健康型有料老人ホームとは|費用、サービス、住宅型・介護付きとの違いを紹介
健康型有料老人ホームは、民間企業が運営している有料老人ホームの1種です。全国にまだ数施設しかない老人ホームであり「元気な高齢者の健康維持」を目的としています。この記事では専門家の監修のもと健康型有料老人ホームについて解説します。
大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。
有料老人ホームは健康型・住宅型・介護付きの3種類
健康型有料老人ホームの説明に入る前に「有料老人ホーム」について解説します。有料老人ホームは、高齢者に下記のいずれかのサービス(複数も可)を提供する生活施設です。施設によって提供しているサービスや価格帯もさまざまあります。
有料老人ホームが提供するサービス
- 食事の提供
- 介護(入浴・排泄・食事)の提供
- 洗濯や掃除などの家事のサポート
- 健康管理
有料老人ホームは「健康型」「住宅型」「介護付き」の3種類に分けられます。健康型の入居を検討する前に各施設形態の違いを明確にしておくことが大切です。おおまかな特徴を下記にまとめました。健康型、住宅型、介護付きの順に、自立から徐々に介護度が重くなっていくイメージです。
有料老人ホームの種類と特徴
施設形態 | 特徴 |
---|---|
健康型 | 原則自立の方を対象とした食事などの日常生活に必要なサービスがついた高齢者向け居住施設。介護が必要になれば退去しなければいけない。 |
住宅型 | 自立~要介護の方を対象とした食事などの日常生活に必要なサービスが付いた居住施設。介護が必要になれば外部の介護サービスを利用する。 |
介護付き | 自立~重度の介護者までを対象とした24時間体制で介護が受けられる居住施設。介助や食事、生活支援、リハビリなどのサービスを提供している。 |
記事の後半でも、健康型有料老人ホームと他の有料老人ホームとの違いを解説します。では続いて健康型有料老人ホームの特徴を紹介しましょう。
健康型有料老人ホームとは
健康型有料老人ホームは食事や洗濯など身の回りのサービスを受けられる高齢者のための住まいです。自立型有料老人ホームともいわれています。
生活の拠点となる居室は個室です。プライベートもきちんと確保されてます。食堂やリビング、談話室など共有設備も充実しているため、入居者同士の交流も盛んです。施設によっては温泉や庭園、映画館、トレーニングルームが設けられています。
基本的に自立の方を対象としているので、外出・外泊は自由です。アクティブなシニアライフを送りたい方に適しています。
入所条件について
入居条件は60歳以上の高齢者です。「健康型」という名の通り、介護度の重い方は対象ではありません。自立または要支援の方が対象です。要介護になった場合は退去を迫られる可能性があります。
健康型有料老人ホームは「看取りケア」「認知症の受け入れ」も基本的に応じていません。終身利用を希望している方は違う施設を検討しましょう。
健康型は全国に16施設
有料老人ホームは全国に8,000施設以上あります。しかし健康型有料老人ホームは全国に16施設しかありません(2020年6月現在)。縮小の原因は現在の高齢者のニーズと合っていないためです。
厚生労働省の調べによると要介護・要支援の認定者は2000年から2017年にかけて2.9倍増加しています。人口の高齢化に伴い要介護者が増加している状況です。この結果から分かるように、要介護を対象としない体制は時代のニーズにそぐわないといえます。
健康型有料老人ホームの費用
健康型有料老人ホームは「初期費用」と「月額費用」が必要となります。初期費用は0~数千万円、月額費用は15万~30万円です。健康型有料老人ホームは立地や設備、人員によって費用に差が生じます。入居を検討している施設は、あらかじめ問い合わせて確認しましょう。
初期費用となる「入居一時金」とは、いわゆる「家賃の前払金」です。前払いで支払う場合は入居時にまとまった金額が必要ですが、月額費用が抑えられます。施設によって複数プランありますので、今後の計画に合わせて選択してください。
月額費用の内訳は家賃、管理運営費、水道光熱費、食費、その他の生活費(おむつ代など)です。前述したように介護サービスはありません。デイサービスなどの介護保険サービスを利用したい場合は、外部の事業会社と契約して利用した分だけを支払います。
費用の目安
初期費用 | 0~数千万円 |
---|---|
月額費用 | 15万~30万円 |
健康型有料老人ホームのサービス
健康型有料老人ホームで受けられるサービスは家事などの生活支援が中心です。見守りや緊急時の対応もしているので、一人暮らしよりも安心して生活を送れます。
提供サービス
- 食事サービス
- 掃除・洗濯などの生活サポート
- 見守り・緊急時の対応
多くの施設が近隣の医療機関と提携しています。定期的に健康管理や健康相談が受けられる体制です。
他にも施設によってはイベントを活発的に企画しています。交流を楽しみたい方はアクティビティに注力している施設が最適です。自分のライフスタイルに合ったサービスを提供している施設を見つけてください。
このように健康型有料老人ホームは、自立の方を対象としているため、他の施設に比べると自由度の高い施設といえます。ただし運営基準はきちんとあり、管理者(施設長)・生活相談員・栄養士・調理員の配置が義務付けられています。
人員基準
- 管理者(施設長)、生活相談員、栄養士、調理員を配置すること
- 定期的に職員研修を実施すること
- 職員の健康管理、衛生管理を十分に点検すること
健康型有料⽼⼈ホームのメリット・デメリット
健康型有料老人ホームは、セカンドライフを充実させたい元気な高齢者の方に好条件の施設でしょう。ただしデメリットもあります。ここではメリットとデメリットに分けて特徴をまとめました。両方の側面を踏まえて入居を検討してください。
メリット
- 食事、洗濯、掃除など家事をサポートしてもらえる
- 緊急時の対応や安否確認サービスがあるので家族も安心
- 交流の場である共有スペースが充実している
- 外部の介護サービスを自由に選択できる
デメリット
- 常時介護が必要になると住み続けることが難しい
- 終身利用したい方には向いていない
- 一般的な施設と比べると入居一時金や初期費用が高い
- 全国的に施設数が少ないため近隣にない可能性がある
他の介護施設・老人ホームとの違いは
健康型有料老人ホームを検討の際に、他の介護施設や老人ホームも視野に入れている人も多いと思います。介護施設の種類は多く、有料老人ホームだけでも「健康型」「住宅型」「介護付き」と3種類あります。
加えて、自立の方を対象とした「サービス付き高齢者向け住宅」「シニア向け分譲マンション」は健康型有料老人ホームと似ています。施設探しを検討する際は、各施設の特徴を掴んでおきましょう。
住宅型有料老人ホームと健康型老人ホームの違い
住宅型有料老人ホームは、食事、洗濯、清掃などの生活サポートが付いた高齢者施設です。提供するサービスは健康型と似ています。
健康型有料老人ホームとの大きな違いは入居対象です。住宅型有料老人ホームは、自立から要介護までの高齢者を対象としています。受け入れ条件は広く一律では決まっていません。施設によっては重度の要介護者はお断りされます。基本は終身利用が可能です。
ただし、どちらの施設も介護が必要となったときは外部の事業所を利用します。料金は利用した分だけ支払いが発生する仕組みです。そのため重度の要介護者は費用の負担が大きくなるので、どちらの施設も向いていません。次に紹介する介護付き有料老人ホームがおすすめです。
こんな方におすすめ
住宅型有料老人ホーム
比較的、自由度の高い暮らしがしたい
介護が必要になっても住み替えなく暮らしたい
健康型有料老人ホーム
健康を維持しながらシニアライフを満喫したい
住宅型有料老人ホームについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
介護付き有料老人ホームと健康型老人ホームの違い
介護付き有料老人ホームは都道府県の認定がおりた「特定施設入居者生活介護(通称:特定施設)」です。特定施設入居者生活介護の認定を受けているため24時間介護職員の常駐が義務付けられています。生活支援はもちろん、身体介護や機能訓練のサービスを提供します。
介護付き有料老人ホームは手厚い介護が受けられるため「常時介護が必要な人」や「終の住処で暮らしたい人」には好都合でしょう。
こんな方におすすめ
介護付き有料老人ホーム
24時間介護が受けられる環境で穏やかな毎日を過ごしたい
健康型有料老人ホーム
見守りや安否確認がある住まいで自宅より安心して暮らしたい
介護付き有料老人ホームについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
サービス付き⾼齢者向け住宅との違い
通称「サ高住」「サ付き」と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅は、比較的お元気な人を対象とした施設です。安否確認と生活支援が受けられますが、介護サービスは義務付けられていません。主に自立した高齢者を対象としているため、健康型有料老人ホームとよく似た施設でしょう。
大きな違いは施設の定義です。有料老人ホームは「介護施設」、サービス付き高齢者向け住宅は「賃貸住宅」です。そのため初期費用の支払い方式も異なります。健康型有料老人ホームは入居一時金を支払いますが、サービス付き高齢者向け住宅は入居一時金が不要です。
どちらも自立や要支援の人が安心して暮らせる住居です。健康型有料老人ホームの入居を検討している際は、サービス付き高齢者向け住宅も選択肢の1つとして視野を広げてもいいでしょう。
こんな方におすすめ
サービス付き高齢者向け住宅
初期費用は少なく、月ごとの住居費を支払いたい
健康型有料老人ホーム
最初にまとまったお金を支払い、月額利用料を安く抑えたい
サービス付き高齢者向け住宅についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
シニア向け分譲マンションとの違い
シニア向け分譲マンションは、高齢者が暮らしやすい環境を整えた分譲マンションです。バリアフリーはもちろん、生活支援サービスも受けられます。入居対象は、自立した生活を送れる高齢者です。健康型有料老人ホームを検討している方は、施設形態にこだわらずシニア向け分譲マンションも視野にいれるといいでしょう。
大きな違いは、シニア向け分譲マンションは住宅資産であるということです。購入後は、売却・譲渡・賃貸・相続など自由に選択できます。ただし初期費用に数千万以上かかるため、資金に余裕がある方が向いています。
こんな方におすすめ
シニア向け分譲マンション
初期費用は数千万出せて、住宅資産として残したい
健康型有料老人ホーム
買い手が見つかるか分からない資産は持ちたくない
シニア向け分譲マンションについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
入居までの流れ
健康型有料老人ホームへ入居するまでのステップを紹介します。
- STEP1:施設探し
- STEP2:見学・体験入居
- STEP3:申し込み
- STEP4:契約・入居
1. 施設探し
インターネットや口コミなどで気になる施設を見つけたら、電話やメールで問い合わせます。費用・入居条件が希望と合うか確認してください。パンフレットも取り寄せられます。条件に合えば、見学を設定しましょう。
2. 見学・体験入居
直接足を運び、施設の雰囲気を確認しましょう。職員の対応、入居者の雰囲気は施設によって大きく異なります。また「駅は近いか」「お買い物施設はあるか」などの周辺環境も大切です。
前向きに検討したい施設があれば、3日~1週間ほどの体験入居もおすすめです。「1日の生活サイクル」「食事が口に合うか」など、実際の生活を具体的に体験できます。
3. 申し込み
入居を決めた場合は、入居申し込み書を提出します。その後、面談があり入居を判定します。健康状態や身元保証人の有無などを踏まえて入居審査が実施されます。地域にもよりますが、健康型有料老人ホームの入居難易度は高くありません。
4. 契約・入居
入居の審査が通れば、契約を進めます。金銭トラブルなどがないように、初期費用や月額費用に関しては十分に確認してください。健康型有料老人ホームの場合は退去条件の確認も必須です。
入居日が決まれば、引っ越しの準備をして新しい生活がスタートです。
健康型有料老人ホームで安心してシニアライフを楽しむ
健康を維持しながら生き生きとした生活を送ることは理想です。健康型有料老人ホームでは、生活サポートが充実しているうえに、共有設備が充実しています。自立している方にとっては魅力的な施設ですがデメリットもあります。重度の要介護者になった場合に、住み続けられないということです。
「次の住まいは終の住処にしたいのか」「介護が必要になった場合はどうするのか」など、理想の生活スタイルとこの先を見据えて入居を検討してください。サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームも併せて、検討するといいかもしれません。
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この記事のまとめ
- 健康型有料老人ホームの入居対象は、自立または要支援の人
- 健康型有料老人ホームは全国に16施設しかない
- サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームも検討するといい
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