタルの対象となる福祉用具、費用の目安、レンタルするまでの流れを図表で分かりやすく紹介しますので、参考にしてください。

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平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて12年で約2,000名の人材育成に関わり、その後、人材定着に悩む介護事業所の人材育成や運営支援を実施。2020年4月からは一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して介護甲子園を主催している。

福祉用具とは

「福祉用具」とは、自立した生活を送るための補助となる道具です。車いすや歩行器、手すりなどが福祉用具に該当します。

福祉用具を利用することのメリットは「1人でできることの幅が広がること」です。介助者の支援なく移動したり、起き上がったりなど、日々の生活を支えてくれます。また、福祉用具を活用することで、介護者の負担も軽減できるでしょう。

上手に福祉用具を活用することが、自立した生活につながるのです。

福祉用具貸与とは

介護保険のサービスの1種として「福祉用具貸与」(福祉用具のレンタル)があります。介護保険制度では以下のように定義されています。

介護保険の福祉用具は、要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるものについて、保険給付の対象としている。

参考:厚生労働省「福祉用具貸与(参考資料)

上記の解説のように、自立して日常生活を送るための補助として福祉用具の活用は国からも推奨されています。

介護保険適用の魅力は、レンタル料の一部を介護保険がまかなってくれることです。レンタル料の1割(所得に応じで2割・3割と変動)の自己負担で福祉用具を利用できます。

注意するべきポイントは、要支援・要介護の認定を受けた人しか介護保険が適用されないことです。加えて、要介護状態によって利用限度額や対象となる福祉用具が異なります。事前に確認しておきましょう。

介護保険サービスについてより詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。

介護保険サービスとは|種類ごとにサービス内容を一覧で紹介

貸与(レンタル)の対象となる福祉用具

レンタルの対象となる福祉用具は全部で13品目です。ただし、要介護状態によってレンタルできる対象が異なります。下記の表を参考に、利用したい福祉用具について確認してください。

要介護2以上の人は1~13の福祉用具がレンタルの対象です。要介護1・2、要介護1の人は手すりやスロープ、歩行器など9~13の福祉用具のみが対象となります。

要介護状態別の福祉用具貸与対象品目
NO 福祉用具 要介護1・2、要介護1 要介護2以上
1 車いす
2 車いす付属品
3 特殊寝台(電動ベッド)
4 特殊寝台付属品
5 床ずれ防止用具
6 体位変換器
7 認知症老人徘徊感知機器
8 移動用リフト(吊り具を除く)
9 手すり
10 スロープ
11 歩行器
12 歩行補助杖
13 自動排泄処理装置

要介護認定についてより詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。

要介護認定1~5の判定基準とは|給付金の限度額・入居できる施設などを紹介

要介護1以下でも13品目対象になる場合もある

要支援1・2、要介護1の場合でも疾患があり、医師が必要であると判断した場合、13品目が対象となります。下記の疾患があり、1~8の品目をレンタルしたい場合は、かかりつけの医師に相談してみましょう。

意思の判断によって要介護1以下でも利用できる福祉用具
  • パーキンソン病
  • 関節リュウマチ
  • 末期がん
  • 重度のぜんそく発作や心疾患
  • 逆流性食道炎(嚥下障害)

福祉用具貸与を利用する流れ

福祉用具をレンタルする流れを紹介します。

1.ケアマネジャーに相談

まずは担当のケアマネジャーに福祉用具のレンタルを相談しましょう。次にケアマネジャーと一緒に福祉用具貸与事業者を選定します。事業者への連絡はケアマネジャーが担当してくれます。

ケアマネジャーについてより詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。

ケアマネジャーとは|仕事の内容・選び方・付き合い方などを紹介

2.福祉用具専門相談員と一緒に福祉用具を選定

福祉用具貸与事業所の福祉用具専門相談員が利用者宅を訪問し、利用者の生活や環境を確認しながら福祉用具を選定してくれます。

福祉用具専門相談員は福祉用具の知識が豊富な福祉用具の専門家です。気になることを質問しながら、納得できる用具を選定しましょう。この段階ではカタログを見ながら選びます。

3.事業者が福祉用具を納品、問題なければレンタル開始

選定した福祉用具を利用者宅に納品します。利用者の状況を確認し、問題がなければ利用者と福祉用具貸与事業者が契約を交わします。ここからレンタルが開始です。

4.定期的なモニタリングを実施(訪問確認)

福祉用具を導入しても、身体状況に合っていなかったり、メンテナンスを怠っていたりすると、事故が発生してしまうかもしれません。

そこで福祉用具を正しく使えているかを確認するため3カ月に1回のペースで福祉用具専門相談員が利用者宅を訪問します。不具合や故障などがあれば取り替えることも可能です。

福祉用具は購入もできる

介護保険サービスでレンタルできると解説しましたが、購入できる品目もあるので覚えおきましょう。なお、購入の対象となる品目は、厚生労働省により特定されているため「特定福祉用具」とも呼ばれています。

主に他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗があるのものが購入の対象です。例えば、腰掛便座や入浴用いすなど、入浴や排泄の際に肌に直接触れるものが指定されています。

また使用により変形してしまう吊り上げ式リフトの吊り具なども再利用しにくいため、購入の対象です。

介護保険が適用される福祉用具購入品目

  • 腰掛便座
  • 特殊尿器
  • 入浴補助用具
    • 入浴用いす
    • 浴そう用手すり
    • 入浴台
    • 浴室用すのこ
    • 浴そう内すのこ
  • 簡易浴そう
  • 移動用リフト吊り具

福祉用具の購入の流れ

介護保険を用いることで、販売価格の1割(所得に応じて2割・3割と変動)の自己負担額で済みます。福祉用具の購入枠(上限10万円)が設けられており、、その他の介護サービスの利用上限額とは別の枠です。介護サービスをひっ迫することなく購入できるので安心して購入できます。

まずは利用者が事業者に全額を支払います。その後に利用者自身が市区町村に購入費を申請した後に、9割の払い戻しが受けられる流れです。

福祉用具のレンタルのメリット・デメリット

福祉用具のレンタルのメリット、デメリットを紹介します。レンタルか購入かで迷っている場合に参考にしてください。

メリット

リーズナブルな価格で利用できる

購入するよりも費用を抑えられることが大きなメリットでしょう。

例えば9万円の車いすをレンタルすると、月額6,000円程度です。さらに自己負担の割合が1割の場合、実際の出費は600円となります。150カ月(12年6カ月)以上利用すると購入金額を上回ります。

加えて、購入した場合は定期的にメンテナンスが必要になるので、総合的に見てレンタルのほうがお得だと考えられるでしょう。比較的高価な福祉用具を検討する際はレンタルをおすすめします。

9万円の車いすのレンタルした場合
  • 希望小売価格:9万円
  • レンタル料金:6,000円
  • 自己負担額(1割の場合):600円

必要なときだけ使えて、いつでも返品可能

高齢者の心身状況は変化しやすいものです。福祉用具も心身の状況に合わせて変化します。購入した商品を返品することは難しいですが、レンタルだったら返品可能です。

「状況に合わないものを無理して使わなくても済む」「気になる商品を試せる」など、返品可能だからこそのメリットがあります。

定期点検によってトラブルを未然に防げる

介護保健でレンタルした場合は、事業所に所属している福祉用具専門相談員が3カ月に1回のペースでモニタリングすることが決まっています。

その際に、定期的に福祉用具を点検してくれますので、安全に福祉用具を利用することが可能です。利用者の状況に合わせてプロが調整してくれるのもうれしいポイントです。

デメリット

新品ではない

レンタルする福祉用具のほとんどは新品ではありません。なお、使用後の商品は丁寧に消毒されているので、清潔さは保たれております。

他人が使用したものに抵抗がある人には、向いていません。「新品の用具をレンタルしたい」という人は、福祉用具事業者に直接相談するのも一案です。

利用条件や品目が決まっている

福祉用具貸与の対象となる福祉用具は13品目のみです。また要介護認定を受けている人しか利用できません。要介護度1以下の人が利用できる福祉用具は5品目と限られています。

利用したい福祉用具が対象外の場合もあるので、その場合は購入を検討しましょう。

実物ではなくカタログから選ぶ

福祉用具を選定する際は、実物を見て選べません。基本、カタログで判断する必要があります。ただし、お試しの期間も設けているため、実際の使用感を試してから導入することが可能です。

福祉用具貸与事業所について

介護保健を利用する福祉用具の貸与や販売は、介護保険法上の事業者指定を受けている事業所が運営しています。

介護保険法で運営の基準も定められていますので、利用者としても安心して契約を結べるでしょう。どの事業者にも福祉用具専門相談員の配置が義務付けられています。

福祉用具貸与事業所の人員配置
職種 資格要件 配置基準
福祉用具専門相談員
  • 保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士、訪問介護員養成研修(介護職員基礎研修課程、1級課程、2級課程)修了者
  • 都道府県知事が指定する一定の基準の講習の課程を修了し証明書の交付を受けた者
  • 福祉用具専門相談員指定講習に相当する講習の課程を修了し証明書の交付を受けた者
常勤換算で2人以上配置されていること
管理者 なし 専従・常勤の管理者を1人置くこと

福祉用具の13品目と費用の目安

レンタルを検討するに当たって、月々の費用は気になるポイントでしょうか。

福祉用具は13品目ですが、商品の種類は多様であり価格も異なります。世田谷区の「福祉用具貸与価格帯の公表」のデータを参考に、1カ月の費用の目安を紹介しましょう。

商品ごとに、平成26年の希望小売価格と全国最頻価格、最高価格を下記にまとめました。価格は「1単位10円」「自己負担1割」の計算です。レンタルを検討の際に参考にしてください。

なお費用はお住まいの地域や事業者によって多少ばらつきがあります。しかし、国や自治体から「最頻価格」と「最高価格」が公表されています。悪意のある事業者から極端に高価格で貸し付けられる可能性は低いのでご安心ください。

車いす

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
優介くん

9万円

600円

800円

介護型車いす

9万5,000円

600円

1,200円

超軽量介助型車いす・ドラム式介助ブレーキ付

11万1,000円

600円

3,000円

アルミ超軽量介護型車いす

9万8,000円

500円

1,100円

車いす

4万9,000円

300円

1,050円

車いす付属品

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
シーポス

2万4,000円

200円

1,200円

FC-2背・座クッションセット

2万4,000円

200円

514円

FC-アジャスト標準セット

2万8,000円

142円

500円

FCコキュー君

1万9,500円

200円

616円

スーパーヘッド

1万8,500円

200円

308円

車いすクッション

7,800円

50円

200円

Gel-Tクッション

1万4,500円

200円

1,000円

デュオジェルクッション

2万7,000円

200円

900円

マイクッション

6,600円

50円

500円

車いす用テーブル

1万5,500円

200円

300円

特殊寝台(電動ベッド)

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
和夢“純”(ショート/レギュラー/2モーター/ケアモーション)

35万4,000円

900円

1万円

楽匠(らくらくモーションシリーズ、ボード木製、サイド木目)

39万5,000円

1,200円

3,800円

楽匠(らくらくモーションシリーズ、ボード標準、サイド標準)

36万5,000円

1,200円

3,750円

垂直昇降機能付3モーターベッド(ショートタイプ)

26万5,000円

1,400円

1,500円

1モーターベッド(レギュラータイプ)

20万5,000円

700円

1,100円

特殊寝台付属品

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
サイドレール

2万円

50円

500円

回転式アーム介助バー(レギュラー)

4万8,000円

200円

864円

プレグラーマットレス

4万4,000円

200円

1,200円

ベッドサイドレール(2本組)

1万5,000円

50円

800円

アジャストテーブル

1万2,000円

50円

830円

オーバーベッドテーブル

10万6,000円

400円

1,200円

サイドサポート(オプション受け差込式)

1万2,000円

50円

400円

ベッドサイドレール

1万7,000円

50円

1,250円

エバーフィットマットレス

6万7,000円

300円

1,300円

キャスター

1万6,000円

50円

762円

床ずれ防止用具

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
クレイド

24万8,000円

1,200円

2,000円

コンフォケアマットレス

7万2,000円

400円

2,000円

アクアフロートマットレス(通気タイプ)

12万5,000円

500円

1,200円

エアマスター・アクティ

10万8,000円

500円

1,400円

エアマスター・ビッグセル_エキスパート(リプレイスメントタイプ)

18万8,000円

1,000円

1,400円

アルファプラ

14万円

600円

840円

メディマット医療用フルサイズ

12万4,000円

616円

1,000円

体位変換器

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
トレイジースライドシート

9,500円

150円

300円

手すり

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
棒(あいぼう)Bタイプ和室用

4万6,000円

500円

2,160円

バディーⅠ/昇降支援用手すり

4万6,000円

300円

4,550円

たちあっぷ

5万6,200円

300円

2,520円

洋式トイレ用フレーム

5万7,000円

300円

2,170円

トイレサポートフレックス

3万2,000円

500円

1,800円

ベストポジションバー

4万5,000円

300円

6,000円

トイレの手すり 折りたたみタイプ

1万8,000円

204円

550円

トイレの手すり

1万8,000円

204円

500円

スロープ

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
折りたたみ式携帯用スロープ「デクパック TM」

6万9,000円

400円

1,600円

ワンタッチスロープ

5万5,000円

308円

800円

携帯用スロープ ダンスロープ ライト

14万円

600円

1,400円

歩行器

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
折りたたみ歩行器 アルコー1型

5万3,000円

300円

800円

アルコー 10型

1万6,000円

200円

600円

固定型歩行器(2段式ハンドル)

2万6,000円

200円

600円

キャスター付コンパクト歩行器

1万9,000円

300円

600円

セーフティーアーム

1万6,000円

200円

600円

シンフォニーSP

2万8,000円

300円

1,000円

ミニフレームウォーカー 固定型

1万8,000円

200円

500円

歩行補助車(ラビット)屋内歩行車

7万6,000円

400円

1,500円

伸縮歩行器

1万8,800円

200円

800円

歩行補助杖

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
アルミ製四点杖(スモールベース)・銀

6,500円

100円

400円

アルミ製四点杖(スモールベース)・茶

6,500円

100円

350円

4点ステッキ

6,000円

100円

1,000円

テトラケイン

1万5,000円

100円

900円

認知症老人徘徊感知機器

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
ワイヤレス徘徊お知らせお待ちくん設置型 受信機セット

8万2,000円

812円

1,800円

徘徊ノン小電力型

9万8,000円

822円

1,600円

家族コール1・Aタイプ

8万8,000円

800円

2,000円

移動用リフト(吊り具を除く)

商品名 希望小売価格 最頻価格 最高価格
車いす用電動昇降機

4万5,000円

2,000円

5,500円

電動昇降座いす「独立宣言エコライト」

15万8,000円

1,000円

3,000円

電動昇降座いす「独立宣言ツイスト」

23万8,000円

1,234円

2,200円

電動昇降座いす「独立宣言リクライニング」

32万8,000円

1,600円

5,000円

段差解消機 アルコー3000型Bタイプ

24万円

1,200円

2,500円

バスリフト

31万2,000円

1,400円

8,300円

テクノリフター065

48万円

2,700円

4,600円

福祉用具のレンタルでもっと楽に介護を進める

利用者の状況によって利用者を支える福祉用具もさまざまです。福祉用具を上手に活用することで、1人でベッドから起き上がれたり、自分の力でお買い物に行けたりと自立した生活を送れます。在宅介護の場合は、一緒に暮らすご家族の負担も減らせるでしょう。

福祉用具のレンタルは介護保険が適用されるため、高価な商品でも安価でレンタルすることが可能です。ぜひ、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と予定を組んだうえで、福祉用具のレンタルを検討してください。

この記事のまとめ

  • 福祉用具のレンタルは介護給付の対象
  • レンタルの対象となる福祉用具は全部で13品目
  • 福祉用具をレンタルする際は、まずはケアマネジャーに相談