【最新版】定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは|最新の日割り費用、人員基準など
さまざまな介護サービスを見てきたけど、本人に合うような介護サービスがなかなか見つからないという人は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を検討してみると良いかもしれません。定期巡回・随時対応型訪問介護看護とはどのようなサービス内容を提供していて、どのような人が対象なのでしょうか?
今回は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護について詳しく解説していきます。在宅の介護・看護サービスについて詳しく知りたい人はぜひ参考にしてみてください。
大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、介護スタッフや訪問看護師などが定期的に利用者の居宅を巡回し、介護や生活の援助、療養上の世話をしながら心身の機能維持や回復を目指す介護保険サービスです。要介護状態になった場合でも、できるかぎり居宅で自身の能力に応じて自立した日常生活を過ごせるように支援します。
定期的な巡回のほか、随時通報での対応もおこない、心身の状況に応じて24時間体制で必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に提供します。このサービスは2012年4月に創設されました。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、介護職だけでなく看護職も対応するため看護と介護の一体的なサービスを受けることが可能です。現在は訪問介護・看護などの在宅サービスが増加しているものの、24時間をとおして要介護者の在宅生活を支える仕組みが不足しています。また医療ニーズが高い人に対して医療と介護の連携が不足している問題があったため、このサービスが生まれました。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の特徴
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の特徴は、次の3点です。
- 日中や夜間を問わずサービスを受けられる
- 訪問介護と訪問看護を一体的に受けられる
- 定期的な訪問だけでなく随時サービスを必要な時に受けられる
なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と併用できないサービスもあります。「訪問介護」「訪問看護」「夜間対応型訪問介護」はサービス内容が重複しているため、併用ができません。ただし訪問介護の通院などの乗降介助と、訪問看護の連携型を利用している時は除きます。
事業所は「一体型」と「連携型」の2種類
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供する事業所には「一体型事業所」と「連携型事業所」の2種類があります。事業所の種類によってサービスの提供方法が異なることがポイントです。訪問介護と訪問看護がどのような形態でサービス提供されるかによって、それぞれメリットとデメリットがあります。
一体型事業所
一体型事業所は、訪問介護と訪問看護が同じ事業所から提供されます。事業所には、介護職員と看護職員の両方が所属しています。
メリット
一体型事業所のメリットは2つあります。1つ目は、介護と看護が同じ場所で提供されているので情報の交換がしやすい点です。介護職員と看護職員の所属がバラバラの場合、情報交換ができにくく連携がうまく取れない可能性があります。そのため連携をしっかりと取れるのは大きなメリットです。
2つ目は、看護師から医療的なケア方法の知識を得て、介護職でも医療の目線を持って訪問できる点です。密な情報交換ができる一体型では、介護職員が看護職員から医療的なアドバイスを得られます。実際に医療的なケアをするのは看護職員ですが、介護職も医療的な目線を持って利用者に接することで、細やかな気づきが得られることもあるでしょう。
デメリット
一体型のデメリットは、地域密着型のサービスなので、事業所と同じ地域に住んでいる人でないと利用できない点です。利用したい事業所があっても、地域が異なる場合は基本的に利用できません。
連携型事業所
連携型事業所は、定期巡回・随時対応型訪問介護をおこなう事業所が、他の訪問看護事業所と連携してサービスを提供していきます。介護職員と看護職員は、それぞれ別の事業所から派遣される仕組みです。
メリット
連携型事業所のメリットは2つです。1つ目は、複数の事業所が連携して利用者の元へ訪問するため、地域全体の情報共有が期待できます。複数の事業所がかかわることで、地域のネットワークを生かした安否確認や健康状態の管理などもしやすくなります。
2つ目は、地域の医師や病院といった医療状況を把握しやすい点です。訪問看護事業所に所属している看護師は、地域の医師や病院と連携しています。そのため、状況を把握したうえで医療的なケアにあたることができます。
デメリット
連携型事業所のデメリットは2つあります。1つ目は、密な連携や情報交換が取りづらい部分があることです。連携型事業所の場合、訪問介護と訪問看護が同じ場所で働いているわけではないので、情報交換や連携が取りにくいです。また、密な情報交換ができないことで利用者の詳細な状況を把握しづらく、一体的なサービスができない可能性があります。
2つ目は、夜間や随時対応の訪問看護の頻度が多いと対応してくれる事業所が見つからない場合があることです。訪問看護を行っている事業所にも、何人で回すかといった限度があります。そのため訪問数が多くなると対応できなくなる場合もあるのです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の対象者
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の対象者は、要介護1以上の認定を受けた人です。要支援1または要支援2の人は利用できないので注意しましょう。
要介護度別の利用者の割合
厚生労働省によると、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用者は要介護1に認定されている人が26.4パーセント、要介護2に認定されている人が25.8パーセント、要介護3に認定されている人が18.3パーセント、要介護4に認定されている人が17.4パーセント、要介護5に認定されている人が12パーセントという結果でした。
要介護度が重くなるにつれて割合が少なくなるのは、在宅介護から施設入居に切り替える人が多いことが関係しているでしょう。一方で、引き続き自宅で介護を受けたいという在宅サービスの需要もあることが分かります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の人員基準
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の人員基準は、厚生労働省で定められています。介護職員や看護職員などはどのくらいの人員が必要なのか、見ていきましょう。
訪問介護員など
訪問介護員などは、定期巡回サービスか随時訪問サービスかによって数が変わってきます。定期巡回サービスをする訪問介護員などは、交通事情や訪問頻度などを勘案して適切に定期巡回サービスを提供するための人数以上が必要です。具体的な人数の指定はなく、人員が多ければ多いほど一度に訪問できる数が多くなります。
随時訪問サービスをする訪問介護員などは、常に随時訪問サービスを提供できる訪問介護員が1人以上いないといけません。夜間や深夜・早朝の時間帯は、オペレーターが随時訪問サービスをする訪問介護員を兼務できます。求められる資格は、介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修、初任者研修、訪問介護員1級、訪問介護員2級を取得している人です。
看護職員
看護職員は基本的に、2.5人以上が必要です。常時オンコール体制を確保するために、2~3人は必要となります。連携型事業所の場合は、併設訪問看護事業所と合算して2.5人以上にできます。求められる資格は保健師、看護師、准看護師などです。
オペレーター
オペレーターは、利用者の処遇に支障がない範囲で、当該事業所の多職種、同一敷地内の他の事業所、施設など(特別養護老人ホームや老健施設などの夜勤職員、訪問介護のサービス提供責任者、夜間対応型訪問介護のオペレーター)と兼務が可能です。
オペレーターは看護師、介護福祉士などのうち常勤の人1人と3年以上訪問介護のサービス提供責任者として従事した人でないといけません。また、看護師とオペレーターのうち1人は、常勤の保健師または看護師でないとならないのです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス内容
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス内容は、定期巡回サービス、随時対応サービス、随時訪問サービス、訪問看護サービスがあります。それぞれどんなサービス内容なのか見ていきましょう。
定期巡回サービス
定期巡回サービスは、その名の通り利用者の自宅を定期的に巡回して介護を行うサービスです。介護職の人が定期的に巡回し、入浴や排泄、食事などといった日常生活上の介助をします。入用や排泄の他に、利用者が一人暮らしの場合は洗濯や掃除なども介助をしながら一緒にやります。
随時対応サービス
随時対応サービスは、オペレーターが利用者からの通報を受けて、状況に応じてサービスを手配します。食事の介助や入浴の介助は定期巡回でできますが、何か不都合なことがあった場合などは、この随時対応サービスも利用可能です。随時対応サービスを利用すると、介護職員もしくは看護師が利用者のもとへ駆けつけて介助をしたり療養をしたりします。
随時訪問サービス
随時訪問サービスは、オペレーターからの要請を受けた介護職員が利用者の自宅を訪問して、入浴や排泄などといった日常生活上の世話をします。随時対応サービスと異なる点は、日常生活上の介助をしてくれるところです。
随時対応サービスの場合、利用者の状況に応じて介護職員もしくは看護師が利用者の自宅に訪れて介助をしたり診察のアシスタントをしたりしていましたが、随時訪問サービスになると日常生活で清潔を保ったり栄養を摂ったりするのに不可欠なことを介護職員がやってくれます。寝たきりの利用者の場合は、食事介助などもやってくれるので安心です。
訪問看護サービス
訪問看護サービスは、看護師や保健師が利用者の自宅を訪れて、薬を飲ませるなどの療養上の世話や、地域の医師が訪問した時の診療の補助をします。定期巡回サービスのような日常生活の世話ではなく、医療的な世話や医師の診療の補助が主な内容です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の月額・日割り費用
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の月額費用は、一体型事業所の場合と連携型事業所の場合で異なります。一体型事業所の場合は、さらに訪問看護サービスを受けるか受けないかで料金が異なるので注意しましょう。
訪問看護サービスを受けない場合は、要介護1に認定されている人で5,697円、要介護2に認定されている人で1万0,168円、要介護3に認定されている人で1万6,883円、要介護4に認定されている人で2万1,357円、要介護5に認定されている人で2万5,829円です。
一体型事業所で訪問看護サービスを受けない場合
要介護度 | 月額費用 |
---|---|
要介護1 | 5,697円 |
要介護2 | 1万0,168円 |
要介護3 | 1万6,883円 |
要介護4 | 2万1,357円 |
要介護5 | 2万5,829円 |
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造(R3.1.18)」
訪問看護サービスを受ける場合は、要介護1に認定されている人で8,312円、要介護2に認定されている人で1万2,985円、要介護3に認定されている人で1万9,821円、要介護4に認定されている人で2万4,434円、要介護5に認定されている人で2万9,601円となります。
一体型事業所で訪問看護サービスを受ける場合
要介護度 | 月額費用 |
---|---|
要介護1 | 8,312円 |
要介護2 | 1万2,985円 |
要介護3 | 1万9,821円 |
要介護4 | 2万4,434円 |
要介護5 | 2万9,601円 |
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造(R3.1.18)」
連携型事業所の場合は訪問介護サービスを受けない場合で、月に5,697~2万5,829円がかかります。
連携型事業所で訪問介護サービスを受けない場合
要介護度 | 月額費用 |
---|---|
要介護1 | 5,697円 |
要介護2 | 1万0,168円 |
要介護3 | 1万6,883円 |
要介護4 | 2万1,357円 |
要介護5 | 2万5,829円 |
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造(R3.1.18)」
連携型事業所で訪問看護サービスを受ける場合
要介護度 | 月額費用 | 訪問看護事業所の月額費用 |
---|---|---|
要介護1 | 5,680円 | 2,945円 |
要介護2 | 1万0,138円 | 2,945円 |
要介護3 | 1万6,833円 | 2,945円 |
要介護4 | 2万1,293円 | 2,945円 |
要介護5 | 2万5,752円 | 3,745円 |
※参考:厚生労働省告示「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
また、サービスを提供する事業所の所在地やサービスの提供体制、サービスの内容などに応じて利用料は異なる場合があるので、市区町村の窓口や地域包括支援センターなどに問い合わせてみると良いでしょう。
24時間のサポートを受けるなら
今回は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護について詳しく解説してきました。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間体制で利用者の生活をサポートしてくれるため、一人暮らしの利用者でも安心できます。一体型事業所と連携型事業所で異なるメリット・デメリットがあるので、把握しておきましょう。
もし家族が遠方に住んでいて安否確認がすぐにできなくても、ケアマネジャーや定期巡回している職員が確認してくれるので安心です。施設への入居に抵抗があるが夜間も介助が必要という場合は、ぜひ定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事のまとめ
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護職が定期的に巡回し利用者の日常の世話をするサービス
- 一体型と連携型があり、それぞれメリット・デメリットがある
- サービス内容によって巡回する人やできることが異なる
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