要支援2とは|受けられるサービス・支給限度額・デイサービスやヘルパーの回数の目安

要支援2とは、要支援1と要介護1の中間であり「まだ本格的に介護が必要ではないものの、今後のために介護予防が必要な状態」です。要支援2と判断されたら介護保険を利用して介護予防サービスを受けることが可能になります。今回は要支援2の診断基準、介護保険の支給限度額、受けられる介護予防サービスの利用回数、費用の目安などについて紹介しましょう。

要支援2とは|受けられるサービス・支給限度額・デイサービスやヘルパーの回数の目安
平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。

要支援2の心身状態とは

要支援2とは要介護認定の7段階(自立を除く)の評価のうち2番目に軽い要介護度です。一言でいうと「まだ介護が必要ではないものの、介護予防に積極的に取り組んだほうがいい状態」となります。

要介護度を判断するうえで、重要な判断材料に「要介護認定等基準時間」という項目があります。これは簡単にいうと「1日のうちで介護に要する時間」のことです。一次判定では、この時間をもとに判断が下されます。

判定区分別の要介護認定等基準時間と認知症加算の合計
判定区分 要介護認定等基準時間と認知症加算の合計
要支援1 25分以上32分未満またはこれに相当する状態
要支援2 32分以上50分未満またはこれに相当する状態
要介護1 32分以上50分未満またはこれに相当する状態
かつ状態が不安定な場合や、認知症などにより介護予防給付を正しく理解して利用できない場合
要介護2 50分以上70分未満またはこれに相当する状態
要介護3 70分以上90分未満またはこれに相当する状態
要介護4 90分以上110分未満またはこれに相当する状態
要介護5 110分以上またはこれに相当する状態

1日の介護に必要な時間が「32分以上50分未満またはこれに相当する状態」という場合、要支援2もしくは要介護1と判定されます。そのうえで「状態の維持・改善可能性に係る審査判定」の2項目のうち、どちらにも該当しない場合に「要支援2」と判断されるのです。

要支援2と要介護1の差については後述します。

要支援2と要支援1、要介護1との心身の状態の違い

より具体的に要支援2の状態を知るために「要介護認定等基準時間」以外の内容をもとに要支援2と要支援1、要介護1との違いを紹介していきましょう。ここでは廿日市市と堺市が提示している項目を参考にします。

廿日市市「要介護度別の心身の主な状態例」
要介護度 心身の状態
要支援1
  • 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある。
  • 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
  • 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
  • 居室の掃除などの身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある。
  • リハビリテーションなどによる状態の維持改善可能性が高い。
要支援2
  • 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
  • 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
  • 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
  • 居室の掃除などの身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
  • リハビリテーションなどによる状態の維持改善可能性が高い。
要介護1
  • 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
  • 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
  • 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
  • 居室の掃除などの身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
  • 問題行動や理解の低下がみられることがある。
引用:廿日市市「要介護度別の心身の主な状態例
堺市「要介護度別の状態像の目安」
要介護度 心身の状態
要支援1
  • 日常生活の能力は基本的にあるが、入浴などに一部介助が必要。
要支援2
  • 立ち上がりや歩行が不安定。
  • 排泄、入浴などで一部介助が必要であるが、「適切なサービス利用により、明らかな要介護状態に移行することを防ぐことができる可能性がある」
要介護1
  • 立上がりや歩行が不安定。
  • 排泄、入浴などで一部介助が必要。
引用:堺市「要介護度別の状態像の目安

このように要支援2とは、要支援1に比べて自分1人でできる基本的な生活動作が制限されはじめ、不安定になった状態です。しかし要介護1とは違って「問題行動や理解の低下」はない状態であり、リハビリなどの適切なサービスを受けることで回復する見込みは高いという特徴があります。

なお、要支援1と要介護1の状態については以下の記事で詳しく紹介しています。

要支援2と要介護1は「状態の維持・改善可能性に係る審査判定」の違いで判断される

要支援2と要介護1のどちらに判定されるかは非常に重要です。要支援2では介護予防サービスしか受けられませんが、要介護1になると介護サービスを受けられます。ですので、二次判定の結果、要支援2もしくは要介護1に該当した場合は、最終的に「状態の維持・改善可能性に係る審査判定」で協議されます。

判断基準として以下の2点があります。このどちらかに該当した場合は「要介護1」です。いずれも当てはまらない場合は要支援2となります。

要支援2と要介護1の判断基準
(1)疾病や外傷などにより心身の状態が安定せず、短期間で要介護状態等の再評価が必要になると想定される。
(2)認知機能や思考・感情等の障害により、十分に説明したとしても予防給付の利用を適切に理解できない。
引用:厚生労働省「状態の維持・改善可能性にかかる審査判定

状態の安定性認知症の有無などで、要支援2か要介護1かが決まるのです。

要支援2に納得できない場合は「やり直し」もできる

「要支援2」と判定された際に「もっと重いレベルのはずだ」と思う方もいるでしょう。結果が腑に落ちない場合は、調査のやり直しを申請できます。

調査員のヒアリングなどでは人が判断するため、対象者との齟齬が起きてしまうこともあるのです。特に要支援2と要介護1との違いは微妙なラインですので、間違いが発生することもあります。

やり直しを希望する場合は、結果をもとに地域包括支援センターに相談してみましょう。すると「区分変更の申請」を勧められる可能性があります。区分変更の申請とは認定調査のやり直しのことをいいます。本来は「調査中に容態が急変した」などのトラブルの際に使われる制度ですが、結果に不満があった際にも利用可能です。ただし、区分変更の申請をしたとしても必ずしも希望している区分に認定されるわけではありません。

要支援2の支給限度額とは

要介護度によって介護保険の利用限度額が決まっていることは前述したとおりです。要支援2の支給限度額は以下になります。

要支援2の月額利用限度額 自己負担額(1割で計算)
10万5,310円 1万531円

要支援2の場合は月に10万5,310円分の介護予防サービスを使えることになります。自己負担額は(1割の場合)1万531円です。なお、10万5,310円を超えてしまうと、超過分は10割負担となりますので注意しましょう。

要支援2で使える介護予防サービスは?

では具体的に介護保険を使って、どの在宅サービスをどれくらい使えるのか見てみましょう。表にまとめると以下のようになります。なお、記載している回数と費用はあくまで目安です。どれだけ利用するかは利用者によって変わります。またそれによって費用も変動します。実際に利用する際は担当のケアマネジャー、サービス事業者などと相談をしましょう。

要支援2で使える在宅介護サービス一覧
サービスの種類 項目 1回あたりの自己負担額費用の目安(1割の場合)
訪問サービス 介護予防訪問入浴介護 852円
介護予防訪問リハビリテーション 307円
介護予防訪問看護 302円
※利用時間によって変動
介護予防居宅療養管理指導 管理・指導内容によって異なる
通所サービス 介護予防通所リハビリテーション(デイケア) 3,999円
※1カ月あたりの利用料
介護予防通所介護(デイサービス) 423円
宿泊サービス 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ) 486円
介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 721~817円
※部屋のタイプによって変動
施設サービス 介護予防認知症対応型共同生活介護 748円
※「自己負担額1割」「1単位=10円」で計算
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造(R3.1.18)

この他に利用できる介護保険サービス

訪問・通所・宿泊・施設のサービスの他にも、要支援2で利用できる介護保険サービスはあります。この他の介護保険サービスについて説明しましょう。

福祉用具のレンタル

福祉用具も、介護保険を使えば安価にレンタルできます。ただし要支援2で利用できるアイテムは限られていますので、注意してください。

要支援2でレンタルできる福祉用具
  • 手すり(工事をともなわないもの)
  • スロープ(工事をともなわないもの)
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引するもの)
参考:厚生労働省「福祉用具・住宅改修

福祉用具の購入

要支援2と認定されたら、レンタルだけでなく福祉用具の購入にも介護保険を適用できます。年度ごとに1年間で10万円(税込)を上限に利用できます。10万円で購入できる福祉用具は以下のとおりです。

介護保険で購入できる福祉用具
  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 排泄予測支援機器
  • 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すりなど)
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具

介護予防住宅改修

要支援の状態でも室内で転倒などをしてしまうと要介護になる可能性があります。そこで介護予防のために住宅の改修ができます。申請をすれば20万円の補助金が支給されるものです。こちらは要支援1と2の方が対象になっています。

介護予防住宅改修でできるリフォーム
  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他、上記の住宅改修に付帯する工事
参考:厚生労働省「福祉用具・住宅改修

自費であれば使える在宅サービス

ここまでに紹介したのは介護保険を使える介護予防サービスです。この他の介護サービスに関してももちろん自費であれば、利用ができます。「要支援2では介護保険を利用できないが、自費負担で使える在宅サービス」は以下のものがあります。

要支援2でも自費負担でなら使える在宅サービス
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 療養通所介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

要支援2のケアプラン例

要支援2の人が介護予防サービスを受ける場合、以下のようなケアプランが考えられます。

サービス名 利用頻度 利用回数/月 金額/回(1割負担の場合) 金額/月
介護予防訪問看護 週に2回 8回 302円
※利用時間によって変動
2,416円
介護予防訪問リハビリテーション 週に1回 4回 307円 1,228円
介護予防通所介護(デイサービス) 週に1回 4回 423円 1,692円
福祉用具のレンタル(手すり) - - 定額 4,791円
※事業者によって変動
合計 10,127円

自己負担が1割の場合は毎月おおよそ10,127円となります。福祉用具のレンタル費用は事業者により変動するため、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

要支援2で入居できる老人ホーム・介護施設は

要支援2でも入居できる介護施設は多くあります。将来に備えて生活環境を整えておきたい方や予算に余裕のある方は、施設への入居も視野に入れてみるといいでしょう。

要支援2で入居できる老人ホーム・介護施設
施設種別 対応可否
介護付き有料老人ホーム △(ホームによって異なる)
住宅型有料老人ホーム
健康型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅
グループホーム (認知症の場合)◯
ケアハウス 一般型◯
介護型✕
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設

在宅介護と施設入居の費用の違い

要支援2の人が在宅介護を受ける場合と、施設へ入居する場合の費用とではどのくらい違うのでしょうか。先述のケアプランの費用も踏まえ、年金などの収入が25万円ある単身世帯の女性が、横浜市のサービス付き高齢者向け住宅に入居するパターンを一例に挙げて比較してみましょう。

年金などの収入が25万円ある単身世帯の女性の場合
在宅介護 サービス付き高齢者向け住宅
収入 年金・その他 25万円  
支出 月額利用料(家賃・管理費など) 0円 14万7,000円
生活費(食費・水道光熱費など) 13万7,653円 8万6,000円
介護サービス費(自己負担1割の場合) 10,127円 10,127円
支出合計 14万7,780円 24万3,127円
収支 10万2,220円 6,873円
参考:e-Stat「家計調査(2021年1月現在)

このケースでは、在宅介護のほうが10万円近く費用を抑えることができました。要支援の場合は、在宅介護でケアが行き届くこともあります。日常生活において一部の介助が必要なものの、生活のほとんどは1人でもおこなえるのであれば、まだ施設に入居しなくても生活ができるといえます。

要支援2の生活で大事なのは「介護予防に力を注ぐこと」

要支援2は要介護状態になる瀬戸際の状態です。ですので、介護保険や介護予防サービスを使いながら運動機能、認知機能などを維持することを考えましょう。

また在宅でも生活できる場合が多いのが要支援2の特徴です。自宅での日常生活を不自由なく続けるためにも、外部の事業者を頼りながら工夫しましょう。

この記事のまとめ

  • 「状態の維持・改善可能性に係る審査判定」で要支援2と要介護1が判別される
  • 要支援2では介護保険を使って介護予防サービスが利用できる
  • 要支援2の生活では介護予防に力を入れることが重要

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