短期入所療養介護とは|短期入所生活介護との違い・計画書の内容など

短期入所療養介護は、短期間入所してスタッフから介護が受けられるサービスです。

身内の介護は長期間に及ぶため、介護する側も時には心と体を休め、自身をケアしなければなりません。短期入所療養介護では、看護と医学的治療を含む、さまざまなサービスを提供しているので、在宅介護の負担軽減を目的に利用していきましょう。

短期入所療養介護とは|短期入所生活介護との違い・計画書の内容など
岡田慎一郎

この記事の監修

岡田慎一郎

理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員

身体障害者、高齢者施設に勤務。古武術の身体運用を参考にした「古武術介護」が反響を呼ぶ。近年は介護、医療、リハビリ、消防・救命・育児支援・教育・スポーツなど、幅広い分野で身体を通した発想と実践を展開させ、多岐にわたる活動を国内外で行う。『あらゆる状況に対応できる シンプル身体介助術』(医学書院)など著書、DVD、通信講座など多数。

短期入所療養介護とは

短期入所療養介護とは、ショートステイの一つです。短期入所療養介護は医療型ショートステイとも呼ばれ、介護老人保健施設や医療機関に短期間入所して、医療的なサポートも受けられます。一般的なショートステイは短期入所生活介護ですが、主となるサービスの違いなどから2つに区別されます。

短期入所療養介護では、自宅で療養生活を送っている要介護者が一時的に介護施設に入所します。提供されるサービスはさまざまであり、看護や医学的管理をはじめ介護、機能訓練などが挙げられます。

医師や看護師が配置されているので、医療的な治療が充実しています。例えば、インスリンの投与が必要な人や喀痰吸引が必要な人、リハビリテーションが欠かせない人など生活介助以上の手助けが必要な場合には頼りになります。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門スタッフもいるため、機能訓練・リハビリも充実しており、家族など預ける側としても安心できます。長期的な施設への入居が困難な家庭であっても、一時的な入所であれば利用しやすく、介護する側も休息の機会が得られる介護サービスです。

ほとんどの場合、介護老人保健施設のスペースを利用する

短期入所療養介護を提供する施設はいくつかあります。介護老人保健施設や介護療養型医療施設、療養病床を持つ病院・診療所、老人性認知疾病療養病棟を持つ病院など、提供先はさまざまですが、利用状況は介護老人保健施設が大半です。

短期入所療養介護の利用条件

短期入所療養介護を利用するためには、条件を満たしている必要があります。その条件とは、以下のとおりです。

要介護1~5のいずれかに認定されていること

短期入所療養介護を受けるには、要介護1~5に認定されていることが必要です。

要介護認定とは、介護保険サービスを受ける人に対して、「どのような介護が、どの程度必要か」を判定した指標です。判定には要介護と要支援の2種類があります。65歳以上になると交付される介護保険被保険者証を持っているだけでは、介護サービスはすぐに受けられず、介護認定の調査を受け、判定をされることが、必要になります。

市区町村に申し込んで受ける要介護認定では、以下の5項目がチェックされます。

身体機能・起居動作

介護認定の希望者が、生活に必須の基本動作をどの程度できるか確認する項目です。体の麻痺や関節の動き、寝返り、視力、聴力などチェックは13項目におよびます。実際に本人に体を動かしてもらいながらの聞き取り調査がメインですが、家族に話を伺うこともあります。

生活機能

食事摂取や排尿、上着の着脱など、日常生活に伴う動作を中心に機能を調べる項目です。

認知機能

意思伝達能力や短期記憶について確認する項目です。生年月日を言ったり、自分の名前を言ったりして対話における能力を調べます。短期記憶では、現在いる場所などを質問されます。

精神・行動障害

過去一カ月を基準に、社会生活を送る上で支障のある行動がなかったかを調べる項目です。具体的には、泣いたり笑ったりといった感情の不安定さ、急に怒鳴るなどの行為に対して、「ある」「ない」「たまにある」などと回答します。

社会生活への適応

社会生活をするために必要な能力を満たしているかを確認する項目です。買い物や簡単な料理といった行動ができるかどうか、集団のなかで上手く関われるかを調査します。

短期入所療養介護を利用できるのは、上記の判定基準をもとに要介護1~5のいずれかに該当すると判断された人のみです。要支援1~2に該当する人は利用対象外で、介護予防短期入所療養介護を利用することになります。

病状が安定していること

短期入所療養介護を利用する場合には、病状が安定している必要があります。在宅酸素や胃ろうなどの経管栄養、人工肛門、認知症など、介護を必要とする理由は人それぞれですが、いずれにしても病状が不安定な状態では受け入れてもらえません。

短期入所療養介護の特徴

短期入所療養介護では、医療的ケアから機能訓練、生活の支援まで幅広いサービスが受けられます。ここでは、短期入所療養介護の特徴について解説します。

利用日数は最長30日間まで

短期入所療養介護における利用日数は、連続して30日間までです。最短日数は、一泊二日となっています。

介護保険サービスは要介護ごとに支給限度額が設定されているため、利用金額はその枠内に収めないといけません。31日以降の利用については介護保険が適用されず、全額自己負担となります。

料金は要介護度や部屋のタイプによって異なる

短期入所療養介護の利用料金は、部屋のタイプや要介護度によって異なります。参考までに、最も利用率が高い介護老人保健施設に入所した場合の料金は以下の通りです。

介護老人保健施設を利用した場合の料金

従来型個室(1日あたり)
要介護度 料金
要介護1 752円
要介護2 799円
要介護3 861円
要介護4 914円
要介護5 966円
※「自己負担額1割」「1単位=10円」で計算
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造(R3.1.18)
多床室(1日あたり)
要介護度 料金
要介護1 827円
要介護2 876円
要介護3 939円
要介護4 991円
要介護5 1,045円
※「自己負担額1割」「1単位=10円」で計算
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造(R3.1.18)

料金は介護保険の自己負担額が一割の人を想定しています。高齢でも所得が高い人は2~3割負担となるため、上記の例よりも金額が上がります。基本的な利用料は施設によっても異なるため、詳しくは市区町村などにご相談ください。

部屋は4種類ある

短期入所療養介護の部屋は、全部で4種類あります。個々の身体状況やプライベートの優先率などによって選ぶことが可能です。

従来型個室

居室が個室になっている部屋です。トイレや浴室は共用ですが、施設によってはトイレや洗面台も付属しているケースもあります。設備の充実度は、各施設によって異なります。

多床室

一部屋4床以下の相部屋です。ベッドとベッドの間は仕切られているため、プライベート空間も確保できるようになっているのが一般的です。

ユニット型個室

10名程度の人数を一つのユニットとする個室部屋です。共有スペースが設けられており、食堂やトイレ、浴室は他の入居者と共に利用します。

ユニット型個室的多床室

以前まで、ユニット型準個室と呼ばれていた部屋です。天井と壁の間に一定の隙間が生じているため、感染症の予防や温度の一定化など個室の定義に該当しないので名称が変更されました。食堂やトイレ、浴室を共有するなど、居室以外の点はユニット型個室と変わりません。

医療を含み多岐にわたるサービスを提供

医療ケアが提供される短期入所療養介護では、機能訓練や日常生活におけるサービスなども受けられます。提供されるサービスは、以下のものです。

  • 健康管理:体温、脈拍、呼吸などの確認、服薬指導、インスリンの自己注射の管理、褥そう(床ずれ)状態のチェックなど
  • 医療機器の調整・交換:胃ろうチューブなどの医療器具の調整・交換
  • リハビリテーション:専門職による身体状況に合わせた機能回復訓練やリハビリテーション、マッサージ
  • 認知症のケア:認知症の症状や行動に対する対応
  • 緊急時の受け入れ:主たる介護者が介護できない状況での受け入れ
  • 急変時の搬送:医師の判断による協力医療機関への対応
  • 日常生活の世話や介護:医師や看護師の管理に基づく、排泄介助や移動の介助、入浴や食事などの日常生活上の支援
  • 在宅介護におけるアドバイス:自宅での介護における相談やアドバイスの提供
  • ターミナルケア:終末期の対応と看取り

短期入所療養介護と短期入所生活介護の違い

ショートステイには短期入所療養介護の他に、短期入所生活介護があります。似たような施設名称であるため、「なにが違うの?」と区別がつかない人も多いはずです。介護対象者に適した施設を選ぶためにも、両者の違いについては知っておく必要があります。

両者の違いは、医療的治療を提供しているかどうか

短期入所療養介護では、医師や看護師の管理の下、医療的ケアを提供しています。老人保健施設や療養病床のある病院・診療所などが、日常生活の支援に加えて、インスリンの投与や喀痰吸引にも対応してくれる介護施設です。

一方の短期入所生活介護では、医療的な治療ではなく日常生活の世話や管理をメインにおこなっています。入浴や排泄、食事などの介護、機能訓練までをサポートして、利用者の心身機能の維持と家族の身体的、精神的負担の軽減を図っている施設です。

両者の名称は似ていますが、医療の提供をメインとしているかどうかで区別できます。

生活支援や身体介護を受けられる点は共通している

短期入所療養介護と短期入所生活介護の共通点は、どちらも利用者が可能な限り、居宅で自立した日常生活を営めるように支援するということです。厚生労働省が定めた『指定居宅サービスなどの事業の人員、設備および運営に関する基準』の基本方針にも、そのように明記してされています。

医療的な側面が強い短期入所療養介護に対して、短期入所生活介護では日常生活で必要な支援や身体介護を中心にしているのが特徴です。

短期入所療養介護の計画書とは

利用者が相当期間以上に渡り継続して入所する予定である場合、短期入所療養介護事業所の管理者は、短期入所療養介護計画を作成しなければなりません。医師の診療方針の下、利用者の心身の状況、病状、希望およびその置かれている環境に配慮し、ケアマネジャーなど他の短期入所療養介護従業者と話し合ったうえで、サービス計画を作成します。

計画作成にあたっては、本人や家族の意向を存分に反映させ、同意を得るのも義務です。利用者によって身体状況や支援範囲が異なるのはもちろんですが、居宅での本人の生活環境やリズムもあるため、計画書作成には意向を重視させる必要があります。

具体的に計画書には、ショート利用の目的や解決すべき課題・援助目標などを記載します。一日のスケジュールを記載する欄もあり、日常生活上の活動や担当者、サービス内容なども盛り込まなければなりません。利用者本人と家族が安心できるように、要望や希望については計画作成時に伝えてください。

医療的ケアが必要な場合に役立つ短期入所療養介護

短期入所療養介護は、一時的に介護サービスが受けられるショートステイの一つです。短期入所生活介護と異なり、医師や看護師から医療的ケアや機能訓練が提供されるため、医療的介護が必要な人が利用できます。

利用対象者は要介護認定を受けており、なおかつ病状が安定している人です。連続30日までは介護保険が適用されますが、31日目以降は全額自費となるので注意してください。

短期入所療養介護計画の作成時には、本人や家族の意向を担当者に伝えて、安心できる利用環境をつくることも大切です。在宅介護に疲れた時や急用ができた時などは、ショートステイを利用して、適度に休息しながら介護を続けていきましょう。

この記事のまとめ

  • 短期入所療養介護は、医師や看護師の下で医療的ケアが提供される施設
  • 利用対象者は要介護1~5の人
  • 一定の利用日数を超えると、全額自費になる

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