介護ベッドとは|レンタルと購入の料金・メーカーごとの商品を紹介

日本では高齢社会の台頭により、自宅で介護をする人が増えています。プロの介護職であっても介護は大変であるのに、素人が行う在宅介護となると想像以上に厳しいものがあるでしょう。少子高齢化によりシニア層が増える現代では、介護の苦労から逃れることは難しいため、いかに介護の負担を軽減するかが重要です。

介護ベッドは、介護される人にも介護する人にも便利な道具で、もはや在宅介護には欠かせないものとなりました。身体的な負担が軽くなるので、今まさに自宅への導入を検討している方もいるでしょう。そこで今回は、介護ベッドのメリットや利用方法、料金相場についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

介護ベッドとは|レンタルと購入の料金・メーカーごとの商品を紹介
松本健史

この記事の監修

松本健史

合同会社松本リハビリ研究所 所長

理学療法士。佛教大学大学院社会福祉学修士課程修了。専門は生活期リハビリテーション。病院・デイサービス勤務後2014年合同会社松本リハビリ研究所設立。全国の老人ホーム、デイサービス、介護施設でリハビリ介護のアドバイザー、生活リハビリセミナー講師、雑誌・書籍の執筆など活動中『転倒予防のすべてがわかる本 』(講談社)など著書多数。
YouTubeチャンネル「がんばらないリハビリ介護」/オンラインサロン「松リハLAB

介護ベッドとは

介護ベッドとは、特殊寝台とも称されるベッドです。介護される人と介護する人の負担を軽くしてくれるベッドは、自ら体を起こせない人や起き上がりに難がある人の手助けをしてくれます。

介護ベッドには様々なタイプが出ており、電動タイプの場合は、ベッドの上下角度を変更するだけで、上半身を立ち上げられます。介護する人にとってもサポート業務が簡単になるので、大きなメリットがある介護用品です。

ただし、介護ベッドはどんなものでも介護ベッドと呼べるわけではなく、次のような条件があります。

  1. サイドレールが取り付けてあるもの(または取り付け可能なもの)
  2. 背部または脚部の傾斜角度が調整できる機能、または床版の高さが無段階で調整できる機能が付与されているもの

上記2点の条件を満たしているものが、介護ベッドと呼ばれます。

介護ベッドの利用方法は3パターン

介護ベッドの利用方法には購入とレンタルがあり、自費と介護保険の利用から細かく分類すると全部で3パターンあります。予算などを考慮して、ご自宅に合った方法で介護ベッドの利用を考えてみましょう。

自費でレンタル

介護ベッドを自費でレンタルする方法です。介護保険制度の認定を受けていない人やケガなどで一時的に介護ベッドを利用したい人であれば、自費レンタルが良いでしょう。購入してしまうと症状や容態の変化があっても、ベッドの交換が難しいですが、レンタルであれば比較的容易です。

介護される人の状況の変化に応じて、柔軟に対応できます。レンタルは月単位の契約となっており、ベッドが不要になるタイミングで契約を終了できます。

自費で購入

介護ベッドを長く利用することが決まっている場合や、新品で使いたい時は自費で購入するのも良いでしょう。購入に戸惑いがあるのであれば、まずはレンタルで試してみてから実際に購入するのもおすすめです。介護ベッドは種類によって高額となることもあるため、あせらずに必要なものを見極めてから購入しましょう。

介護保険でレンタル

介護保険制度の認定を受けている人であれば、要介護度の段階によっては介護ベッドのレンタルに保険が適用されます。

要介護度2以上の介護認定であれば、月々1~3割の自己負担でベッド費用が済みます。ベッドの種類によっては月額1,000円程度の出費で済むこともあるので、介護保険を適用しない手はありません。

介護保険で購入はできない

レンタルで介護保険が使えるのであれば、購入にも保険が適用されるイメージがあるかもしれません。しかし介護保険は、介護ベッドを購入する場合には適用されません。購入にあたっては、全額自費での出費となります。そのため介護ベッドを購入する場合には、部屋のスペースを取る関係もあり、慎重な判断が必要です。

介護保険を利用するためには要介護度認定を受ける

介護ベッドのレンタル利用には、介護保険が適用されます。しかし、介護保険サービスを利用するには、必要な介護の程度や頻度を決めるために要介護認定を受けなくてはなりません。

「要介護」または「要支援」の判定を受けることで、初めて介護ベッドへの保険が適用されます。要介護認定は7つに区分されており、「要介護1~5」と「要支援1~2」で構成されています。

要介護認定の判断をしてもらうには市町村に申し込んで、判定を受ける必要があります。判定は2ステップに分かれており、1段階目では自治体の担当者の聞き込みと主治医意見書をもとにコンピューターで介護の度合いを算出します。そして2段階目で、1段階目の結果をもとに介護認定審査会が判定して、要介護度を決定する流れです。

要介護認定については下記の記事を参考にしてください。

要介護度によって自己負担額が変わる

要介護度の区分によって、介護保険サービスで適用される自己負担額は変わります。基本は1割負担ですが、サラリーマン並みに所得のある高齢者であれば、公平性の観点から自己負担額が2割または3割となります。

介護ベッドの種類

介護ベッドと言っても搭載されているモーターの数で機能が変わります。目的に合わせて介護ベッドを選ぶためにも、それぞれの種類でどのような機能を持っているのか把握しておきましょう。

1モータータイプ

モーターが1つ搭載されている介護ベッドは、動かす部分によってタイプが異なります。例えば、上半身を持ち上げられる「背上げタイプ」や背中と脚の部分を連動して持ち上げてくれる「背上げ・脚上げ連動タイプ」、介護ベッドの高さを調整してくれる「高さ調節タイプ」の3種類です。

2モータータイプ

2モーターベッドはモーターが増えたことで、1モーターベッドより複雑な連動が可能です。例えば背上げと高さ調節が両方できるものや、背上げ・脚上げに高さ調節もできるものもあります。

3モータータイプ

3つのモーターがそれぞれ起動し、背上げ・脚上げ・高さが細かく調節できるようになります。

このほか、4モーターだと寝返りする際に体位変換をサポートしてくれる機能や、5モーター以上の多機能ベッドになると立ち上がりまで支援してくれるようになります。

介護ベッドのメリット

介護ベッドを利用するメリットは、要介護者と介護者それぞれにあります。どのようなメリットがあるのかご紹介していきましょう。

1人でもベッドからの立ち上がりがしやすくなる

要介護者側のメリットに、立ち上がりのしやすさが挙げられます。自分で歩行できる人でもベッドから起きて立ち上がるのに苦労する人は多いです。立ち上がりさえできれば普通に歩行できるという人もいるでしょう。

1人でベッドから立ち上がるのに苦労する人でも、背上げタイプなら自動で起き上がることができ、そこからスムーズな立ち上がりへと移行できます。わざわざ介助してもらわなくても1人でベッドから移動できるようになるのです。また、介護ベッドから1人で車いすへの移乗もできるでしょう。

褥瘡(床ずれ)を防げる

褥瘡(床ずれ)とは、寝たきりの高齢者に多く見られる症状で、体重で常に圧迫されていることで血流が悪くなると起きてしまいます。皮膚の赤みやただれ、傷を作ってしまうこともあります。

褥瘡ができる原因は血流の悪化です。寝たきりの人は自分で体を動かせないため、介護者が定期的に寝返りをさせて褥瘡を防ぎます。しかし、背上げ・脚上げ機能が付いた介護ベッドなら、介護者がわざわざ寝返りを打たせなくても血流の悪化を防げるのです。

介助時の負担を減らせる

介護者は介助する際に無理な姿勢を取ることも多く、力仕事も増えるため体に大きな負担が掛かります。しかし、介護ベッドなら楽な姿勢を取って介助でき、体の負担も軽減できるのです。例えば、ベッドから移乗させる時に高さを調節してから介助すると腰にかかる負担が軽減できます。

介護者が介護で体を壊してしまっては元も子もありません。無理のない介護をするために、介護ベッドが役立ってくれるでしょう。

同じ目線で話しやすくなる

お互いが椅子に座り同じ目線で話すことと、1人は寝たまま1人は椅子に座った状態で話すことでは、疲れやすさが違ってきます。これは、目線の高さが違っているためです。

介護ベッドだと背上げや高さ調節ができ、介護者と要介護者の目線を同じ位置に持っていけます。同じ目線になるだけでも疲れが感じにくくなり、負担を減らせるのです。

介護ベッドの料金相場

介護ベッドを利用したいと考えた時、料金についても検討しなくてはなりません。介護ベッドを自費で購入する場合や介護保険を使う場合で相場はどれくらい違うのでしょうか?

自費での購入の場合

新品の介護ベッドを気持ち良く利用したい場合、購入するという方法もあります。ただし、現在は購入する際の助成金による補助がないため、すべて自己負担となってしまいます。

介護ベッドには普通のベッドよりも電動機能などを搭載していることから、10万円近くするものがほとんどです。高機能タイプだと30万円以上掛かることもあります。

介護保険を使ってレンタルする場合

購入費用までは賄えないものの、介護ベッドを利用したいという人は介護保険を使ったレンタルがおすすめです。通常、介護ベッドをレンタルする場合は毎月約8,000~13,000円掛かってきます。しかし、介護保険を使用すれば自己負担額は大きく抑えられるでしょう。

要介護度によってレンタルできない可能性も

介護保険を使ってレンタルする場合、まずは介護保険制度の認定を受ける必要があります。ここで注意しなくてはいけないのが、要介護度によってレンタルできる福祉用具が変わるという点です。

介護ベッドがレンタル対象になっているのは要介護度2~5の人になります。要支援度1・2と要介護度1の人は介護保険を使ってレンタルできないので注意しましょう。

所得によって自己負担額が変わる

介護保険の自己負担額は基本的に1割ですが、中には2割・3割負担になる人もいます。この自己負担額の変化は所得によって違ってくるのです。

世帯に65歳以上の高齢者が1人いる場合(単身者も含む)
自己負担額 合計所得金額 年金収入+その他の合計所得
1割負担 160万円以下 280万円以下
2割負担 160万円以上220万円以下 280万円以上340万円以下
3割負担 220万円以上 340万円以上
世帯に65歳以上の高齢者が2人いる場合
自己負担額 合計所得金額 年金収入+その他の合計所得
(2人分)
1割負担 160万円以下 346万円以下
2割負担 160万円以上220万円以下 346万円以上463万円以下
3割負担 220万円以上 463万円以上

例えば通常介護ベッドレンタルが毎月1万円掛かるとします。1割負担に該当する人なら毎月1,000円で済みますが、2割負担だと2,000円、3割負担だと3,000円です。このように、所得によって自己負担額は大きく変わってしまうので気を付けましょう。

福祉用具の貸与(レンタル)については下記の記事でも詳しく解説しています。

介護ベッドメーカーの一覧

介護ベッドは主に介護用品を取り扱うメーカーで製造されてきました。しかし、近年は家具メーカーでも介護ベッドの製造・販売を手掛けています。メーカーによって介護ベッドの種類や機能が異なるので、どのようなメーカーがあるのかも知っておくと良いでしょう。

パラマウントベッド

介護ベッドメーカーの中でも高いシェア率を誇るのが、パラマウントベッド株式会社です。元々は医療現場で使われるベッドの開発を手掛けており、1962年には日本で初めて電動ベッドの開発にも成功しました。現在は『楽匠プラス』『レントシリーズ』『Q-AURA(クオラ)』などのシリーズが展開されています。

シーホネンス

バネ類製作会社から医療・介護ベッド事業に参入したシーホネンス株式会社は、在宅向けに低床ベッドの『Emi』『和夢シリーズ 彩』、スタンダードベッドの『CORE Neo』を展開しています。この中でもEmiは電動ヘッドレストが備わっており、食事や投薬時の誤嚥リスクを抑えられるよう開発されています。

フランスベッド

1949年創業で歴史も古いフランスベッド株式会社は、介護ベッド以外にも車いすや歩行器など、さまざまな福祉用具も取り扱っています。介護ベッドだと一人ひとりの体型にもフィットしやすい『マルチフィットベッド』や、超低床から61cmまで高さ調節ができる『フロアーベッド』など、機能性に優れた商品が揃っています。

在宅介護の際は介護ベッドを利用する

介護が必要になった人からすると、馴染みのない施設へ行くよりも慣れた我が家に居たいという気持ちから、在宅を選ばれる人が多く見られます。しかし、在宅介護となると介護をする家族に負担が掛かってしまうのも事実です。介護者の肉体的負担が軽減されることで、心のゆとりにもつながるでしょう。

介護者の負担を軽減させる福祉用具の中でも、介護ベッドは非常に便利なアイテムです。移乗する際の介助負担を軽減させるだけでなく、要介護者が1人で立ち上がれるように支援してくれる機能を持った介護ベッドも登場しています。

介護ベッドを利用する場合、購入だと全額自費負担となってしまうため介護保険を使ったレンタルがおすすめです。介護保険なら自己負担額を1~3割に抑えられます。介護ベッドの種類や所得によって自己負担額は変わってくるので、レンタルしたい人は担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

この記事のまとめ

  • 介護ベッドは要介護者と介護者、双方の負担を軽くしてくれるベッド
  • 自費でレンタルすると月額8,000円~13,000円掛かるが、介護保険を利用すれば1~3割負担に抑えられる
  • 介護保険を利用できるが、購入はできずレンタルのみ対象となる

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